初めての首都
「ソータ!ペン汰!準備はできたか?」
マユキのが元気よく叫んでいる。
「準備出来てますよ!マユキ先生!玄関です!」
とソータが叫ぶ。
「おお!はやいな!そっちに行くから待っててくれ」
とマユキが走る足音がする。
「お前達に、私からプレゼントがあるんだ」
マユキは、肩から下げたベルト固定式の剣をそれぞれに渡す。
「おぉ!すごい!ありがとうございます」
ペン汰もソータも目が輝いている。
「お前達に合わせた特注品だ。
ソータは、バックソードだ。突進力のあるお前のために、ナックルの部分をかなり強化してもらったぞ。
ペン汰はレイピアだ。受け流しが得意なお前には、うってつけだと思うぞ。片刃は潰して打撃用に刀身の強化に力を入れている。どう使うかは、お前次第だ」
「ありがとうございます!」2人はマユキに頭を下げた。
ソータは、マユキを見て、手を頭の後ろに組む。
「しっかし、マユキ先生は、ペン汰に甘いなぁ。」
ソータは、ペン汰を見る。
「ペン汰も兵隊になるんだから、傷付き傷付ける覚悟は、しっかりしておけよ!」
ペン汰は、頷く。
マユキは、ペン汰に話しかける。
「どちらの刃を使うのかは、お前がしっかり考えろ
それが、お前の成長に繋がるだろうからな。」
「ありがとう。マユキさん」
ペン汰は、レイピアを見つめる。
マユキは、手をパンっと鳴らす。
「よし!じゃあ行っておいで!」
「はい!行ってきます!絶対合格するぜ!」
ソータは、拳を上げて応える!
「うん、頑張るよ!絶対に受かってみせる」
ペン汰も剣を前に出し応える!
(おじいちゃん、まっててね)
握ったペンダントが淡く光っていた。
――道中
「なぁペン汰、前から聞こうと思ってたんだけどさ、そのペンダントは、誰かの形見なのか?
ずっと大事に持ってるじゃん」
ソータが尋ねる。
ペン汰は、ペンダントを握り答える。
「形見というか、おじいちゃんから貰ったものなんだよ。捨てられた僕を拾って育ててくれた。
急に居なくなっちゃったんだけど…
居なくなる前から様子が変だった…
たぶん、僕が知らない。僕に言えない事が起こっていたのかも知れない。
普段は、なんでも正直に話してくれてたから…」
ペン汰は、下を向いている。
ソータは、心配そうに見ている。
「そっか、変な事聞いてごめんな」
ペン汰は、首を横に振る
「ううん…だから僕は、この試験に受かって、国内である程度の地位に上がってから正式に他国におじいちゃんを探しに行くんだ」
ペン汰は、拳を握る。
「そっか!それがお前の目標なんだな!
……よし!俺も決めた!
俺、お前の旅についていくよ!
1人じゃ心細いだろ?」
ペン汰は、目をウルウルさせてソータを見る。
「ほんと?ありがとう」
ソータは、照れ臭そうに話す。
「それにさ、お前1人じゃ危なっかしくて送り出せないっての」
ペン汰は、はにかんで答える
「ありがと、ソータ。
ソータは、やっぱり強くてかっこいいお兄ちゃんだ」
「なんだよそれ!この前、俺から1本とっておいて」
ソータは、笑いながらペン汰の背中をはたく。
「でもまぁ、強さはこれからとしても…
お前にとってかっこいいお兄ちゃんでは、あり続けたいと思ってるよ」
「ありがと、かっこいいソータお兄ちゃん」
ペン汰は、笑いながら茶化した。
「お前、今良い話したのに、茶化すなよ!」
ソータは、もう一度ペン汰の背中をはたく
「ははは」
ペン汰とソータは、一緒に笑った
ソータは、真剣な顔に戻る。
「よし、当面の目標も決まったし。
試験絶対合格しないとな!
ペン汰も気合いいれろよ!」
「うん!お互い頑張ろ!」ペン汰も力強く頷く。
――2人は関所を抜けて、首都に着いた。
街は広すぎて、どのくらい広いのか2人には想像もつかない。
南の地は、冷気が強い為、所々に暖を取るために火を燃やしている。
そのせいか、街の建造物は、ほとんどが石作り。
見るものを圧倒するような堅牢さだ。
「すごいな。言葉がでないや、バカみたいに聞こえるかもだけど…
なんか、強そう」
ソータは、辺りを見回している。
ペン汰は、クスっと笑う。
「ははっ。強そうって何」
「かっこいいお兄ちゃんどこいった?」
「いや、だってさ」
ソータは照れ笑い。
「でも、本当に立派な街だね。試験受かったら、この街に住めるって事だよね」
ペン汰も辺りを見回している。
ソータがペン汰の前に立つ。
「ばか!そういうとこだぞ!
受かったらじゃなくて…
今日から、この街に住む!
って言うんだよ」
ペン汰は、頷く。
「うん!住む!」
よしよし、とソータが頷く。
しばらく歩くと、立派な門の先に闘技場のある施設が見える。
服装は違うが、帯剣している若者が大勢いる。
「やっぱり人数多そうだなー
剣持ってるとこ見ると、受験者だよなー」
と、2人が話をしていると
「おい!そこの田舎者!」
いかにも金持ちそうな身なりの眼光鋭い若いペンギンが話しかける。
「田舎者ってなんだよ」
ソータが言い返す。
「だまれ、ここは田舎者の来るところじゃない。
立ち去れ」
と関所の方向を指差している。
「僕達はここに用があってきてるんです」
とペン汰が説明する。
「貴様ら如きが受験者だと?
笑わせるな!生意気な田舎者共だな。この場で切り捨ててやる!」
冷たい目をして剣に手を触れる。
瞬間、ペン汰に切りかかる。
ガキーンと金属音が鳴り響く。ソータがバックソードのナックルで受け止めていた。
「いきなり何をする!街中で正気かよお前!」
確かに彼の目は少し正気のない感じがしている。
そこへ、帝国兵が現れる
「おい、お前達!何している!」
「2人とも剣を収めて!こっちへ来い」
3人は、会場の中へ連れていかれた。
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