第七話入国
第六話を編集しました。
・題名
・最後の数行
・妖精が消えました
「……あ、街だ……」
あの後、俺は道を歩いていると段々道が草原の方に向かって曲がっていた。
そのまま真っ直ぐ行くと何時の間にかあの無駄にデカい樹海が無くなっていて周囲は草原に変わっていた。
俺はそのまま歩いていくと太陽が頂点に来たあたりで道から左へ逸れた地平線に塔の様な影が見えてきた。
影は歩いていくごとに段々大きく、ハッキリと見えてきた。
そして、俺が歩いている道がさらに大きく幅が広い道と合流し脇に商人や傭兵と思わしき馬車が幾つも通り過ぎた時に影が全てハッキリと見えた。
その時呟いたのが上の言葉だ。
ちなみに。
どうやら此処の言葉は通じるようだ。
通り過ぎた商人や傭兵たちの言葉を聞いていると分かったことだ。
主に通行税が何たらだとか給料がどうたらとか雇い主がデブで厭らしい目つきで見てくるだとかだ。
ちなみに最後のは両方とも男だ。
閑話休題&合掌
俺はそのまま道を歩き街の城壁に辿り着く。
どうやら此処は城塞都市もしくは城塞国家といった感じかな。
大きな正門には沢山の馬車が並び順番を待っている様だ。
通用門の様な正門より小さい門には傭兵風の馬車に乗っていない人たちが列を成して並んでいて門衛に銀貨5枚を渡して中に入っているのが見えた。
「……ふむ、あれが通行税なのかな……」
俺はそう呟き列に並ぶ。
しばらく並んで待っていると俺の番になった。
門衛の兄ちゃんは俺を見て驚いたような反応をした後、表情を改め。
「ようこそ、グリールへ。まずは通行税として銀貨5枚を支払ってください」
俺はあらかじめ準備していた銀貨5枚を門衛へ渡す。
「たしかに。それではギルドカードを持っていましたらそのまま通過してください。持っていない場合は通行書を発行いたしますので名前を教えてください」
ギルドカード?
そんなモノがあるのか。
あったらそのまま通過できるって言ってるけど持って無いしな。
「いえ。持っていないんで通行書をください。名前は北条凍夜です」
というと門衛は不思議そうに俺を見ながら。
「ホクジョウ=トウヤですか。変わった名前ですね」
と言ってきた。
変わった名前?
……あぁ、コッチは欧米風の名前なのか。
「あ、自分の国では家名が前で名前が後ろなんです。だからコッチ風に言うとトウヤ=ホクジョウですよ」
と慌てて訂正すると門衛は珍しいモノを見たっていう顔をして。
「へぇ~。そうなんですか」
と相槌を打ってきた。
「それでは次に、出身地は何処ですか?」
む、出身地か。
う~む、嘘八百で乗り切るか。
「出身地は遠い東にある島国です。何分国を出た時はまだ幼かったものですから名前は覚えていないんです」
まぁ全部が全部嘘じゃないんけどね。
門衛はその後も色々聞いてから後ろの守衛室の様な部屋に戻り羊皮紙を持って戻ってきた。
「では、これが通行書です。この通行書は身分保証書になっていますので無くさないようお願いします。また、ギルドカードを発行する場合にも必要になりますので携帯しておいてください」
門衛はそう言いながら俺に通行書と思わしき羊皮紙を渡してきた。
俺は羊皮紙を。
「ありがとうございます」
と礼を言いながら受け取り軍用コートの内ポケットに入れる。
門衛は少しの間キョトンとした顔をしたが直ぐに表情を改め。
「この国の簡単な見取り図は此処を出てすぐの広場にありますのでそこを参照ください。それでは改めまして、ようこそグリールへ」
と言いながら微笑む。
俺は門衛に愛想笑いを浮かべながら通用門を抜け街へと入る。
門を抜けるとそこは中央に大きな噴水があるかなり広い広場だった。
広場の外縁には沢山の屋台があり、噴水の外壁にこの街の地図が張り出されていた。
まぁそんな物より目立つのが。
屋台で色々な物を買って噴水近くに置かれているベンチや椅子に座って食べている多種多様な人種だ。
人間はもちろんエルフやらドワーフやらケットシーやらフェルパーやらの種族が沢山いた。
「……ほぉ~、まさにファンタジーだな……」
俺はそう呟きながら地図のところまで歩いていく。
地図には俺の他にも傭兵の様な人たちがいて、地図を眺めている。
地図によると、この国は全部で四つの地区に分かれていて、中央が王城、その次が貴族街、その次が裕福街、その次が一般街という感じだ。
外に行くほど面積が広くなっていく感じだ。
まぁこれは全部感なんだけどね、だって字読めないし。
地図には何やら色々補足が書いているが読めないので俺はそのまま広場を横切りギルドとかいう建物を目指す。
なぜ、ギルドの場所を知っているかというと、一般街の中で1つだけ建物の絵が描かれていたからな。
多分これだろう。
俺は人に当たらないようにしながらギルドへ向かって歩いていく。
周囲には人々の喧騒と屋台や出店の客寄せの声が響き渡っている。
それを聞き流しながら歩いていると。
「いらっしゃい!いらっしゃい!この度は新製品!!なんでも入る不思議な袋!!『セリオロ』を大量入荷したよ!!この袋!!重さ関係なしに何でも入る不思議な袋!!取り出すときは袋に手を突っ込んで取り出したいものを言うだけで良いっていう優れものだよ!!」
「しかも!しかも!!中の空間は時間のながらが遅いから生物の保存にも便利だよ!!さぁ!!これだけの代物がたった金貨1枚!!今買わなきゃ損だよ!損!!」
という何とも聞き捨てならない客寄せの言葉が聞こえてきた。
俺はその言葉が聞こえてきた方を見ると、そこの屋台には俺が腰に下げている腰袋と同じ形の袋が積まれて置いていた。
ふむ、ということはこの腰袋とあの売り物の『セリオロ』は同じ物か。
「……これはいいこと聞いた……」
と呟き若干足取り軽やかにギルドへと向かう。
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