プロローグ
初作品で稚拙なところがあると思いますが、頑張って書いていこうと思います。
――なんでこんなことになっちゃったんだろう。
雲ひとつなく、大きな月が空に浮かび、世界をぼんやりと照らす夜。そんな夜でも木々の陰によって闇に包まれている森の中で彼は一人、その小さな身体を震わせながら考えていた。
今日はいつもどおり魔法のお勉強をして、それが終わったら友だちと遊んで、それも終わったらお家に帰って、いつもどおりでふつうだけどいつもどおり楽しくって、変なところなんてなかったのに。
何故このような事態に陥ってしまったのか、それを考えることで少しでも現実から離れたくて。
もしかして、おそくまで起きていたからなのかな。おかあさんの言うことを聞かないで夜更かしをしてたから神さまがおこってこんなふうにしちゃったのかな。今から寝ればゆるしてくれるのかな。
しかし、そんな甘い考えは『現実』という名の力によって容赦なく潰されてしまう。
彼自身が考えているように彼は今までと何ら変わらぬ日常を送っていただけであったが、運命というものは時に甘美で時に残酷で―――この時は彼に対して残酷な一面を見せていた。
普段どおり、平和で幸せな毎日を送っていた彼は今――追われていた。
追ってくる相手の素性も知らず、自分が追われる理由もわからずに。
それでも彼はただ逃げることしかしなかった。そうすることしかできなかった。
そして現実逃避を始めていた彼に、遠くから近づいてくる気配と音があった。
この暗く静かな、動物などの気配すらほとんどしない森ではそれはあまりに目立っていて、彼を一気に現実に引きずり戻す。
――はやく……早く逃げなきゃ……!
単純明快なその思考に身体を支配させ、彼はまたがむしゃらに逃げ出した。
最早自分がどこにいるのか、どこに向かっているかすらわからず、身体に当たってくる葉や枝も気にせず、――残酷な運命からも逃げ出すように。
読んでいただきありがとうございます。小説は普段から読んでいるのですが、こうやって自分で書くのは初めてでとても緊張しております。稚拙な点、至らない点が多々あると思いますので、そういったところをご指摘いただければ嬉しく思います。これからも頑張って更新していきますので、どうかよろしくお願いします。