表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/11

【番外編】言葉のない会話

「アカネ、すまんが七面鳥を買ってきてはくれないか?」

ダイラ様…お父様が私に頼み事をしてくれるなんて!

「はい!もちろんです!大きいのがいいですか?そこで寝てるエビンは、ちゃんと後から手伝ってくれるんですか?」


エビンはぐーたらするのが好きみたい。

いつもソファで横になってるの。

「あぁ、そうだな。みんなで食べるから大きめのものを頼もうかね。」

お父様は少し悩みながら教えてくれた。

「はい!大きめの七面鳥、買ってきますね!」


外は雪が降り始め、こんこんと寒そうな景色を作り出している。

「ポップも行く?」

暖炉の前で丸まってるポップに声を掛ける。

この子は、本当に!可愛い!

いつも私と一緒に遊んでくれて、いつも私のことを気にかけてくれる。

エビンはポップを溺愛してるけど、私だって負けないもん!


上着を着て扉を開ける時、ポップが大急ぎで走ってきた。

「ふふ!ポップ、一緒に行こうね!」


市場に着くと私は驚いた。

こんなにも色んな鳥があるなんて。

どれが七面鳥なのか、全然わからない…。


「おや、お嬢ちゃん、捜し物かね?」

果物屋さんのおばあちゃんが気にかけてくれてる!


「あ、あの…大丈夫です!ありがとうございます!」

恥ずかしくて、聞けなかった…。


そんな時、ポップが私の足元をクルクル回り始めた。

「ポップ?どうしたの?」

ポップは鼻をクンクン鳴らしながら、ある鳥屋さんの方へゆっくりと、時折私を振り返りながら歩いていく。


そして、大きな鳥の前で立ち止まって、尻尾をブンブンと振りだした。

「え...これ?もしかして、これが七面鳥なの?」

ポップは一度だけ、私を見上げる。

茶色い瞳が、「そうだよ」と言っているような気がした。


「わー!!ありがとうポップ!!本当にポップは賢くて優しくてお行儀も良くて可愛いねー!!」

市場のど真ん中だけど、私は周りを気にしないでポップを抱きしめて撫でましてしまう。

ポップが悪いんだからね!


「すみません、この七面鳥1つください!」

お店の人がギロッと鋭い目で見てきた…怖い。

その時、ポップが私の肩に乗り、お店の人を見つめる。


すこし、驚いた顔をしたのがわかる。

「お、お嬢ちゃんそれがほしいのかい?…可愛い狐だね!」

お店のおじさんが、ポップを見て笑ってくれた。


この時、確かに感じた。


最初は私を舐めてたけど、本当にポップのことを可愛いと思ってくれてることを。


「はい!可愛いんです!名前はポップって言って、私の幼馴染が名付けたんです!!」

嬉しくなっちゃって、ついつい余計なことまでいっちゃう!


その後、お店のおじちゃんが飼ってる猫のことを話してくれて、話に花が咲いた。


動物好きってことで少し値引きもしてくれたよ!

後でお父様にも教えてあげなきゃ!


少し名残惜しさもありながら、重い七面鳥を抱えて雪の中を歩く。

ポップは私の足元を、時々先に走り、また戻ってくる。

「ねえポップ、ありがとうね。今日も助けてくれて。」

耳をピクっと動かし私を見つめる。


「あの世界では、あなた喋れたよね...。今、喋れなくなっちゃったけど、私もエビンもお父様も、みんなポップの気持ちとか、言いたいこと、全部わかるからね!!だから、安心してね!」


私の足元を1周して、肩に登って尻尾をブンブン振り回し、更に耳はぴこぴこしてる!

『そんなの、わかってるよー、わざわざ言わなくても、いいんだよー?』


そんな風に言ってるみたいだった。

いや、きっとそう言ってるに違いないよ!


「さ、帰ろう!みんなが待ってるよ!」


ーーー

「ただいまー!」

すっかり雪で頭が覆われてる私、

そして全身についた雪をブルブルとふるい落とすポップ。


玄関を開けると、暖炉の温かさが迎えてくれた。


「おかえり、アカネ。...おや、大きいのを買ってきたね。」

お父様が笑顔で出迎えてくれる。

温かい…。


「はい!ポップが教えてくれました!それに、お店の人と仲良くなって、少し安くしてもらえたんですよ!」


ソファで寝てたエビンが、むくっと起き上がる。

「あれ、おつかれアカネ。...ポップも一緒だったんだ?本当に仲良いなお前ら。」

エビンは寝ぼけ眼で言いながら、大きなあくびをした。


「もー、エビンったら。ポップって本当に賢いんだよ?!私のこと守ってくれるし!」

あれからぐーたらしてばかりだったエビン。

でも、私の言葉を聞いて、はっきりと言うの。

「...当たり前だよ。だって俺が名前つけたからな。」


お父様が、私たちを見て優しく笑う。


「さぁ、今夜はみんなでご馳走だ。アカネとポップ、ありがとう。夕飯の支度は私達でするから、少し休んでいなさい。」

おい、起きるんだ、ってエビンに言うお父様は、あの頃から全然変わらない。


「ポップ!お庭で雪遊びしよ!ちょっと寒かったから上着着てくるね!」

暖炉の前で丸まってたけど、すぐに耳をぴこぴこさせて駆け寄ってくれる。


そうして私は、ポップと遊ぶことが毎日の幸せの一部になった。


ありがとう、エビン。

みんなを救ってくれて。

私は今、家族といれて、とっても幸せだよ。


ー完ー

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