時計回り
「じゃあ時計回りで当てていこうか」
会議を兼ねた昼食の際、私が皆にそう言った時である。
「おっおい!なんだありゃあ!?」
1人の男が時計を指差し叫んだのだ。
あまりの驚き様に私はすぐさま彼の指差す方向を見た。
なんの変哲もない、ただの掛け時計である。
いやしかし待てよ、昼食を食い出したのが12時半頃であったはずが、今針は11時40分を指している。
妙だぞと思った時、秒針が逆に回っているのに気がついた。
そして時は11時39分になったのである。
「なんだありゃ」
皆、折々にスマホや腕時計などを確認し始めたが、どれも同じ状態である。
時が後退し始めたのだ。
全世界がこれからどんなパニックになるのか、私は様々に思いを巡らせていたが、とりあえず今はそれらのことは置いておいて皆にこう言った。
「じゃあ時計と逆周りに当てていこうか」