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1 片思いの幼なじみは勇者様

「なぁもう付き合おうぜ」


 もう何回目になるかわからない告白を俺、片岡恋次かたおかれんじは目の前を歩いている、愛蓮涼子あいれんりょうこにした。


「…却下」


 これまた何回目かになるかわからない断りの返しだ。かれこれ小学六年生からいまの高校二年生まで断り続けられている。俺の容姿はどこにでもいるような普通の十七歳の男子高生だが、彼女は違った、学校のミスコンで軽く優勝し頭の良さも学年で一番だ。


 涼子とは家が隣で親同士が親友だったから産まれた時から一緒にいる間柄だ。涼子が可愛く美しくなるにつれて俺は恋心を抱くようになり小学六年からアプローチを続けているのだがまったく相手にされてない。


 だけど好きな気持ちは止められず涼子に彼氏ができるまではアプローチを続けていた。涼子は美人だからすぐに彼氏ができると思っていたらいまの十七歳まで彼氏どころか仲の良い男もいなかった。


「涼子は誰かと付き合うつもりはないのか?それとも俺が知らないだけで実は彼氏がいるのか?」

「私が知らない私のことも知ってる恋次に隠れて誰と付き合えるのよ」

「それもそうか、じゃあ俺と付き合おう」

「…却下」


 いつもの蔑むような目つきで何回目かわからない告白を断られた瞬間、涼子の身体がいきなり現れた光に包まれようとしていた。俺は瞬間的に涼子の身体を抱きしめると、光が俺と涼子を包んだ。



 光が止んだのを感じた俺は瞑っていた目を開いた。周りを見渡すと武器を持った兵士がずらっと、俺と涼子の両脇に整列していた。涼子と目が合い二人して困惑していると。


「誰だその男は?」


 声がしたほうを涼子と二人して見ると、玉座に座った太った男が俺と涼子に向かって指差していた。


「なにをしている速く引き離せ!」


 太った男がそう命令すると両脇にいた兵士が二人ほど来て俺の腕と肩を掴み涼子と引き離された。


「ちょっとなにしてるのよ!恋次を離して!」

「勇者様、落ちついてくだされ」

 涼子が語気を強めて言うのを太った男の横にいた痩せた中年男性が落ち着かせようとしていた。


「涼子、俺は大丈夫だそれよりいま、勇者って言ったか?」


 俺の言葉を聞き涼子は落ち着きを取り戻したようで。


「ええ、私のこと勇者って言ってたわね…どういこと?」


 涼子は玉座に座る太った男に向き直るとそう問いただした。


「おまえははこの世界イブン・アースに勇者としてわが国カー・イ・ライ王国が異世界より召喚させた」


 太った男が偉そうに言うのを聞きながら俺は辺りを見渡す。剣を携えた騎士が数十人整列してるのを見て涼子をどう守るか考えていた。


 まず、ここは異世界で俺と涼子は召喚されたのだろう、問題は召喚さたと思われる目の前にいる太った男だ。


 偉そうな椅子にど真ん中に座っているところを見るとこの国の王様なのはわかるが会ったばかりの他人にお前呼ばわりする奴にろくな奴はいないのは異世界でも同じだろう。涼子も同じ気持ちなのか王様をきつく睨んでいた。


「勇者様ステータスオープンと唱えていただけますか?」


 王様の隣にいる人物が涼子にそう促した。


「…ステータスオープン」


 涼子は従いそう呟くと、涼子の目の前にゲームのステータス画面みたいなものが現れていた。


「勇者様ステータスにはなんと書かれていますか?」

「勇者と…」


 涼子がステータス画面のパネルを操作しながらそう返事を返した。


「おお、成功です国王様わが国は勇者様の召喚に成功しましたぞ!」

「おう、そうか、そうか、では早く後の男を殺してしまえ、我が花嫁にそんな物がくっついていたなどと噂されてもいけないしな」


 太った王様がそう命令すると俺を捕まえていた騎士が剣を抜いた。


「…殺す?…恋次を?…」


 あ、涼子が切れた、昔から涼子は俺に害をなす人間に対して異常に敵視していた。一次期イジメを受けたことがあったが涼子が相手をボコボコにしてイジメをやめさせた。その時以上に切れているのが幼なじみの俺にはわかる。


「…ライトニングソード…最大出力」


 いつの間にか涼子はステータス画面の操作をやめてそう言い放つと、涼子の右手から光る剣が出ていた。

 

 次の瞬間、涼子が光る剣を王様の頭上めがけて振った。光る剣から光がほとばしると城の天井が跡形もなく吹き飛んだ。


「な、な、なにをする!」

 

 その光景に腰を抜かしたのか椅子の上で王様がジタバタしている。


「恋次を離しなさい!」


 涼子が俺を捕まえている騎士に向かって言う、騎士は恐れおののいて俺を離すと離れていった。


「そこの人!お金!」

「え?」

「この国を出ていくから迷惑料としてお金をよこしなさい!嫌ならこんどはそこの太った男に当てるわよ」


 涼子の剣幕に押され王様の横にいた人物が金貨を袋に入れて涼子に手渡した。それを受け取った涼子に俺は手をつかまれ二人でその場をあとにした。


 俺がチラッと振り向き王様達を見てみたがみんな無くなった城の天井を見上げて放心していた。



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