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③《リビング・デッド》  作者: いちごみるく
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③《リビング・デッド》

実はフリーの小説家。

ツイッターやってます。

「@Ichigo_Milk___」

キャラクター紹介


ナカノ・メア

焼野原高校一年の男子生徒で中家鬱が驚かせるための実験体の一人、昔からの幼馴染。

霊銃(レィスガン)を使い生還する。


次元桐崎(じげん きりさき)

焼野原高校 保健室の先生でバニーガール姿で白衣を上から着ている女性。


霊武者(レイム)

騎士高校一年の女の子。

長い金髪に前髪で左目が微妙に見え隠れする。

チェックスカートに青のブレザーの外見。

アメリカ人を想像するが日本語は楽に使用。

愛刀の霊刀村正を所持している。


美景世果翅(みかげ よのはて)

私立黒斬(くろざん)高校一年生徒の女の子。

パッツンボブで赤い両目は薄っすらと隠れている。

式神を操る事が出来る。

霊鎧者(リアクティブ・アーマー)

の状態になると足下には鋼の円盤が出現し浮遊が可能。左右に出現し体を軸にくるくる回る鋼の円盤は太陽と月を表す形をしている。


王牙白狼(おうが びゃくろう)

白髪で筋肉質の黒斬高校一年生徒の男。

前髪がオールバックにしており制服はきちんと着ている。剣道部であり木刀は普段から所持している。


プロローグ ー 夏/懐 ー


夏にこれと言って良い思い出は無く。

剣道部の部活動では毎日誰よりも強く堅く正々堂々と自分の正義を貫いて来た男がいた。

蝉の鳴き声、夏の暑さにも負けない男だった。

しかしその男の正義を落としにかかって来る者がいないとは限らなかった。

その男は……彼女を殺されたんだ、信じていた剣道部の人に。

人の正義とはいとも簡単に壊れてしまうもの。

その被害者の男はまるで何かに取り憑かれたかのように怒り狂い剣道部の生徒は全員そいつに殺されて喰われた、良いも悪い人も関係無くだ。


第一章 ー 切/斬 ー


「暑い……本当に暑い……これじゃあ本当に俺もゾンビみたいじゃないか……」


住宅地を一人で歩くナカノは息を切らしているにも関わらず歩いている。

特に目的が無い訳では無いが。

保健室のバニーガールから頼まれた依頼だと言う事。


「ここに一体何が……」


しばらく歩いていると背後から男に声をかけられた。


「おい待て、そこから先は地獄(エリア)だぞ」


そう言われて俺はピタッと足を止めて反射神経で霊銃(レィスガン)を異空間から出してしまった。


「ほう……お前もか。そこを退いていろ。……破ッ!!」


白髪の男は木刀で次元でも斬ったのだろうか一閃を振った。


「俺の剣は次元を斬る事が出来る、助かったな。じゃあな少年」


次元を斬るその剣は刀の様にも見えたし、何よりあの剣の色が銅色で俺達が使っている武器と似ているのが怪しい。


「次元……地獄(エリア)を回避出来るってどう言うカラクリなんだか」


とりあえず俺は焼野原高校の保健室まで戻り保健室のバニーガール先生の元へと戻った。



「ってな訳なんだ。どうだ?信じられるか?」


俺は今日あった出来事を全て保健室のバニーガール先生に話した。


「なるほど……お前あの子に会ったのか……そうだねぇ……どこから話そうか。覚悟していたとは言えやっぱり言い辛いなぁ……」


保健室のバニーガールは頭をかきながら一回深呼吸をしてこちらを向いた。


「良いか?良く聞け。あの子は元黒斬高校の生徒であり現在も黒斬高校の生徒である。これは私も良く分からないがあれはもう私の知っている彼では無いし彼はもう私を知らない……まぁ軽くゾンビみたいな者だ」


