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ばろっコ!  作者: 本能
1/1

その1!

このしょうもない小説に目をとめて下さったこと、まずは感謝致します。



はじめまして、本能と申します!


ここでは初投稿なのでドキドキです。



まぁいままでに幾つも小説を書いてはいるんですが、一向に向上せず笑



なので、皆様のアドバイスをいただけたらいいと!思っております!



こんな小説ですが!



しかも更新が多分ちょーーーーーーー……遅くなることをお約束致します←ぇ



いや、気分がノってるときは何ページでも行ける気がするんですけどね…



まぁ前書きはこの辺にしときます。

キリがなくなりそうなので!



最後に!

読んでくれて感謝してるよベイベ!!←←



ブロロロロ…



モーターの音が、心地よく海の上を渡っていく。

息がつまるほどの潮風に、私は思わず目を細めた。



日本列島から遠く離れた島、明時島アカトキトウ

この海の向こうにある、この船が向かう島。

そこに、私が転校する学校がある。



明時学園。



強い潮風が、私の短い髪を跳ね上げていく。



まるで、日本から隔離されたような島。

その島に、



私は、逃げてきたのかもしれない。



 

[その1!]



「………」



「……………」



「……あのー?」



私は、予想外の事態に呆然としながら口を開いた。



「なんでしょう?木ノ下さん」



そして、この隣に笑顔で立っているスーツ姿の男に苛立ちを覚える。



私は気持ちを落ち着かせようと深呼吸して言った。



「ここ、何ですか?」



「木ノ下さんの寮部屋ですが」



……即答!!



私は全身から力が抜ける思いがした。



†††



島に付き、船から降りた私を出迎えたのはスーツ姿の男だった。



「佐藤と申します」



「え、あぁ…どうも」



誰こいつ。

顔的に超うさんくさい。それでいて名前的にどーでも良いキャラじゃん。



「木ノ下瑞希さんですね?お待ちしておりました。今日は私が、木ノ下さんの寮部屋まで御案内いたします」



「は、はぁ」



何だ、結構できてるじゃないの。迎えとか。

流石は大金持ちの理事長だけある。佐藤さん、うさんくさいとか言ってごめんなさい。



「それでは、こちらにお乗りください」

「え、どれですか?」

「これです」

「これですか?」

「そうです」



…………。



「これってあれですよね、あの、化学の炎色反応のゴロ合わs……」←分かる人だけ分かれ



「リヤカーです」


「そうそう、リヤカーなきK村……」



は?

リヤカー?

リヤカーに乗れと?

リヤカーって人が乗るものだっけ!

そうだっけ!





「イジメですか?」

「大人の事情です」



前言撤回。

ふざけるな佐藤。

私は努めて冷静に言う。



「あの、リヤカーなら結構です。歩いていきます。では」



人を案内するのにリヤカーだと?

寝言は寝てから言え。



私は佐藤とリヤカーの横をすり抜けて歩き出す。



そして立ち止まった。



「………」



再び佐藤のところまで戻ると、右手を差し出し、笑顔で訪ねてみた。



「あの、地図は…」



「木ノ下さん」



「ハイ」



佐藤は終始笑顔だった。



「お乗りください?」



「………」


くそ、負けた……。



私が見知らぬ島を歩いてどこだかわかりもしない寮部屋まで辿り着くのは無理な話だった。



「木ノ下さん。時間がないので素早くお願い致します」

「……はい」



「口は閉じていてください。舌を噛みますよ?……では出発します」



ガックン



「……う゛っ………」



自転車にくくりつけられたリヤカーは、ボロボロ感を出しながら動き始めた。



それにしても佐藤…似合わないよ、君に自転車は。



自転車をこぐ佐藤を後ろから眺めながら鼻で笑うも、実際一番酷い格好をしているのは自分だと言うことには、言われなくても十分気づいていた。



†††



そして。

私は全身の脱力感に苛まれていた。




「木ノ下さん、どこか体の具合でも?」

「黙っててもえますか」



私の目の前にあるのは、良く分からない森に囲まれた、際限なくボロい小屋。



今にも崩れ落ちそうなその小屋を指して、佐藤はこれを『私の寮部屋』だと言う。



佐藤!ふざけるのも大概にしろ。



第一、ここに人が住めるのか?



がっくりとした体で見上げると、背後には綺麗な建物がたっている。



明時学園の寮棟だ。



おかしくないかなぁ。寮部屋って寮棟にあるものだよね?



それが、どうしてこんな森の中の掘っ立て小屋なの。



「イジメですか?」

「大人の事情です」


再び展開される言い合いに、私は溜め息をつくしかない。



「と、言いたいところですが、木ノ下さんがこの部屋になったのはクジで決まったことでございます。呪うなら神様を呪ってください。それでは私はこれで」



そんな私に、佐藤はムカつくにこやかな笑顔のままそう告げると、私一人を残して去っていった。



「………」



一人残された私と、リヤカー付き自転車と、ボロ小屋。



私は今、必死で現状を良い方に考えようと頭をフル回転させていた。



「ま、まぁ私一人が住むにしちゃ大きい方だし?自然の空気って大切だし?」



一人で呟いては虚しくなってくるので、荷物を持ち直し、私は覚悟を決めた。



「……よし、入ろう」



そのとき、私はこの状況がこれ以上悪くなることなんて絶対にないと思っていた。


でも、それは笑えちゃうほど間違っていて。


私のめちゃくちゃな高校生活が幕を上げる。


†††



荷物を持って、小屋に近寄る。



リヤカーは……良く分かんないけどこのままで良いよね?



