2 片思いの幼なじみと異世界逃亡生活
「これからどうしようか?」
涼子と二人であの国から逃げるように出たその日の夜、焚き火の向こうから幼なじみがそう言ってきた。
俺は焚き火で炙っていた干し肉を裏返す。この干し肉は城下町で買った物だ。涼子がこの世界のお金を手に入れてくれたおかげでこうして食べ物が食べれているし、旅に必要な物も手に入れられていた。
「そうだな、とりあえず、俺も能力が無いか確認するな…ステータスオープン」
国から出るので必死だった俺は自分のステータス画面を見れていなかった。こういう異世界転移で巻き込まれた時の定番では俺にもなにか能力があるはず。出来れば涼子を守れる能力をと願いながらステータス画面を開くと。
「…あった、能力「片思い」だってさ」
「片思い?なにそれどんな能力なの?」
涼子がいぶがしげな目をしながら聞いてくる。俺も同じ気持ちだ、能力があったのはいいが片思いって。そんな思いの中、能力の説明を俺は見る。
「ええと、能力片思い、片思いをしている相手の能力が使用可能だってさ」
「それってあたしのあの光る剣を恋次も使えるってこと?凄い能力じゃない」
涼子の目が輝くが俺はそんなふうに思えなかった。なぜなら能力のところにレベルがあったからだ。
「涼子の能力、雷光剣だよな」
「うん、そう」
涼子もステータス画面を開いて答えてくれた。
「レベルが書いてあるか?」
「レベル?ううん、一回出して使ったらリキャスト時間が十秒必要って書いてある、あと最大出力で使うと一日使えないって」
やっぱりそうだろうな城の天井を吹き飛ばせるほどの力だしな。それはそうと一日使えなくなるのか早く逃げてよかったなばれてたら二人とも捕まってただろうし。
「俺の能力にはレベルが書いてあるたぶん涼子のよりかなり弱くなるはずだ」
「それでも能力は能力じゃない出してみてよ」
涼子が期待に満ちた目で見てくるが俺はゲームで培ったノウハウがレベル1は強くないことを知っている。
「ライトニングソード」
俺の手から光る短剣が出た。
「ちっちゃ」
「おい、男にその言葉は禁句だぞ」
そして、俺の手から出た光る短剣は三秒ほどで消えた。
「はっや、ちっちゃくてはっや」
「…おい、いくら好きな女でも言っていいことと悪いことがあるぞ」
「ごめん、ごめん、でもそれで戦える?」
涼子の言い分はその通りでこの能力ではまともに戦えないだろう。剣が短すぎて剣術の心得のない俺にこのモンスターもいるかも知れない異世界で戦える未来が想像できない。俺は他になにかないかとステータス画面を見てみた。
「なんだこれ、もう一つ能力がある」
「え、本当、どんな能力?」
「能力、「両思い」だってさ相手と両思いだと能力が二倍になるそうだ」
「…両思い?…二倍…?」
「はは、こっちは今のところハズレ能力だな」
「そ、そうね…」
「まずは片思いの能力をレベル上げしないとな、どれどれレベルを上げるには…はぁ?時間?片思いをしている時間だけレベルが上がりますって書いてあるんだが?」
「それって両思いになったらもう上がらないってこと?」
「たぶんそうだろうし、それにレベル1ってことは前の世界での時間は入って無いってことだな、この世界で涼子を守るには片思いをし続けないといけないってわけか…ま、いいか、いままでと変わらないしな」
俺の言葉に涼子が少し寂しそうに笑ってくれた。