今更ゾンビと言われてもあんなに人間らしいゾンビならぶっちゃけマシではある。

それに次元を斬り裂く力はどこから出ているのだろうか。


「とりあえず悪い奴じゃ無いって事だろ?過去に殺人を起こしたのは事実だろうけど。さて情報収集も出来たし俺はそろそろ帰るよ」


俺が立ち上がり帰ろうとすると保健室のバニーガールに止められた。


「良いのか?力の事を知らなくても」


俺は肩に置かれた手をそっと振り払った。


「知られたくない過去をなんなら知る必要は無いだろう」


俺はそう言って今度こそ保健室を出た。


「……良くもまぁ見抜けたもんだよ。私が元剣道部の顧問だって事」


一人保健室で残されたバニーガールは夜空に浮かぶ月の光がひっそりと差していた。


第二章 ー 休/熄 ー


放課後の教室にて。


「夏休みになったら海に行かない?どう?生徒全員の夢を叶えに行きたいと思わない?」


中家は目をキラキラさせてナカノに近寄り迫って来た。


「俺は良いけど他は誰が行くんだよ」


そう言うとガラガラと音を立てて教室に入って来たのは保健室のバニーガールとレイムだった。


「その話、きっちり聞かせてもらいますナカノクン」


全く他校の制服様々なのにもはや違和感さえなかったが保健室のバニーガールは腕組みをして俺にこう言った。


「先生も付いていかなきゃ子供だけじゃ大変だろう?まぁ夏休み中はこの学校には誰も入れないからなぁ……よろしく頼むわ。夏休みのデートをさ」


じゃあねー。と腕をふらふらさせてそのまま帰って行った保健室のバニーガール。


「あの人は俺らの母親か……で、いつ行くんだよ」


明日からに決まってるでしょ!と言うのでさっさと学校を出てショッピングモールまで買い物に行った。


「この白のフリルの付いた水着可愛い!」


中家は目をキラキラさせて俺に聞いてくる。


「はいはいそうだな……俺はこの黒いやつで良いか。って何を際どいの選んでんすかバニーガール先生」


保健室のバニーガールは若干驚いたような表情でこちらに近寄って来た。


「ハイレグ姿を見るのは恥ずかしいかい?」


俺が恥ずかしいと言うよりは周りから変な目で見られないか心配である。


「良いから行くぞ……って確かあれは……この間の次元斬り」


俺達には気付いてないようだが真剣な表情で何かを見つめている。

どうやら次元斬りも水着を選んでいるようだ。

夏休みにどこか予定でもあるのだろうか。


「レイムはそんなに生地の薄い水着で良いのか。ちらっと見られても知らないぞその水着」


そう言われたレイムの表情はむっと強張りすこし残念そうに商品を戻した。


「そうね。動きやすいからこれで良いと思ったけどこれは少し……じゃあこちらの白のフリルワンピースにしましょう」


とりあえず全員水着は決まったようなのでレジへと向かうと次元斬りの奴と真正面から出会ってしまった。


「なんだよ。その表情は」


とても何か言いたそうにしていたので俺は躊躇無く問う。


「……サマー・バケーション。しようぜ」


良かったなこの近くに今次元桐崎先輩いなくて。

なるほど、やっぱり夏休みは海に行くのか。

なら丁度良いのでこいつも誘ってみよう。


「夏休みは海に行くんだろ。なら行こうぜ」


今度は少し笑顔を交えながら問う。

まぁ元々悪い奴じゃ無いからな。


「良いだろう。ただ……いや、何でもない。よろしく頼む」


ん?と疑問が浮かんだが、とりあえずはこれでイベントが発生しそうだ。


第三章 ー 牙/剣 ー


夏の朝、日差し、海の風、そして海のはずだった。が、俺達が海水浴に来た瞬間の大雨雷とは何と言う災難だろうか。


「せっかくスイカ割りとするために木の棒まで用意したんだがな」


保健室のバニーガール先生は残念そうに俯く。


「とりあえず海の家まで行くぞ。色々支度だけでも進めといたら晴れたとき楽だろ」


ナカノはそう言って中家、レイム、保健室のバニーガール、次元斬りを誘導した。


「……先に行こう!レイムちゃん!白髪ロングさん!」


中家は何故か最初に戸惑いを見せたが、先に海の家へと向かってしまった。


「なんか嫌な予感するだろ?さっきからずっと見られているような。そんな感じなんだろ」


保健室のバニーガールは重みを含めてこう応えた。


