宮音真希奈の研究日和1
宮音真希奈の研究日和1
うるさいあいつ
あいつがこの基地に来てからというもののやたらと辺りが騒がしい。
かつて悪魔との戦時中に戦死した最強の能力者である高坂隆成の過去での存在、と司令は言っていたがあの無邪気、と言うか少々幼稚なあの少年が私にはあの隆成と同じ人物とは思えない。
いや、それもそうか。この時代の隆成はまだ戦いに携わっていない少年だ、彼が昔からあの悪魔を皆殺しにしたあの復讐鬼隆成だったという事は無いはずだ。
そう考えると何だか少年時代の彼に会えてラッキーな様な、戦いに巻き込んでしまって申し訳ないような気にもなった。
でも・・・それにしてもキャラが違い過ぎないだろうか。到底彼と同じ人物には見えない。
彼は基本的に無口で感情を表に出すことは無かった。
ただ悪魔が現れればその場に赴き悪魔を一匹残らず殺して回る、彼が訪れた後に死体は一つも残らない、何せその龍の炎の火力は強過ぎた。
彼は悪魔と唯一互角に戦える存在、『龍』を名乗り悪魔と力無きそれでも戦う者たちの象徴として戦い未来で戦い大悪魔、ルシファーの前に散った。
その炎は悪魔にとっては苦手とする神聖な火であり陽だった。光や炎を弱点とする悪魔にとってはそれこそ恐怖その物であったと言う。
そんな彼のイメージが色々と狂ってしまいそうだ。
厨二病でよく喋る、何事にもすぐに驚く、無茶な性格、全くもって真逆の人物だ。
いや、厨二病な辺りは少し似ているようにも感じるか。何せ彼の能力の名前をつけたのは彼自身、『魂器具現』本当、イタすぎるわよ。
まあでもあいつが過去での隆成なのかは実はまだ確証が取れていない。
実際話によるとあいつが使った力は炎なんて物では無くむしろ熱線、というかもはやビームだったらしい。
実際今既に正規の時間軸から比べれば今の時間軸は過去改変等を繰り返し更にあいつの件などかなりイレギュラーな状態になっているはず。
もはやこれから起こることは今まで通りとは限らない。それこそ悪魔の進行が早まる事もありうるし進行が起こる前に止められる可能性もある。
まあともかくあいつがこれからの事に関してはかなり重要な立ち位置に居るのは間違いない。とりあえず無鉄砲、無計画なあいつが早死にしない様にサポートとしてあげるのがあいつよりも数十年先に生きている『物』である私の務めなのかもしれない。
私は半壊したリザードマンを前に黙々と改良作業を続けていた。
という訳で真希奈の考え事です。早速未来での隆成を思わせるワードが多発しましたが・・・それに数十年先に生きている、意味深なワードばかりですがこれらも少しずつ解明していく予定ですのでご期待下さい。