「14」
お久しぶりです!
遅くなりすみません!
「最近、女の子と連絡先交換した?」
「ああ……何人かとしたけど」
帰宅後、俺はどうにかしてあの姫のような人物の名前を聞き出そうとしていた。
けれど俊哉が最近連絡先を交換した女の子の数は10人以上、その中から絞っていくのはなかなか難易度が高い。
あそこで盗み聞きをしていた事も隠した方がいいということになると、この人数全員を見て判断していかなければならなくなるかもしれない。
そもそもなぜ“最近”の枠に10人以上の人数が入るんだよ。多すぎだろ。
「そんな人数と交換したら、たくさんメッセージ来るんじゃないの?」
「んー……重要そうな人しか通知来るようにしてない」
「それはどうなの……」
「暇な時全部目は通してるから」
「ああ、そう」
キッチンの前にあるカウンターテーブルの前に腰掛けて雑誌を読んでいた俊哉はこちらを向いてため息をついた。やはり面倒だとは感じているのだと思う。
携帯を見せてきたのでメッセージが何件届いているのかを見せてもらうと既に50件以上来ていた。
少しだけ見える内容も、何処かへ出かけないかのお誘いや、付き合ってほしいなどがちらほら見える。
「…………」
「付き合ってほしいとか明確な内容だと、断ればいいから楽なんだ」
「まず、交換しなきゃいいんじゃない?」
「前交換しなかったら車に連れ込まれそうになった」
「…………え?は?」
とりあえずその場の回避の為に連絡先だけは交換するらしい。その後はメッセージでやんわりと断り、今のところ事なきを得ているとのこと。
車に連れ込まれそうになったのは、とあるご令嬢の友人から聞かれ断った時に起きたらしく、友人をたらし込みやがってと連れ去られた先で色々やられたらしい。内容は教えてくれなかった。
金持ちかどうかなど外見の判断で連れ去らないと決めてはいけないと悟ったようだ。
どんな人生なんだよ。
「それメッセージで断っても変わらないんじゃない?」
「……俺の友人に許可を得てからじゃないと付き合えないって言ってる」
「…………は?」
その友人は誰のことだという念を込めながら俊哉を見つめた。俊哉は目を合わせようとしてこない。
そもそも車に連れ込まれそうになった事など知らなかった、聞いていたらなるべく一緒に行動したりしたのに。
というか最早警察を呼べ。
「でもしっかりと断った上で言ってる。付き合えないし、もし付き合えたとしても友人の許可がいるって感じ」
「でもまず俺から攻略しようとする人いそうだよね」
「いるだろうな」
「はい、しゅんや君そこに座って」
俊哉には、誰かに迷惑がかかりそうな事はしっかりと伝えるようにという内容の誓約書のでも書かせたい気持ちなったが、とりあえず言葉でそれを伝えた。
「俺も車で連れ去られちゃうかもしれないじゃん」
「そしたら警察呼べばいいだろ」
「いや、まずしゅんやが呼ぶべきだった」
「そんな何回も呼べないし」
「何回もされたの?」
「3回位」
「…………」
警察から、とりあえず連絡先だけは交換して穏便に対応すると連れ去られないのでは、という提案をされたらしい。
警察よ、仕事を放棄するな。
そんな話をしていたらメッセージアプリの中に『主人公』という名前の人がいる事に気がついた。
主人公って、あの、物語の主人公のとこを言っているのだろうか。
目の前で正座で座りつつ、ぼけっと俺を見る俊哉を訝しげに見返した。俊哉が眉をひそめる。
「なに」
「この、主人公って、人?」
「人だろ」
「……自分で名乗ったの?主人公ですって」
「あー、まぁ、そう」
この間俊哉とぶつかってしまった人らしく、その時に『私は主人公ですのよ!』と言っていたらしい。
色々と考えてきっとあの姫さまみたいな人で間違いは無いだろうが。
あれかな、ちょっとバ……頭弱いのかな。
その後にしっかりと名乗られたらしいが主人公という印象が強すぎて忘れたそうだ。
とりあえず覚えていた主人公というワードを入れて記録を残したらしい。次もしあった時どうするつもりだったんだろう。そんな事を考えていると俊哉が少しだけ笑ったのが見えた。
「ちょっと面白い奴だったな」
「!?」
待て待その笑顔とそのセリフは、少女漫画とかによく出てくる『イケメンがクラスの変な女子が気になってきたけど、でもまだ恋心には気がついていない時』に良く使われるやつ!
「そう言えば眼鏡割ったお詫びにメシを奢るって言われてたな」
「え、」
ピロン!
その時俺の手の中で携帯が鳴った。そこに表示されていた名前は
「主人公……」
「ルイ携帯を」
「俺も行く!」
「は?」
「俺もそのメシついてく!」
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