プロローグ
4月1日。
黒木正義は、商店街をただ歩いていた。
今日の夕飯を何にしようか考えて、肉や魚屋。八百屋などに寄っていると、一台の車が勢いよく突っ込んできていたのであった。
違和感はあった。
この時間は車両通行止めなはず。
直ぐに思考をやめ、この場から離れようと移動をしようとしていたときに、同じく逃げようとした人に押され、座り込んでいる少女が見えていたのである。
危ない。
そう考える間もなく、身体は動いて少女に向かっていたのであった。
少女を抱えるがもう近くまで車が突っ込んでいたため、少女を投げ飛ばした瞬間。痛みと共に意識はなくなったのであった。
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(やぁ。)
(そろそろ起きてくれないかなぁ。)
(ねぇってば。)
うるさいなぁ。って思い目を開けると真っ白な空間で1人の少女があぐらをかいて空中に浮いていた。
(やっと起きたね。)
「貴方は誰でしょうか。ここはどこなんでしょうか。」
(私は運命を司る神様。ここは私が創り出した世界。貴方には謝らなければならないんだけど。私の予定では貴方はまだ生きる予定であったんだけど、死んじゃったから行き場がなくなったんだよね。)
「あーそうだ。それよりあの子はどうなったんですか。」
(君は自分の事より他人の事を考えてるんだね。)
(あの子は、車からは助かったよ。車からはね。あの子は呪いをかけられているといった方が分かりやすいのかな。あの子は死神に愛されているといった方が分かりやすいのかな。君の命で少しは長く生きる事はできたけど、また不幸な事故に巻き込まれる運命を背負っているんだよ。だから早く転生させてあげたいんだけど、間違って君が助けちゃったから、少し先延ばしになったね。)
「つまり、俺の死は無駄だったのか?」
(そうだね。結果としてはそうなるね。さて、早く次の話をしようか。君の運命が捻じ曲がったので新しく別の世界に行ってもらうんだ。)
「そこはどんな世界なんですか?」
(所謂、魔法や剣などや多くの種族のいるファンタジーのような世界だから。命の危険もあるけど、一度死んだんだから大丈夫だよね。)
「まぁ、何とか頑張ってみます。」
(加護だけは与えておくから。分からなかったら協会で祈りを捧げといてね。どの種族になるかは分からないけど。じゃーね。)
そう言い残し、強制的に意識が途絶えたのであった。