表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一輪に両手を  作者: リン
79/120

20.向こう側の世界2(遠藤輝彦・高山剛)

 ゴウさんに頼りっ放しじゃあダメだ。俺が、こいつらを克服しない限り、ゴウさんを安心させることはできない。

「遠藤くん。メグちゃん、可愛いじゃねえの」

「……見たんすか? 可愛いっしょ」

 メグは絶対に、守る。

「俺らも手荒なことはしたくねえからな。わかるだろ」

「心配しなくても、いちいちゴウさんを呼んだりはしないっすよ」

 反吐が出る。ビビり過ぎなんだよ。

「あ、そうそう、実はメグよりもっといい女がいるんすわ」

「何だ、お前、あの女は遊びなのか」

「ま、そういうことっす。近々乗り換えるつもりだったんでね」

「へぇ。どんなコだよ。紹介しろよ」

 本当に面倒なやつらだ。下手な嘘だと意味が無いからな。

「陸上やってる同級生っす。走高跳やってるんでスタイルも抜群っすね」

 どうせこいつらに陸上のことなんかわかりはしない。

「あ、高山さん。忙しいところすみません。ええ。そうなんですよ――」

 ゴウさんと電話? まさか、こいつ……!

「――遠藤がどうしてもって言うんで、わかってますよ。はい。それじゃ」

「先輩、今の電話……」

「藤井由希ちゃん、ね。嘘じゃなかったみたいで安心したわ」

「……嘘なんか、吐いたりしないっすよ」

 迂闊だった……! 藤井、悪い……くそっ!

「心配すんな。俺らは手を出したりしねえからよ。手伝ってやるだけだ。任せておけよ」

「そんなに気を遣ってもらわなくても」

「遠慮すんな。まぁ、まずは色々聞かせてくれよ。仲良くしねえと高山さんも困っちまうからな」

 笑っているんじゃねえよ……。

 でも、ここでしくじる訳にはいかない。藤井のことは、あとで何とかケジメをつけるしかないな。


 まずいな。どんどん情報が膨らんでしまう。シュウまで巻き込んだら、あいつは絶対首を突っ込んでくる。どうすれば――

「よし。んじゃとりあえず、週末、お前は遊びには行くな」

「は? どうしてっすか? まぁ、元々行くつもりは無かったっすけど」

 糞真面目なシュウではメグと何かが起こることはあり得ないし、そもそも俺がいるとこいつらがいつ出て来るのかわかったものじゃない。

「だったらそれでいい。三人で遊ばせればいいだけだ」

「それ、何か意味あるんすか」

「お前より由希ちゃんに近い男を片付けりゃ、お前のモンになるだろ」

「片付けるって、手ぇ出すのは無しっすよ」

「わかってるよ。候補から片付けるってだけだ。評判を落として、色々迷いがある時に脅してやれば、コロっと落ちる」

「はぁ。流石っすね」

 そんな下らない作戦が上手くいく訳があるかよ。

 とりあえず、これでメグを盾にすることは無くなるだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