「1」
更新は不定期です。
よろしくお願い致します。
俺の名前は安藤類という。
大学1年生だ。
ここまではいい。至って普通。
俺の友人に高林俊哉という人物がいる事が大きな問題だった。
「なぁ、しゅんや、2時限目の課題って何だっけ?」
「おいおい、ちゃんと覚えておけよ」
何が問題って?
それは彼と友人でいると死んだ時に別の世界に生まれ変わってしまうことだろう。
実はこの現象をすでに3回やっている。
なんで今こちらで大学に通っているかと言うと、おそらく俊哉が目的を達成できなかったからまた戻ってきたのだと思う。
そして戻るのはここ。大学1年生の夏。俊哉と割と仲良くなったタイミングだった。
前回までの流れは。
まず、俊哉がとある女性に惚れ込んで、それが実らず彼女を攻略するゲームを作る。
その細かすぎる設定が反響を呼び、販売してほしいと言う声が増加。
謎に発売する事が決定し、何故か俺が会社を設立して販売。バカ売れする。
そして、そのゲームをやり込んだ俊哉は、部屋にこもり餓死……。
(これに初めて遭遇した時は、声をかけるべきだったと後悔が渦巻いたが。後で思う。
自分の作った恋愛ゲーム部屋でやりこんで餓死って、まじでヤバイやつだろ。正直キモいわ。)
そして、俺は数年後に病死。
これは決まって同じ年、同じ時間。
(だから彼女などは作らず、家族にたくさん奉公して死ぬようになった。)
そしてここから普通じゃない。
俺が死に、何故か別の世界、しかも俊哉の作ったゲームの世界観の中に入り込むのだから。
この世界の恐ろしいところは、俊哉がとっても本能むき出しなところだろう。
このゲームのスタートは、大学で俊哉が香織さん(俊哉の本命の方)と出会うところから始まる。
その時俊哉には他に彼女がいて、別れようとするとごねてくる。
現世では普通に頑張って別れようとしていたが、ゲームの中での俊哉は、他の男友達を使ってその子に仕掛け、自らも他の女の子と遊びまくって別れている。
この時点で俺はとても怖い。
その後、俊哉が香織さんを頑張って攻略するものの、振り向いてくれず、監禁したりし始めるのだ。
妨害したら俺は殺された。
そして、その彼女と別れさせないように頑張ったところ俊哉は自殺をはかった。
俺の友人が怖い。
どうやら向こうの世界で俊哉と香織さんを正式にくっつけないといけないのかもしれない。
「はぁ……」
「おい、聞いてたかよ」
「あっ、やばい、聞いてなかった、ごめん」
「ため息ついてる暇あったら、俺の話を聞け」
「ほーい」
「全く、本当に大丈夫かよ、大学生なんだからしっかりしてほしいんだけど」
「……ほーい」
なんとなくお前に言われたくないと思ってしまう。
そういえば今の俊哉はまだ香織さんとは出会ってない。
しかもまだ付き合っている彼女もいない。
なるほど……そういう事?
こっちの世界で2人をくっつければあの世界に飛ばない?
しかしそうなると俺が動かないといけないのか。
「はぁ……」
「ルイ、そろそろ怒るぞ」
「ういー気をつけまーす」
でも、仕方ない、流石にずっとあの世界との往復は疲れるし、俺がひと肌脱いでやろう。
そして、この繰り返す世界との長い戦いが始まった。
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