6 ミオン、妹を犠牲にする
「今日からこちらの部屋をお使いください」
ミオンに通された部屋は広く豪華だ。そもそも城壁があった時点で想像できたがミオンの家は王都で見た貴族の屋敷と同じくらいの大きさだった。温泉も敷地内にあり、そこから出てきて案内されたのがこの部屋だ。
「ねぇ、あたしの部屋は?」
「え?こちらですけど?」
「じゃあ、恋次の部屋は?」
「え?こちらですけど?」
「…」
涼子とミオンがお互いなにを言っているのだろう?って顔で黙って見つめ合う。
「つまり、俺と涼子は同じ部屋ってことか?」
「はい、なにか問題がありますか?」
「問題しかないでしょ?男と女なのよ?」
「幼なじみなら大丈夫ではないですか?」
「確かに、中学校に上がるまではよく二人で一緒のベッドで寝てたもんな」
「あんたは黙って!小学生の時の話でしょ?」
「そうは言っても他の部屋が全て埋まってますので、それでは」
ミオンがそそくさと出ていってしまった。
「恋次、なにもしないわよね?」
「するわけないだろ?もし、俺がこういう状況でそういうことをするんならもっと早くできる機会がいくらでもあっただろ?」
中学校に上がってからは一緒に寝るなんてことは無くなったが、涼子はほぼ毎日俺の部屋で夜まで二人で遊んでいた。状況だけならいくらでもそういうことはできた、が、俺は涼子が好きだ。涼子が俺の告白を受け入れてくれるまで待つつもりだ。待てるはずだ。待てたらいいな。
「たしかに、そうね、恋次はそういうやつだったわね、あたしが恋次の部屋に下着やストッキングを忘れても捨てといてくれるし、ね?」
涼子がなにか含むような表情で俺に言ってきた。そう、この女は夏の時期になると俺の部屋が暑いと言っては履いてるブラジャーやストッキングを脱ぎ散らかしたうえ忘れて帰るってことを何度かやらかしている。そのたんびに俺は処分していた。
「当たり前だろ!ちゃんと捨てたぞ!」
俺の部屋のタンスの中に、な。
「そうよね、そんな恋次だから信用するわよ、さ、寝ましょう」
凄い遠回しに釘を刺されたが、俺も漢だ、いつでもそんな釘抜いてやるっと意気込んでベッドまで行ったがひさびさの温かい布団ですぐに寝てしまった。
「…やっぱり、こんな異世界に来ても恋次は変わらないね…」
そんな囁やきが薄れる意識に聞こえた。
翌日、俺と涼子はとある部屋に案内された。ミオンの父親である猫人族族長の部屋だった。
「わたくしが猫人族族長、カオンです、この度はうちの娘ミオンを助けていただいてありがとうございます」
ミオンの父親はそう言うと、頭を下げた。俺と涼子はそれにたいして自己紹介をしたあと、お風呂と部屋のお礼を告げた。
「ミオンから聞きました、ミオンに速度で勝たれたそうで、それでしたらあなたはミオンの旦那になる資格がある、とう屋敷はご自由に使ってかまいません、それと、涼子さんは第一婦人だと伺いました、貴女もご自由にお使いください」
族長に会う少し前にミオンが、涼子が第一婦人だとこの屋敷に一緒に住むことの説明が簡単だということを打診され、涼子はお風呂の無い生活がもういやだということで、その打診を受け入れ俺の第一婦人となった。しっかり、そのあと勘違いしないでよねっと言われたが。
「ありがとうございます、助かります、ですが言っておかないといけないことがあります、実は俺と涼子はカイライ王国と敵対してます」
「そうだったんですか?」
ミオンがたいして驚いてない表情で言う。
「ああ、黙っててすまない」
「大丈夫ですよ、どの国のどの王族でも猫人族には手出しはできないですから、なぜなら猫人族はこの世界の流通を一手に担っていますから、手を出せばその国に荷物が届かなくなりますので、ですのでここにいれば安全ですよ」
そう笑顔で言うミオンが少し怖かったのは言わないでおこう。
「そうか、助かる、ありがとう」
「うん、ありがとうね、これでお風呂の無い生活から抜け出せるわ、本当にありがとう」
よほどこの一週間、風呂に入れなかったのがこたえたのか涼子の表情から安堵と感謝が伝わってきた。俺も涼子に安全な場所を作れたことに安堵した。
「ミオンお姉様、そろそろわたしの紹介もお願い」
そう声をかけてきたのは族長の隣に立っていた中学生くらいの背丈の美少女だった。
「はいはい、この子はわたくしの妹、リオンです、恋次様の第三婦人になります」
「え?」
俺の聞き間違えかと声を発した瞬間ミオンの姿が消える。瞬きをした次の瞬間ミオンは先ほどと同じ場所に立っていて、その手に袋が握られていた。とある危険な物をこの村に来る前にミオンに言われてその袋の中に入れてあった。
「お姉様、なにを言って…い…る…の…」
ミオンはためらうことなく袋の縁を開け自分の妹に中身を嗅がせた。リオンの目がトロンとなっていく。
「さぁ、行きなさい」
ミオンが目が虚ろになったリオンの背中を押し俺のほうに差し向けてくる。リオンは背中を押された勢いのまま俺に飛びつくように縋り付いてきた。俺はリオンの身体を支えきれず後ろに座るように倒れた。そして、リオンが俺の顔をミオンがしたように舐め始めた。
「ちょ、ど、どういう、こ、と、だ」
顔を舐められながら声を出すが上手く出ない。
「な、なにしてるのよ!」
涼子が止めようとするが。
「涼子様止めないでください、必要なことなのです、妹の能力は我が猫人族でもレアなのです、是非とも恋次様に覚えていただかなくては」
ミオンが一瞬で涼子と俺の間に入り込み涼子を止めた。そのあとしばらくの間、涼子達に初めて会った少女に顔を舐められるという羞恥プレイを見られた。その羞恥心でなにかに目覚めそうだった。