「この木の棒は今は普通の木の棒だと思ってくれて構わない。だが真の正体は魔棍グラム。これを見ると言う事はどう言う事か……わかるなナカノ」


そうだ、また知らない間にエリアに入ってしまったのだろう。

だが風景は至って変わらず。

何故だろうか、もしかするとエリアでは無いのかも知れない。


「そうです。合格ですね。ネクロマンサー達。ここはエリアにしてエリアにならず。踏み止まるその場所は今に地獄と化すでしょう」


黒髪に黒い着物に朝顔の柄。

どう見ても怪しいその人物の前髪が薄っすらと赤眼を隠す狂気の寒気を感じる。


「自己紹介がまだでしたね。私は美景世果翅と言います。貴方達は……」


硬い唾を飲み込み自己紹介をする俺と至って冷静な次元桐崎先生。


「俺はナカノ。こっちは保健室でバニーガールやってる」


おっとナカノ。少し待てと保健室のバニーガールに言われたので黙る。


「私の名前は次元桐崎。まぁ覚えはないだろうがよろしく」


自己紹介を済ませたその刹那に次元先生は結んでいた髪を解き、木の棒が光り始めた。


「霊基解放!」


結んでいた髪の毛が三本の角のように変化し性格も今までとは違う程別人になってしまった。

これが次元桐崎先生の正体とでも言える。

右手には魔棍グラムと説明されたであろう武器、見た目は鬼の金棒だがいくつもの穴が空いておりその中からは緑色の光りがいくつも照らし出されている。


「はっ!せいっ!たぁっ!」


ガン!ガン!ガンッ!と鈍い音を立てて攻撃を繰り返す次元桐崎先生の攻撃は全て美景世果翅の太陽をイメージしたような円盤に全て塞がれてしまう。


「これじゃあ駄目か……じゃあ本気で行くぞ。はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


次元桐崎先生は光に包まれて次の瞬間姿を現したら藤色のゴツゴツとした鎧の姿に変化しており性格も先程よりかなり荒めになっている。


「死ねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!クハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!」


ドゴッ!バキッ!ゴリッ!と音の鈍さも増しており流石の美景世果翅の太陽と月の円盤でさえ少しヒビが入っている、このままならゴリ押せるが……。


「喼急如律令!式神!ヒュドラ!」


美景世果翅は多少焦りを見せて式神の蛇を具現化させてなんとか攻撃を凌ぎきる。


「まさか貴方も霊鎧者(リアクティブ・アーマー)が使えるだなんて……。わかりました今日はこの辺りで失礼させていただきます……。なんと言うイレギュラーな……」


美景世果翅はそう言って霧のように霧散して消えた。

空は晴れて雨も止み、とりあえず一件落着のように見えたが……。


保健室のバニーガール先生姿に戻った途端その場で倒れる。

顔はやや白く、呼吸も浅く、今にも死んでしまいそうな状態だ。

ナカノは必死に抱き締めて声をかける。


「おい!どうした!答えろ!」


目を開けた保健室のバニーガール先生の目元は青く。

ナカノの頬に優しく手を当てた。


「良いか……お前たちだけでも……生き残るんだぞ……じゃないと怒るからな……」


後からやって来た中家、レイム、次元斬り。

口元を両手で抑えて驚く中家や、酷く落ち込むレイムに……。


「なんで……なんでアンタがこんなところでくたばっているんだ!アンタは……」


ナカノを強引に退かして保健室のバニーガール先生曰く次元桐崎先生を揺さぶる。


「そう泣くな……あの時は本当に泣きたかったのはお前を認めてやらなかった私だ……いつまでも言えなくてごめんな……」


そう言って保健室のバニーガール先生は静かに眠り、俺達は静かに落ち込み、悔やみながらホテルへと帰った。


第四章 ー 達/等 ー


「はっはっは!済まなかったな!何だろうな……凄く死にそうなくらい空腹になっていたんだ……うん」


この保健室のバニーガール先生は魔力を使用して尽きて倒れたのでは無く、空腹で倒れたと言っている。あの霊鎧者(リアクティブ・アーマー)と言うのは一体。


「とりあえず元気で良かったー!」


中家はそう言って保健室のバニーガール先生に飛びついたり、レイムは死んだ魚のような目で保健室のバニーガール先生を見ていたり、次元斬りは明後日の方を向いていたが何か考え事だろうか。

