第四章「戦い方」
「これからどーするかな」
独りの自室に響き渡った。
(これからハガダに勝つことは出来ないのだろうか)
俺がハガダに勝つにはおそらく「ジオ流剣術」のレベル差が2以上必要だろう。それは何故か、理由は簡単だ。ほとんど全ての面において勝てないのは間違いないが、一番大きな要因は「剣術」のレベル差だろう。「ジオ流剣術」のレベルは俺の方が高くとも、「剣術」はハガダの方が高レベルである。
そもそも「ジオ流剣術」の型を使うためには多量の時間と対応するレベル以上の「剣術」が必須である。
「ジオ流剣術」レベル1なら「剣術」レベル1、
「ジオ流剣術」レベル2なら「剣術」レベル3(1+2)、
「ジオ流剣術」レベル3なら「剣術」レベル6(1+2+3)、
このように1からそのレベルまでの和の「剣術」のレベルが必須であり、最高レベルである13となると
「剣術」レベル87が必須でありその難しさよりジオ家初代当主を除いてレベル10を超える人すら片手で数えられる程しかいないという。
翌日訓練所
「コレカ、おはよう」
「ハガダか、おはよう」
「コレカは訓練所卒業したらどーすんの?」
「さぁ、そもそも卒業出来るか分からんし。ハガダは?」
「考えてない」
「何で聞いたんだよ」
「うーん……何となく」
「まだ先は長いしなハガダはゆっくり考えればいいんじゃない?それより今日の実践訓練俺とやろうぜ」
「いいよ」
昨晩考えていた。他の皆はスキルを戦闘に活用している。「アイテムボックス」を戦闘に活用する方法は無いだろうか、と。思いついた方法は三つある。ひとつは実践訓練では使えないが残りふたつは実践訓練でもつかえる方法だ。今までは「アイテムボックス」は戦闘で使えないという固定概念で考えようともしなかった。
開始の合図とともにこっちに向かってくる。勝負は一瞬で決まった。
「なるほどな、「アイテムボックス」を上手く使った訳だ」
「また僕が1位か、すまないねハガダ君、僕が強いばっかりに」
「次はないぞ」
そう、次は勝てるかは分からない。というかおそらく次は勝てないだろう。今のは初見殺しみたいなものだ。そういうやり方があると分かれば対応出来てしまう。
「凄いじゃん、「アイテムボックス」を使えばハガダが「ジオ流剣術」レベル2になるまでは1位だね」
「おやおや、昨日僕に負けて泣きべそをかいた桜さんじゃないですか〜どうなされたんですか、ハガダに一度も勝てたことの無いさ・く・ら・さ・ん」
「ん?」
(まずい、どうにか話をそらさないと殺される)
「まぁまぁ落ち着きたまえよ」
「……」
(ガチギレやん)
「ごめんて、一旦訂正から入ろうか」
「どういうこと?」
「ハガダがレベル2になるまでの1位って訳じゃないんだ」
「へぇ、自信満々じゃん、ハガダがレベル2になるのが楽しみだよ」
「楽しみにしてるがいいさ、ところでさっきの試合で僕が何をしたのか説明してあげよう」
「いやいいよ」
「まずハガダが向かってきて剣を振り下ろして来たね?」
「うん...」
「そこで僕はすかさずガードするフリをしたわけだ。力強く振り下ろしてくる直前に「アイテムボックス」で剣をしまって体の左側の空気を「アイテムボックス」でしまい、体の右側に元々貯めてあった空気を放出する、それによっていつもより速く動くことができるのさ」
「で、しまってた剣を取り出してそれを首に突きつけた訳ね……あれ、それって対応出来るんじゃない?」
「そうさ、つまりハガダがレベル2に上がるまで1位じゃなくてそもそも1位では無いんだよね」
桜に親指を立てる
「叙述トリック……」
「桜はよく引っかかるよね」
「試合で負けるより悔しいわ、でも良かったね「アイテムボックス」が試合に使えるって分かって」
「そうなんだよ、空気による移動だけじゃなくて剣の持ち替えにも使えるんだよ」
「フフ、楽しそうで良かったよ」
「アイテムボックス」を活用して三番目に強くなった。桜に対する勝率は三割くらい、現状同年代で桜は二番目に強い。あれからハガダには一度も勝ててない、どーなってるんだ...まじで。