16.一途な想い1(村松恵・中島夏樹)
恵ちゃんは、堂々と遠藤くんと手を繋いだりできて……凄いな。
「どしたの、夏樹。アタシのこと、好き?」
「うん。え、あ、違う! そうじゃなくて」
「うん、アタシも女のコはちょっと、ね」
私は、変な意味じゃなければ、恵ちゃんのこと好――
「だから、違うんだってば。恵ちゃん、大胆だなぁって」
「え、夏樹、女のコなのに胸とか興味あるの? もっとよく見せてあげよっか?」
確かに、どうしたらそうなるのかは興味あるけれど……。
「ねえ、恵ちゃん、わざとやってるよね」
「何か悩んでるんでしょ? お姉さんに話してみなさい」
誕生日は私の方が早いのに。でも、私より、しっかりしているんだよね。
「うん、あのね。私、好きなヒトがいて」
「シュウくんでしょ?」
「え? あ、その、あれ?」
何でわかるの? 誰にも言っていないのに。
「アタシが気付かないとでも思ってたの? たまに一緒に部活見に行くけどさ、あれだけ目を輝かせて姿を追ってたらわかるって。いいじゃん、はっきりしちゃいなよ」
「あ、うん……。早瀬くんのことが、好き、なんだけど」
目を輝かせてって……本当かな? 恥ずかしい……。
「で、どうして欲しいの? 今日、告白する?」
「そんな! 無理、無理だよ」
「わかってるよ、夏樹のことは。放っといたらいつまでだって悩み続けるかもね」
恵ちゃん、それ、私は笑えないよ。
「あの、早瀬くんって、付き合ってるヒトとかいるのかな」
「……それ、関係あるの? いたら、どうする?」
「え、何も、しない」
彼女さんに、悪いよね。
「じゃあ、いなかったら?」
「えっと、ちょっと話してみたいなって」
「ねえ、夏樹とシュウくんって同じクラスでしょ」
「うん、そうなんだけど……何か用事が無いと話せなくて」
「シュウくんのことが好きっていう大事な用事があるでしょ」
好き好き言われると恥ずかしいよ……。
「恵ちゃん、私のこと、わかるんだよね」
「はいはい。無理ですね」
うぅ……。
「由希ちゃんに相談してみようかな。早瀬くんと親しそうだし」
「夏樹。アタシ、知ってるよ。シュウくんに彼女いるかどうか」
「そうなの? それ、聞いてもいい?」
「もちろん。相手はいないから、頑張りな」
「そうなんだ。あの、最初、ちょっと手伝って欲しいな……なんて」
「わかってるよ。テルくんとシュウくんはアタシ達くらい仲良しだから、一緒に遊びに行こうってテルくんにお願いしてみるね」
「うん。ありがとう」
いきなり、デート……。恵ちゃんがいてくれるなら、大丈夫かな。