だがまだ何故か変な空気感と言うか魔力を感じる、呼ばれているのかも知れない……俺は一旦ホテルの外へと出た。


「ナカノさん……ですね。少しお話よろしいでしょうか」


昼間に激闘を繰り広げ保健室のバニーガール先生が瀕死になってまで追い込んだ美景世果翅の姿がそこにはあった。


「何の用だよ。あの次元桐崎先生の事なら不安にならなくても平気だぜ」


静かに首を横に振る美景世果翅。

一体話とは何だろうか。

とりあえず立ち話も嫌なので浜辺の方へと向かった。


「それでは話をします。貴方達がエリア(地獄)と呼んでいる場所の事ですが。あれを常日頃から次々に潜り込んでは破壊していると聞いています。それは事実でしょうか……」


俺は首を縦に振り肯定した。


「そうですか……そうですね……。それでは偽善者ですね。この惑星には恨みを晴らす場所、恨みを溜める場所があります。恨みを晴らす場所がここ地球ですが恨みを溜める場所を我々は地獄と呼びます。それを破壊してしまうと今後どうなるか説明しましょう。世界はあっという間に崩壊を起こし、地球は無くなってしまいます。恨みを消していくと言う行為に悪い事とは罰はつけません決して……あの霊鎧者(リアクティブ・アーマー)というのも貴方の持っている霊銃もそう……死んだ人間が貴方を守るようにしてくれているだけであり、わざわざ地獄に言って感謝なさればならないアンデット達を殺戮するための霊鎧者(リアクティブ・アーマー)や霊武器では無いのです」


ここまでが真実だとしても俺は美景世果翅の表情から一つだけ読み取れた箇所がある。


「世界を壊されたくなければ余計な事はするな……と言いたいがアンタは人間側の味方と言い切れない上にハナから人間なんかどうでも良い目をしているな。しかしそこに話の路線は乗らない。ならばどうすれば良い?死んだはずの島崎さん……ウチのところの生徒が何故この現実世界に生きているのか……この謎は、真理はなんなんだ……?」


俺は美景世果翅に問いかけた、するとすぐに返答は来た。


「で、あればその生徒は死んではいません。貴方は夢を見せられてたに過ぎませんね」


あの最初に見た地獄を夢だと再認識するのは流石に時間がかかる、それなら全て夢であって欲しかったとも思える。


「この真実を俺はこれからみんなに伝える。これはアンタを信じてみる事にした。これ以上こんなところにいたら風邪引くぜ。じゃあな」


俺は立ち上がり美景世果翅に背中を向けて帰る。

しかしあのどこか寂しそうな横顔に何故か引っかかる。


「なぁ、アンタもホテルまで来るか?」


それはデートのお誘いでしょうか?それとも……。

と言われたので。


「違うだろ。お前も霊鎧者(リアクティブ・アーマー)を使用したんだ。何かしらの副作用があるんじゃないのか?」


味方とも言わないが敵とも言えないので多少心配してしまった。

数秒後に少しだけ「ふふ……」と笑い声が聞こえた。


「私は何にも問題はありません。ですからお友達の元へとお帰りなさい。今日はお話が出来て良かったです。それでは」


そう言って霧になって消えてしまった美景世果翅。

そのあとナカノもホテルへと帰って行った。


エピローグ ー 海/生 ー


昨日は浜辺に来て早々にトラブルがあったため、海で遊ぶ事が出来なかったが、今日は快晴。

雨の予報も無し。

個々は新調した水着を着て海で遊んだ。

西瓜割りは次元斬りが力を入れ過ぎて霧散、西瓜割りとは。

保健室のバニーガール先生曰く浜辺のハイレグバニーガール先生は椅子にもたれかかり腕組みをしながら俺達の事を見ていたり、保護者か。

レイムは中家と水のかけあいをして楽しんでいたり。

まるで今までの日常がどうでも良くなるくらい楽しかった。

それは、あいつが俺の隣には現れるまでは。


「この世界を楽しんでいるんだな?それは良かった。もう壊さなくて良いんだな……」


それは女性の声で何処か嬉しく、何処か悲しく。と言った感じの声だったがすぐにその女性は消えてしまっていた。

空耳だろうか。


「ほら!ナカノくんも一緒に遊ぼう?」


綺麗な夕焼けが中家を写し、両手を差し出す彼女の笑顔に俺は……。


「あぁ……そうだな!」


彼女の手を取り海へと向かった。

あとがき


こんばんは、いちごみるくです。

さて今作は夏をイメージした作品テーマになっています。

前の巻は春なので今回が夏……じゃあ次秋やんけ!となりますが実は皆さん聞いてください、次回は秋がテーマになります。

話が脱線しましたが……ナカノにだけ聞こえた謎の女性の声の人物もそろそろ明らかになっていきますが!もう少々お待ちください。

秋と言えば読書……つまり私の小説で家や外で読者様もゾンビになるくらいソファーかどこかでじっと読める楽しい作品に仕上げたいと思っています。

それでは最後になりますが、皆様事故には本当にお気をつけください。

それではごきげんよう。

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