第四話回廊
少年は歩く。
輝きし生への回廊を歩く。
少年は決して歩むことをやめない。
少年は歩く。
世界と世界の狭間の世界の様な白ではなく。
白く輝きし浄化の回廊を。
歩き、歩み、歩く。
僅かに願う思いに従いながら。
少年は歩く。
そして。
少年は辿り着く。
《少年side》
俺は世界と世界の狭間の世界に在った門を潜る。
膨大な力のある光が俺を突き抜ける。
その光は俺を斬り、貫き、裂き、潰し、千切り、燃やし、凍らせ、苦痛を与えながら俺を照らす。
俺は耐える。
必死に痛みを耐えながら俺は歩く。
この光の中心へと歩く。
何故光の中心へ行くのかは俺にも分からない。
だが身体は歩く。
俺の意志とは関係なく身体は。
歩き、歩み、歩く。
俺の身体は、俺の意志ではなく俺の信念に従い。
生きるために俺の身体は真っ直ぐに光の中心へと歩く。
そして。
苦痛の光を発する小さな太陽の様なモノの前へと辿り着く。
辿り着くと俺の身体を動かしていた力が抜けるように無くなる。
俺は腕を自らの意志で持ち上げる。
この至近距離に居ると光には無いはずの圧力を感じ、苦痛が増加する。
まるで、今からすることを拒むように。
俺は苦痛に耐えながらこの小さな太陽に触れる。
手の皮膚が焼け焦げる感触と何かが手と通じ入ってくる感覚がすると同時に小さな太陽は砕けた。
いや、小さな太陽だけではない。
この白く輝く空間自体がヒビ割れ、そして砕けた。
俺は砕けた衝撃で目を瞑る。
そして、再度目を開くと周囲の景色が一変していた。
俺の周囲360度には1000m級の巨大な樹木が幾つも生い茂りその幹と根により複雑な迷宮と化している大地。
その樹木(針葉樹)の枝葉によりほぼ一切の日の光が入ってこない事により独特な景色(人間並みの紫に光っているキノコとか)になっている樹海。
そして、枝葉の間から微かに見える3つの月。
「…………は?」
俺は呟きと同時に周囲をもう一度見渡す。
見えるのは1000m級の樹が生い茂る樹海と発光するキノコ群(紫とか)と微かに見える大きな金色の月と小さな赫い月と碧い月のみ。
「…………どこだ此処?」
俺の呟きは樹海の中に消えて行った。
《side,out》
少年は辿り着いた。
だが、少年は歩みを止めない。
少年は歩き続ける。
少年は自らが切り開きし道を歩く。
その道中で少年は大切なモノを見つける。
その道中で少年は大切なモノを思い出す。
だが、それはこの後に起こる物語。
これより始まるは生きるために『地獄』を喰らった少年の物語。
少年は生きる。
生きていれば何時か良い事があると信じて。
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