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蒼き閃滅のドラゴンハート  作者: ドラソード
プロローグ
8/30

第5話 苦悩

遅くなりました。少々展開を考えたりするのに手こずっていました。ここから少しずつ戦いが増えていく予定です。まだまだ不定期になるかもしれませんがよろしくお願いします。

修正5話


第5話

苦悩


相変わらずここの布団は何時間も寝てしまう。昨晩は10時位には寝ていたが気がついたら朝の9時か。流石に今回は丸一日は寝ていないようだ。時計の日付は昨日から一日経っていた。


昨日はあの後身体中を検査と言う名目で調べあげられ今日は同意書やら書類やらを書かされたり、講習やらなんやらとこの前思っていた以上に現実的な事をやらされている。


それに俺が入ると決まったら決まったで今度は凄い速さでスムーズに話が進んでいく。


実際一般的に考えられている基地とか悪魔とかのイメージとは現実は全く違う。

むしろ結局見慣れた様な、よく見る職場風景や手続きの様な感じの物ばかりだった。そして結局退屈な時間だけが経過していった。



「本当に良いの?隆誠。知らないうちにいきなり1人でいろいろいっぱい背負い込んじゃってるけど。別に私ならもう不思議探しについては嫌になるほど見れたから……もうこれ以上何かをしたいわけでもないしそれに私達は子供だし……そんな無理をしなくても・・・」


悠里が珍しくしんみりとしている。実際昨日俺がこの基地に所属して戦うって話を悠里にしたら最初こそいつものペースではしゃいでいたがだんだんと落ち着いてきたら色々と心配になってきたようだ。


「昨日言っちまったからな……男に二言は無い。まあ俺の力がそんなに強いんならむしろ、主人公になってみるのも良いかなってな」


あの言葉が意味すること、それは恐らくこの騒動が終わるまで普通の暮らしができないこと、家にも帰れないこと、死と隣り合わせの場所で戦わなければいけないと言うことだ。


「まあ……何だかんだで本当に良かったのかい?司令に何を言われたのかはわからないが僕は別に君に戦ってもらうとかは考えていなかったけれど」


心配そうに竜剣も話しかけてくる。実際戦いなんてしたくないと言う本心もまだ少しあるのだが言ってしまった以上もう発言を撤回できそうもない。

こうなった以上はこの話を魂属とやらの力でちゃちゃっと終わらせるしか無いだろう。


「しかし司令も何を考えているのか、こんな子供を巻き込んで。でも……やはりあの力はそれ程凄い物だったと言うことか」


「話によると未来でルシファーと戦いあと一歩のところまで追い込んだ能力者の過去の存在とか……」


「なるほどねぇ……あのルシファーを追い込む、か。余程の能力だったのか……」


「となるとやはりルシファーと因縁か何かが?」


「因縁も何も過去で奴と全てを賭けて戦った事もあるよ。実際並大抵の能力者じゃ近づく事もその姿を捉えるのも不可能な絶対的な強さだった・・・」


やはり思っていたいた以上にこの男はかなりの実力を持っている様だ。

その最強であるはずの悪魔を相手に苦戦をしつつ普通に生き残っている辺り通常の人間とはやはり違う。


だがその圧倒的強さ故に俺の中にはまだ不信感もあり、この男に対してはまだ多少距離を置く事にしている。


とそんな事を考えていると不意に竜剣が口を開いた。


「うーん……とりあえず君はセイクリッドに入隊し一応仮だけど立場的にも同僚になったんだ、とりあえず君とかだとアレだしお互い呼び名を決めるとするか」


こちら側の意志とは反して男の方は親密に接してくる。逆にそれが初対面とのギャップも合わさり不信感を増大させる。


「ではそうだな・・・君は何か要望はある?」


「まああまり気にはしないが・・・無難に名前で・・・」


「そうか・・・では僕もそうさせて貰うとするよ」


「宜しく……竜剣……さん」


「ああ、こちらこそ、隆誠」


それから登録等も終わり俺は正式にここの団員となった。今までは保護対象だったのがこれからは見習いの研修生と言うか団員扱いとなるらしい。ちなみに悠里は変わらず保護対象として保護される方針で固まったらしい。


