正しいこと
砲撃によって穴を穿たれたコンクリの建物群を横目に
僕らの部隊は人の消えた道路を縦断する
空はやけに青々としている
破壊された街並みの向こう 遠くには黒煙が伸びている
そちらから短い銃声がかすかに聞こえた
僕らはそこに向かっている
正しい戦争だと信じて殺す
僕の目的は生きて故郷で暮らすこと
兵士は人を殺す
武器は人を殺す
正義は人を殺す
僕は大切なものを守る
そのために殺す
この頃は悪夢ばかり見る
僕もいつかは死ぬだろう
それでも朝が来る奇跡
異国の風の冷たさ
冷めた戦闘糧食のまずさ
仲間たちとのとりとめのない会話
また戦闘が始まるまでのただの猶予