誰もいない曲
感情を書き殴った
これでもかという程
大きく、汚く、ぐちゃぐちゃに……
僕には歌えない歌……
誰かがいなければ
完成さえもしない
ただのノイズ……
書き殴った曲は
書いては消え、書いては消え……
時計の針はグルグル回り
紙屑ばかりが部屋を埋める。
夜の静寂に耳を澄ませて
また…
書き殴る……
意味のない曲
誰からも必要とされない曲
生まれることさえ出来ない曲……
規則的に無機質に響く単音。
ただそれだけなのに
どうして心がざわつくのか……
書き殴った曲が
必死に生まれようとしているのか…?
僕にはわからない……
けれどいつか書き殴った曲を
誰かが歌って
また他の誰かがそれを好きと
言ってくれるのなら
多分、僕は救われるのだろう……
僕にはもう……
それを見届ける時間はーー
ーー残されていないのだから…
いつか誰かのために……
僕という存在を無くした
誰もいない曲に
せめてもの想いを乗せてーー。