そう言えば話によるとやはり地上では最近話題の行方不明者に今度は子供が数人出たとかでかなりの騒動になっているらしい、というか俺達もその中に入って居るのだろうな。


地上ではどのような騒ぎになっているのか……ただ司令の考えであくまでもこちらの世界に関わる者を減らし一般人を巻き込まない様にしていく方針らしく、俺や悠里の両親にこの事を伝えたり保護をしたりはあえてしないそうだ。

暫くは息子、娘の勝手やミスで迷惑をかけることになるが許してくれ。


因みにある程度話に折り合いがついて落ち着いてきたら早めに悠里は家に帰されるようだ。まあその方が彼女の為にもなるか。



あれからしばらく経って今日は悠里と2人で竜剣に施設の細かな案内をしてもらい、その後再び能力や身体の検査を行うそうだ。

ますます日本の職場らしさみたいな物が垣間見えるな本当に。現実はアニメや漫画の様には行かないということか……



「……とさて、ここが研究開発室、この基地の戦闘員達の武器や装備を開発、研究したりしている場所だ。普段はやたらとキャラが濃いちびっちゃいのが居るんだけど今日はちょっと不在なんだよね」


部屋の中は周りよりもさらに近未来的で見たことがないような機械しかなかった。その一つ一つが物静かに作動していた。また、一番驚かされたのが……


「機械が自動で……!?」


「そう、まあただでさえ人員不足でさらに精密な作業が必要になってくるからな、精密に動けて量産できるドローンは効率がいい。と光一さんは言っていたね」


そう考えるとそうか……しかし制作ドローンの話はわかったがそうすると資材や食料等の入手源は一体どうなっているのだろうか……また今日の夜も眠れなさそうだ。


「見て!! 隆誠!! ロボット!! ロボット!!」


少し調子を取り戻してきた悠里が横で飛んで跳ねてはしゃいでいる。こうして無邪気に笑う姿を見ると隼人も悠里も、二人とも救えて良かった、と心の底から思う。


と言うか隼人は地上では元気だろうか。実際アイツにも無駄な心配かけちまったし一連の騒動が終わったら少し土産話を聞かせてやるか。



「見てのとおりここは訓練室、演習や日々の鍛錬はここで行う。普通の練習試合から射撃練習、筋トレや魔力回路の構築を行える設備まで沢山あるよ」


周囲にはこの基地の戦闘担当の隊員と思われる人々が練習試合や筋トレ、射撃練習を行っている。


「凄い設備、ウチの特訓場や近所のジムの設備の比じゃ無い……今度使わせてもらって良いですか!?」


「良いよ良いよ、ぜひ使ってくれ、元気ある事良し、日々の鍛錬良しだ」



「ここがブリーフィングルーム、まあ言うなれば作戦会議室、普段はあまり使わないけど大型作戦とか緊急収集の時はここで会議を開くからね」


中には未来的な椅子や机、電子黒板?と言うか巨大なモニターがあった。ある意味中学校の会議室みたいだ。



「さて、ここが大体僕達の活動メインの場所となってくる少し重要な場所なんだが……そう、ここがオペレーションルーム。まあここで敵の反応を察知し情報とかを現地で戦っている人に教える司令塔的な感じだね」


あたりにはオペレーターと思われる人々がパソコンと向き合い情報をまとめている。中央には巨大な球体のモニターがあり、何か反応があった場合や巨大な魔力変動があった場合などに表示できるらしい。