リヤカーをジトッと一瞥して、私は小屋の前で立ち止まる。

このドアも、今にも取れちゃいそうだな……。



私はためらいながらもドアノブに手をかける。



それは、「私の世界」の終わりと、始まりの合図。



ギギギ……と耳を塞ぎたくなるような音を立てて扉はゆっくりと開いた。



そして、その途端私の目は驚きに見開かれた。



扉を開けた先に続く部屋。



誰もいるはずのないそこに、私は確かに六人の人影を見た。



「……へ?」



呆然と立ちすくむ私。



そんな私に向かって、彼らは一斉に口を開いた。






「おかえりなさい」

「……すみません。部屋間違えました!」




†††



「間違ってなかった……」



私は今、何故か六人の男女に囲まれて座っています。



ここは、家で言うダイニングに当たる場所。



先程、思わず小屋を飛び出した私は、強制的に連れ戻され、粗末そうなテーブルの誕生日席に座らされ、六人の視線を一身に受けている。



―――何コレ?拉致?誘拐?



つーか……この人達誰ですか?



ちらりと顔をあげると、六人が何か促すような表情で私を見ていた。



えーっと?これは……自己紹介をしようと言う空気かな?



私は戸惑いながらも口を開く。


「えー…今日から明時学園に転入してきた、木ノ下瑞希といいます。よろしくお願いします」



一応、初対面は礼儀正しくしないとね。



ここは一先ず愛想良く、と笑顔を見せると、テーブルからは拍手が生まれた。



「……えー……あの……」



「瑞希ちゃん、宜しくね?」



もう一方の誕生日席に座っている、金髪碧眼ド派手男が、物凄い悩殺スマイル(もちろん客観的に見て)をこちらに投げかける。



まるで、ホストのような出で立ちだ。



しかし、このボロ小屋には果てしなく似合わない。



私は思わず笑ってしまいそうになるのをこらえた。



「はい、じゃあいつもの順番で自己紹介!ほら、やって」



金髪碧眼ド派手男は、ぱちんと指を鳴らすとそう言う。



分かった。こいつ、ただのキザ野郎だ。なんだ、そうか。←ちょっとビビってた



その合図で、謎の六人の人達の自己紹介が始まった。



†††



「……白川ちづる。高2」



始めに口を開いたのは、キザ男の近く、つまり私からは少し離れた所に座っている髪色が激しく目立つ男だった。



つーか…コワ……。



髪はうねっていて燃えるように赤い。椅子には両足を投げ出すように座り、鋭い目付きで睨んでいる。

しかも、その右目には眼帯があてられていた。



他にも、口の端に大きなアザがあったり、頬に目立つように貼られた絆創膏があったり…。



ふ、不良だ……。



「ちづる!「次男」ってつけなきゃダメっていつも言ってるでしょ!」


私に一番近い所に座っている男の子が、なんだかエラそうな口調でそう言う。



こんなコワそうな不良に、良く言えるな…。




そんなふうにのんきに考えていたら、突然、ガタン、と大きな音がして、不良さんは椅子を蹴飛ばすようにして立ち上がった。



「名前で呼ぶなっつってんだろ……!部屋戻る」


「あ!もう!お母さんの言うことを聞きなさい!」


不良さんは超低い声で吐き捨てるように言うと、さっさとどっかに消えてしまった。



「……」



「ちづるは名前にコンプレックスがあるからね笑」



不良さんと対等に渡り合っていた(?)男の子が、にやにやしながら私にこっそり耳打ちしてきた。



確かにあの容姿で「ちづる」は可愛すぎる。

てかミスマッチ。

ギャップ。



っつーか……



分かってるなら名前で呼ばないであげたらどうでしょーか?



「じゃー次俺!」



そう言って立ち上がったのは、黒髪にピンクのメッシュが入った、私と同じぐらいの年の男の子だった。



「俺は日向瑠維!高1!えーっと、三男!」



彼は、元気良く言うとニカッと笑った。



「あ、よろしく」



ようやく普通そうな人が出てきたかな。



「瑞希も高1だし、タメってことで宜しくな!」



「うん」



「瑞希何カップ?」



「はっ?」



やっぱり普通の人はいないようです。



「中2、次女、松本夏波です」


次の子は、外見が完璧に、

ギャルでした。



「よ、よろしく……」



ん?



