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初戦闘

視界の光が収まりあたりを見回すと

そこは木々が生い茂る森だった。



すぐ近くにはさっきまで話していて

今別れようとしていた3人の姿もあった。



3人もこの状況が理解できないのか、不安そうにあたりを見回している。



ただ、俺は突然のことに動揺し頭が混乱しながらもワクワクもしていた。



それは、俺が最近ハマって読んでいた異世界転移の話

と状況がよく似ていたからだ。



本当に異世界転移をしていたなら、あの物語の主人公のように自分も強くなって平凡な日常が変わるかもしれないと思っていた。



だが、まずは状況確認だろう。



最初気づかなかったが落ち着いてもう一度よくまわりを見ると3人の腰に見慣れないものがついてるのが見えたので自分の腰を見ると革で出来たベルトが付いていた。



ベルトには一個の袋と腰にぶら下がるように一本の剣が提げられていた。



剣を少し抜いて見ると、銀の光沢のあるまさに西洋の剣だった。



続けて剣を戻し、袋の方に手を伸ばし中を確かめようと思ったとき、佐藤さんに声をかけられた。



「あ、あの桐谷くんだよね?この状況ってわかる?」



「?いや、まったく分からん」



佐藤さんの方に向き直り答える。

ちなみに他の2人は俺が佐藤さんを正面に見て左斜めにいる。



「……そうだよね。どうしよう……」



「ひとまず、状況確認をした「ガサッ」っつ」



ほうがいい。そう続けようとした時右の茂みがガサッと音を立てて揺れた。



慌てて茂みを見ると剣を持った緑の醜い顔を持つ小人

異世界もので1番弱いといってもいい定番の魔物が現れた。



そう。ゴブリンだ。



そして、奴はこちらを一瞥するとこちらに向かい走り出した。



一方、俺はというと動けなかった。

動けない。そう、逃げることすらできないほど怯えていた。



さっきまでの異世界に来たんだから強くなるだとか考えていたことがいかにバカな考えか思い知った。



初めて人を傷つける凶器を見て。

ゴブリンと目があった時の殺意を浴びて。

足が震えるとかじゃない。動けなかった。



あぁ、このまま死ぬんだと思った。

死の運命から抗えないとさえ思った。



でも、幸運にもそうはならなかった。



ゴブリンの向かう先は俺ではなかったから。



ゴブリンの狙いは俺より数歩ゴブリンに近いところにいた佐藤さんだった。



そして、

ゴブリンは佐藤さんめがけて剣を振り上げた。



その時、咄嗟に、やろうとしたわけじゃない。

自然とさっきまで動かなかったはずの足がすんなりとさっきまで動かなかったのが嘘のように足を踏み出し

手は自然と剣に伸びていた。



そして………



キンッ



甲高い音が鳴った。



反撃されるなど思わず強く剣を握っていなかったのだろう。



抜刀した勢いのままぶつかった剣はゴブリンの剣を吹き飛ばしていた。



丸腰になったゴブリンの顔。ちょうどいい位置にあったそれを剣を振った勢いのまま回し蹴りで蹴りぬいた



「グギャッ」



蹴られたゴブリンは吹っ飛び茂みに突っ込んだ。



放心状態。

初の戦闘があっけなく終わった。



体が自然と動いただけ。

ただ、それでも少し嬉しかった。

佐藤さんを守るために動けたことが。



「あ、あの桐谷くん?」



「ん……あ…あぁ、なに?」



我に返った。

そうだ。今は放心してる時じゃない。



ゴブリンが相手で動かなかったんだ。

他の魔物に出会ったら…………



というか、ゴブリンに勝てるかも怪しい……

さっきのは自然と体が動いただけだし。



「あの、ありがと」



「あ、あぁ………ここは危ない。どこか安全なところ

を探そう。さ、行こう」



真っ正面からお礼を言われるのは流石に恥ずかしくて

話題をすぐそらしてしまう。



ただ一刻もはやく安全な場所を見つけないといけないのも事実だ。



幸いにもさっきのお陰か、

3人とも俺の言葉に従ってくれる。



俺たちは息を潜めながら森を進み始めた。

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