「とまあこれくらいしか設備は整ってないんだよねえ。実際資源もかなり限られているし必要最低限の物しか置けない方針だね。まあとりあえず中の説明も終わったし次は……」


『連絡、この基地内全てのスタッフはブリーフィングルームに集まること、繰り返す、この基地内の全てスタッフは……』


「お、いよいよなんか進展があったみたいだね。とりあえず行くよ」



ブリーフィングルームに向かうとスタッフが全員びっちりと座っていた。まだ席も何箇所か空いており俺と竜剣は各自席に着いた。


悠里は一応外部の人間として居るため会議室には入れないため、食堂で飯でも食べて待っているそうだ。


しばらくするといつもの見慣れてきた姿の司令、緋崎光一が姿を現した。


「忙しい中皆すまない、早めに報告しておきたい事があったから集まってもらった。まず急な話になるがこの前存在が確認された因子B、因子Cに進展があった事を報告させてもらいたい」


辺りが少しざわつく、周りの隊員は何の話かわかっている感じなのだろうか。


「まずは因子B、ダーインスレイヴの存在に着いての報告だ」


いきなりの横文字だ。まあダーインスレイヴ、昔本かゲームで聞いたことがある。

確か装備者が鞘から剣を抜くと装備者が狂気に堕ち剣が血を求める様になる剣、だったか。そんな物も本当に存在していたのか。


まあ悪魔や秘密組織、タイムマシンやらが存在していた時点で大した事は無いか。


「この前報告させてもらったあの廃ビル地下研究所、あの場所に調査隊を送った所あの研究所の中で恐らく、ダーインスレイヴの一部と思われる存在が確認された。そしてそれに対しての研究が行われ、その研究には他所から拉致されてきたと思われる研究者も数人使われていると確認された」


再び周囲がざわめき始めるも緋崎は更に話を進める。


「そしてもう一つ、一昨日の戦闘の際竜剣が黒服から回収したスーツケースの中を調べた所、そこに研究所のそれとは別のダーインスレイヴの破片と思われしものと研究書類が確認された。恐らくあの時スーツケースを回収出来ていなかったら向こうの研究所内部でダーインスレイヴが修復され、悪魔らによる地上の進行が始まっていたかもしれない」


おいおい……あの時ってそんなにヤバい状況だったのかよ聞いてないぞ。


というか先程から出てくるそのダーインスレイヴとかって言うのは一体どういった物なのか気になる。本当にヤバい代物なのか。


「またもう一つ、現地偵察班からの通達だがどうやら内部で動きが確認され、近いうちに研究所の悪魔、研究者達の大規模な移動の可能性があるとの事だ。恐らくこの前の騒動で悪魔達も感づいたようだ。ここで奴らに別の場所に逃げられると場所の特定が再び難しくなる可能性がある」


まあ入口の前であんなに派手にやらかしたら警戒されるわな。実際あの場でよく増援とか来なかったよなと思う。


「よって以上の事から準備ができ次第早急にあの基地の攻略作戦を隠密下にて行う。またその作戦の詳しい概要が決まり次第連絡する。それまでは各自待機していてくれ、以上だ」



以外と話は早く終わりそれから各自バラバラに解散した。

俺と竜剣は部屋を出ずその場で詳しい話を話していた。


「僕も驚いたけど本当に盲点だったね、あの場所は」


となるとあの場所は特定出来ていなかったということになるのだろうか。未来の技術とやらというものは凄いのか万能なのか、穴が多いのか思っている以上に完璧でないのかよくわからない。


「まさかあんな何も無い街のどうでもいい様な廃墟の地下に基地を作るとは悪魔側もこちらがダーインスレイヴの所在を確認出来ないことをうまく利用したな……」


「じゃああの時俺達が居なかったらって事はそういう意味合いもあったと」


「まあそうだね、たったあれだけのことだが止まっていた戦況を一気に動かすだけの鍵となったと。それでも結局の所猶予はあまり無い感じかね……」


「少し気になったのだがあのダーインスレイヴってのは……?」


「ああそうか、君はまだルシファーがこれからやろうとしていることや詳しい話は聞いていない感じか」


実際この前司令と会った時は大体の話を聞かされただけだった。そもそもまだ因子やらなんやらと言った細かい話は全く知らない。


「まあ……何だろうな、因子ってのは時空の運行で特に重要な、大きな変動が起こりうる点での分岐の鍵になる様な物かな。僕達は悪魔が将来的に地上を支配するのを止める為に過去で分岐を変え、悪魔を倒し絶滅させる、そういった目的で今ここにいる」


