なんてこったい、こりゃー
憂鬱な気分の中かなり日がくれた駅への道をトボトボと歩く。
あーやだよ、会いたくないよ。
なんで会うなんて言ってしまったんだろう。
いつもの私なら断っていたであろうに。
別に男性恐怖症とかじゃないのにこれまでかなり男子を避けて来た。
高校時代に彼氏がいたがかなり女々しく別れてから数ヶ月くらいは復縁を望まれた。
正直困ったし面倒に感じてた。
南「そういや服装の特徴とか聞いておかなきゃ」
そう思い携帯を取り出したら通知が来ていた。
サイレントモードだから全然わからない。
やっぱり音は出しておいて方がいいのかな。
黒のパンツにキャメル色のチェスターコートを着てます
南「この人、超能力者とかなの?」
さっきから随分とタイミングがいい。
監視でもしてるのかってくらい。
…多分、私が全然携帯見てないからそう思うんだろうな。
南「私の服装も教えておこう」
紺のロングロートに茶色のブーツ、これだけで十分伝わるだろう。
南「さ、後少しだ」
時間に余裕があるから本屋にでも寄ってから待ち合わせ場所に向かおうかな。
新刊とか気になるし。
大学の近くにある本屋さんはこじんまりしてて可愛らしいけどあまりコアな本はない。
やっぱりバスの方が早かったかな…。
駅に無事着いて本屋に行こうとしたがとある人に目がいった。
ベンチに腰掛け手にはどこかのカフェの飲み物、黒髮メガネのイケメン。
チェスターコートに黒のパンツ。
南「あの人…」
農学部1のイケメンと言われてる黒金くんだ。
下の名前は知らないけど柚木がよく「イケメーン!」って騒いでる。
彼氏がいるのに騒ぐから嫉妬深い人だと大変だなっていっつも思う。
そんな黒金くんとバッチリ目が合うとニコニコしながらこっちに来た。
後ろに知り合いでもいたのだろうか。
黒「紺野さん、だよね?」
南「あ、はい」
黒「よかった!チィッターで教えてくれてたけど心配で」
待った待った。
私の頭の中は正直はてなマークでいっぱいだぞ。
こんなイケメンが私に?
何の用??
え、チィッターで教えてくれたって…うん??
南「あなたが…」
黒「あ、自己紹介まだだったね!砂糖の故障じゃなくて黒金爽平。農学部の食品科学学科の2年」
南「紺野南子です。農学部の生命工学科2年」
黒「まさか本当に来てくれるとは思ってなかった。男の子にはガードが固いって聞いてたから。約束すっぽかされたらどうしようと」
え、私の噂はそこまで耳に入ってるのか、ガードが固いって…。
なんか自分の学科内だけじゃなくて学部にまで広まってるとなんだか心が痛い。
南「ガードが固くても約束はすっぽかしません。初めまして、黒金くん」
黒「初めまして、紺野さん。じゃあ行こうか」
おいおいおいおい。
こんなイケメンだと思ってなかったぞ。
これは明日、柚木から尋問だな。
てか、こんなイケメンが私なんかになんの相談なの!?
自分で解決できるでしょ!?!?
とりあえず駅から出よう。
カランコロンに入るといつものマスターがニッコリとしていた。
もう来ることがわかってたみたい。
電話で先に言ったんだな。
ディナーで来るときは電話してって言ってたもん。
黒「紺野さんは何を食べる?」
南「私はほうれん草のグラタンとミルクティーで」
黒「マスター。ほうれん草のグラタンととミルクティー、あとチキンのドリアとコーヒー。どっちもケーキ付きで。…甘いのは苦手?」
いやもう頼んでるじゃーん。
別に苦手ではないしここのケーキ好きだけど!!
南「いえ、全然」
黒「いきなりチィッターでダイレクトメッセージ送ってごめんね。誰だかわからない人なのに。紺野さんのカウンセラーのことは伊鈴から聞いたんだ」
南「え、伊鈴から?仲良いの?」
伊鈴とは、私の高校時代からの唯一の男子友達で同じ大学にきている。
狙ってると聞いて私がプッシュした。
本名は斉藤伊鈴。
時々、大学内で会うが本人同士はあまり仲がいいと悟られたくないから話はしない。
2人で飲みに行くことはあるがそこまで頻繁ではない。
黒「伊鈴にいろいろ相談してたら「俺の知り合いがカウンセラーの資格持ってるからそっちで話せ」って。てっきり嘘かと思ったら伊鈴ったらその知り合いの写真まで見せてきたから」
南「そ、そうだったんだ。どこでバレたのかわからなくて」
黒「伊鈴から連絡したと思ってた。ごめんね、怖がらせちゃって」
南「あ、ううん。気にしないで。伊鈴はいつも肝心なことは連絡しないから」
黒「その相談っていうのが……」
次回!!驚きはしないが相談会はじめ!
腹が減りすぎてお茶で気を紛らわせてます。
突然の雨に交通手段を失いました、あはは。
名前は直感で決めてるので特になんの意味もありませーん!