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のんびりライフ  作者: 紀 希枝
3/6

3.一人暮らしのお部屋掃除

咲蕾(さくら)ー。ちょっとこれ動かすの手伝ってくんねー?」

「あー、ここの埃取ってからでいい?」

「ああ」

 土曜日のお昼前。緑茶大学二回生の歩夢の部屋には、歩夢本人と歩夢の恋人である咲蕾の姿があった。

「おっけー。こっち持ちあげたらいいの?」

「うん。ちょい重いけど、いけるか?」

「多分」

 二人で息を合わせて、教科書の入った棚を持ち上げる。そのまま前方に移動させて、ゆっくりと下ろした。

「じゃあここも掃除機で吸っておくね」

「いや、いいよ。ここは俺がやるから、さっきのところ頼んでいいか?」

「了解」

 一人暮らしになると面倒なのが部屋の掃除。そんなのは、一人でするよりも二人でする方が早い。そんな理由で二人はお互いに部屋の大掃除を手伝っていて、今日は歩夢の部屋を掃除する日だった。

「やっぱ棚の裏とかけっこう埃たまるよなー」

「私なんか、勉強机の裏悲惨なことになってたからね」

「俺ほんと卓袱台で助かったわ」

 お互いに軽口を叩きながら箒で掃いたり掃除機で吸ったりして、埃を取り終えた棚の裏などを雑巾で拭いていく。

「咲蕾ー、今日の昼どうする?」

「んー。取り敢えず一旦帰ってシャワー浴びて、……面倒臭いし、贅沢して坂の上の牛丼屋行く?」

「いいなー。豚丼食いてー」

「私麻婆丼ー」

 牛丼屋なのにお互い牛丼でないメニューを宣言しながら、歩夢は咲蕾を呼んでもう一度棚を持ち上げた。壁に引っ付くように、場所をずらして下ろす。

「あとはベッドのあたりだね」

 歩夢が毎晩寝ているベッドは、今はマットレスも布団も取り払われていた。敷布団も掛け布団もマットレスも、掃除を始める前にシーツを剥がしてベランダに干してある。

 先にベッドの周りの埃を取ってから、歩夢が頭の部分、咲蕾が足の部分に移動して、いっせーのーでで持ち上げた。何回目かとなる重量に、歩夢は咲蕾の腕にかかる負担を心配する。

 予め話していたように、そのまま横にスライドさせた。ベッドの脚の下には、やはりそれなりの量の埃がこびりついていたようだ。

 咲蕾がベッドの脚の裏についた埃を雑巾で拭いている間に、歩夢は掃除機で床の埃を吸いとった。薄くなっていた茶色から灰色が抜けていく。更に雑巾がけをすると、鮮やかな茶色に戻る。

 最後に二人でもう一度ベッドを持ち上げ、元の場所に戻した。ベッドをスライドさせていた場所に落ちた埃も含め、部屋全体に掃除機を掛け直す。

「よし、終わったあー!」

「お疲れー。今何時?」

「十一時二十四分。シャワー浴びて、あー、十二時半に下でいいか?」

「うん。じゃ、また後でね」

 お昼を食べるための待ち合わせを決めて、咲蕾はシャワーを浴びるために同じアパートの自室へと帰った。

 歩夢もすぐにシャワーを浴びた。洗面所と浴室をつなぐ扉の向こうから、シーツと先程まで来ていた服が入った洗濯機の動く音がする。

 シャワーを終え着替えを済ますと、まだ十一時半を過ぎたあたりであった。スマホをいじり時間をつぶす。




 十二時半少し前。

 歩夢がアパートの一階に下りると、共有玄関には既に咲蕾の姿があった。

「わりい、お待たせ」

「全然待ってないよ。さっさと行こ」

「食った後どうする?」

「ボウリングかな」

「今度は負けねえぞ」

「こっちこそ」

 軽口を叩きながら、二人は並んで坂道を登っていった。

 一話の語り手だった七夕華と、二話の語り手だったのどかは高校生で仲良しです。今回主人公の歩夢は大学生です。のんびりライフは同一の世界ですが、ネタを使うため登場人物が多くなります。が、大きく分けて四つの集団なので許していただければと。

 歩夢は、七夕華の兄椋介(一話未登場)の友人です。咲蕾も椋介の友人です。


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