竜剣は話を続ける。


「そしてその因子の一つにダーインスレイヴと呼ばれる古代の魔剣の復元を阻止する、と言ったものがある。まあダーインスレイヴは遥か昔に存在していた強大な力を持った魔剣で、あらゆる物から魔力を奪い去り自らの力に変えてしまう、と伝えられて来た魔剣だね。現代ではもうバラバラの破片になっちゃってるけど緋崎さんの話によると未来ではルシファーがその魔剣を復元し手に入れた事によりあらゆる能力者から自分以外の力を奪い無力化してしまったらしい・・・」


「つまりその魔剣を完成させなければルシファーに太刀打ちできると」


「まあ君も鋭いね、そうだ。能力を主体に戦う能力者にとってそれの完成は死を意味すると言っても過言では無い。まあそれだけを防いだ所ではまだルシファーには色々と問題があるんだけどね・・・」


「問題?」


「まあ魔剣を完成させない事も重要なんだけどそれでもルシファー単体の力の一部が少し減っただけに過ぎない。まあその為こちらに有利に話を進める為に因子を探しているんだ」


「なるほど……」



こうしてとりあえず一連の話が終わった俺と竜剣は悠里が待つ食堂へと向かった。するとテーブルの一つの周りに人だかりが出来ていた。


「すげえ、この子やっちまった……」


「俺達でも無理だってのに……」


「ん、どうした?何かあった感じかい?」


竜剣が人だかりに声をかけた。


「竜剣さんじゃないですか、いや〜噂の保護対象の子がいきなり食堂に来てメニューを見ていったと思ったらまさかの特盛りカツ丼の早食いに挑戦して……まさか軽々と平らげちゃったんですよ!」


その人だかりの中心に目をやるとそこには幸せそうな表情の悠里が座っていた。


「いや〜食った食った……って隆誠じゃない。何? 話し合いは終わった感じ?」


「終わった感じって……お前何してんだ」


「いや〜食堂で待っててって言われたから来たんだけどさ、やっぱり食べ物の臭いがしてきたらお腹空いてきちゃって……料理頼もうとしたらなんかここでの特別な通貨が必要って言われて……そんな物無いからさ……でメニューをよく見たら特盛りカツ丼の記事があって時間内に食べきれたら無料ってあったから挑戦してみちゃった。まあ凄く簡単だったけど」


悠里の目の前のテーブルには普通の丼の数倍はある器が空で置かれている。器と一緒に置かれているタイマーは残り10分を指していた。


「一応聞くが……悠里が食ったのか?」


「そうよ。何も頼んでみたらうちの道場の飯の2分の一程しか出てこないんだもの」


流石男だらけの武道の世界に生まれたわけだ。食いっぷりも男に負けないな。


「お前……まあいいや」


とりあえず俺と竜剣も席に着く事にした。周りの隊員達は気が付くともう散っていっていた。


「さて、話もひと段落したししばらく休憩したらまた隆誠の入隊の手続きに戻りますか……」


「次の手続きは何を」


「まあ実際手続きはほとんど終わったし……次は君の身体能力や魂属についてトレーニングルームで詳しく見せてもらおうかね。実際まだ君の本質はほとんど分かっていないからね」


というか俺も実際自身の力や能力とか体に起きた変化については把握しきれていない。この際だ、晴らせることは晴らしておくに限る。


「それじゃあ僕達もちょっとした飯を食ったらぼちぼち行きますか」


俺達は席を後にし訓練所へと向かった。









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