その時私はあるものに気づいた。



「あの、夏波ちゃん、その左目の……」



星と傷は何かな。

激しく見たことがあるのは気のせいかな。

D-グ●イマンの主人公のアレに似てるの気のせいかな。



「似合う?さっき真似してメイクしてみたんだけど、あのD-グ●イマンのア●ンの目のキz……」



ガチだぁあああああ。


「夏波、似合うから、一回洗面台行ってきな。で……その酷い中2顔……落としてこい」



と言ったのは、私の近くのあの男の子だ。



さっきから私は彼が怖い…。



「三女で、えっと、小3!及川澪です!」



そう元気良く言ったのは、この部屋で一番幼い女の子だった。



髪を高い位置で二つに結わいている。元気で無邪気そうな子だ。



「よろしくね」



「よろしくね、瑞希お姉ちゃん!ところでお姉ちゃん」



「何?」



「コン●ームって知ってる?!」


「!!!!!!!」



そ、そんないたいけな瞳で聞かないで!

てかなんでそんな単語知ってるの!



「澪、何言ってんだよ、俺が昨日分かりやすく教えてあげただろ」←瑠維



お前かぁあああ!



「オトコのじょーしき?」

「覚えてるじゃん!よしよし」

「澪、オトコじゃないからわかんなーい」



何なのこの人達!



「二人とも、止めなよー。瑞希ちゃん、怖がってんじゃん」



そう言ったのは、私の近くの例のあの男の子。

私より年下に見えるけど、中学生かな?



「あ、僕は海堂十六夜!高2で、この部屋では「お母さん」やらせてもらってるよ。よろしくね」



私より年上だった……!

それにしても胡散臭い童顔の笑顔だな。



っていうか、さっきから思ってたけど「お母さん」ってなんのことだろう。

他の皆も、次男とか、次女とか…



「あの、お母さんって……」



「その説明は、俺の自己紹介が終わってからで良いかな」



私の言葉は、向かいに座る金髪碧眼ド派手男によりはばまれた。



「はぁ」



そうすると、彼は私に超眩しい、眩しすぎて目が色んな意味でイタイ笑顔を向けてきた。



「………」



「……………」



「紙吹雪」←ド派手男



「今日の紙吹雪担当はちづるだったから紙吹雪なしで続けて」←十六夜さん



「………」



ド派手男は、軽く咳払いして気を取り直すと、言った。



「俺は明時学園の英語教師、温泉津恭一。そしてお父さん。よろしくね」



ウインク…ウインクきたぁ。



私は適当に苦笑いしておいた。



「ところで、瑞希ちゃんが気になってる家族制度のことだけど……」



温泉津先生は、少し身を乗り出して続ける。



「家族制度……?」



「あれ、まだ説明受けてない?」






先生の言葉に、私は素直にうなずいた。



「じゃあ説明するね」



それから告げられる話は、私にとっては胃がもたれるような刺激物だった。



「明時が全寮制なのは知ってるね?」



「はい」



私は頷いた。



「じゃあ簡潔に言おう。明時ではルームメートのことを『家族』と言うんだ」



…………。



私は静かに手を挙げた。



「先生」



「何?瑞希ちゃん」



「ルームメートって何ですか」



「やだなぁ、瑞希ちゃん。同じ寮部屋で共に暮らす仲間の事じゃないか」



―――え?


「瑞希ちゃんのルームメートは、俺とか、十六夜とかちづるとか瑠維とか…」



「えっ?!」



私は思わず大きな声を上げてしまった。



「寮って、各部屋一人じゃないんですか?」



「ん?違うよ?」



えええええええええ!



聞いてない聞いてない聞いてない。



つまり、私はこの超変な人達と一緒に暮らすってこと……?



「あ、あの……」



「何?」



「私、女なんですけど。その、先生とかは男で……」



現実を見たくなくて、私はすがるようにまともな質問をしてみる。



「家族なんだから関係ないよね」



何コレめんどくせぇええ。



まともな質問をした私が間違いでしたはい。



がっくりと肩を落とす私に、先生の眩しい笑顔が突き刺さる。



「瑞希ちゃんは、今日からここの「長女」だよ」



「長女……」



「お父さんお母さん以外は、年齢で決まっていくからね」



「あの、私、帰ります」



こんなところに何か住めないって!



「もー瑞希ちゃんは何を言ってるの。ここが瑞希ちゃんの家じゃないか。だからさっきおかえりなさいって言ってあげたのに。ね、お母さん♪」



「ね、お父さん♪」



そこでいちゃつくなぁああ!



叫びたくなるのを必死で堪える。



これは悪夢か?

悪夢なのか?

だいたい、港に着いたときからおかしいと思ってた。



「もしかしてドッキリ?!」



「「「ん?」」」



思わず叫んだ私を、皆が何のこと?と言うように振り返った。



「さ、十六夜ちゃん、そろそろ瑞希ちゃんを部屋に案内してあげて」



「りょうかーい」



温泉津先生が、十六夜さんに指示を出す。



「じゃ、瑞希ちゃん、行こっか。荷物持とうか?」



「い、いや…結構です……」



夢だろ?夢なんだろ?!



私はまだその考えを捨てきれずにいる。



 

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