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あるひもりのなか

とってもお久しぶりです。

とにもかくにも完結させるべく戻って参りました。

遅くとも今年中には終わる……はず。

よろしければどうぞお付き合いくださいませ!

という訳で、1話冒頭へ戻る。




女の子は道なき道を歩いていました。


正規のルートでは時間がかかり過ぎるし、何より通行料がいるからです。



正規のルート以外を通れば、人間を見つけると襲いかかってくる魔獣から通行人を守ってくれる護衛係もいません。


基本的には人間との積極的な接触を好まないはずの魔物に遭遇してしまうかもしれません。



ですが、女の子は少しばかり腕に覚えがありました。


理性なき異形である魔獣も、知能を発達させた生き物である魔物も、どちらが来ようとも蹴散らせる自信があったのです。


襲われるかもしれない可能性よりも、確実にお小遣いの取り分を守れる方を選んだのでした。




そもそも、どうして女の子はこんなところにいるのかといえば、お母さんの陰謀が原因でした。






▼▼▼▼▼




女の子は花屋さんへ赴き、唖然としました。


花束の値段が思っていた以上に高かったのです。


これではお使いのお駄賃となるはずのお釣はほとんどありません。



困った女の子は少し悩んだあと、何も買わずに花屋さんを去りました。



「行きずりに摘んでこ」



花代をそっくりそのまま手に入れる決意を胸に、おばあちゃん家へと向かう女の子。


早く終わらせてごろごろしたい、あわよくばおばあちゃんから小遣い貰えんかな、と欲望全快で、とても足早に街を通り抜けました。




街外れに住んでいるおばあちゃんは女の子の真っ赤な頭巾を作ってくれた人です。



「突然魔獣に襲いかかられたり襲いかかったり……何があるかわからんからねぇ」



おばあちゃんは女の子の腕っぷしを鍛えた張本人でもありました。


過激な思想はお母さんを経由して、脈々と受け継がれているようです。



自分と何かと似たところを持つ孫を大層可愛がってくれるおばあちゃんが、女の子は大好きでした。


出かけるのは面倒だけれど、おばあちゃんと会えることは楽しみにしていました。




ところがどっこい、そこにおばあちゃんはいなかったのです。






「ちょっとお母さん!」


「あら早くない?」


「暢気か! おばあちゃんいなかったんだけど⁉」



女の子は鼻息荒くお母さんへ詰め寄りました。


一方のお母さんは不思議そう。



「……何、あんた……街外れに行ったわけ?」


「他にどこに行けと‼」


「おばあちゃん引っ越したじゃない」


「なん……だと?」



驚愕の真実。


なんとおばあちゃんは既にあの街外れの家から引っ越していたのです。


そもそも今回のお使いは、引っ越し祝いを渡すことだとお母さんは言います。



聴いてないぞと女の子、しかしそれを言えば聞き逃しただけだろうと言われるだけだと口をつぐみました。


代わりに、新たなおばあちゃん家への道を聞いた女の子に渡されたのは、この地方の地図。


悪い予感のする女の子は、それでも恐る恐るですが確認をします。


しかしお母さんの返答に慈悲はありませんでした。



「隣街へ行く途中の森に引っ越したから」


「何故そこにしたしおばあちゃん」






▼▼▼▼▼




陰謀。


そう、陰謀です。


例え誰に何と言われようとも、女の子に撤回する気はないのです。


お母さんが悪い、以上。




……そういうわけで。


「お母さんの陰謀」により、女の子は現在森の中。


但し、おばあちゃんの住むという森はこの森を抜けた先です。



「今買ってっても弱っちゃうから」



そう言ってごまかした、持っていたはずの花束がない分、身軽に進むことが出来ました。


おばあちゃん家には隣街からの方が近いので、そこで買う予定にしています。


……しかしまあ、予定は未定とも言います。


女の子に花束を買う気は更々ありませんでした。



きっとおばあちゃんはその辺の草花でも喜んでくれるに違いない。


女の子は希望的観測が大得意でした。




そんなことを考えながら森をゆく女の子でしたが、ふと、



がさがさがさがさ

たったったったっ



進行方向から、何やら物音がしました。


何かが走っていて、段々とこちらへ近づいてくるのがわかります。



女の子は動きを止めて、耳をすませ、じっと音のする方を見つめています。



がさがさがさっ



ついに、目の前の草むらが、揺れて────


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