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祐一のイヤシロチ化作戦

 祐一は、平穏な日々を過ごしており、風水の研究を続けていた。その中で、ある方法を知り興味を持ち、実践してみようと考えていた。



 祐一は、つばき壮と周辺の掃除、浄化活動が日課になっていた。

祐一にとって研究課題の1つとして取り組んでいる項目に風水があり日々研究を行っていた。


 その中で見つけた、

イヤシロチ化の方法について興味を持った祐一は実際に試してみようと考え、


 祐一は大家さんに掛け合い、許可を貰い敷地内に穴を掘っていた。

桜がいつもの様に大学の講義を終えて戻って来ると「祐一君、穴なんか掘って何しているの?」と、不思議そうに尋ねた。


 これは、埋炭法(まいたんほう)といって、ケガレチをイヤシロチにする方法なんだ。

と、答えた。


 桜は、怪訝な顔をして「埋炭法?穴を掘ってどうするの?」と、興味を持ち、尋ねる。


祐一は目を輝かせながら説明を始めた。


「昔の日本の科学者が同じ物を作る部品工場でも不良品が多く出る所と、ほとんど不良品が出ない所がある事を発見したんだ。他にも畑や家畜場でも場所によって良い所と悪い所があり、それを研究した結果、磁場の影響が関係していると考えたんだ」


 桜「ふーん、でもそれは、磁場だけで説明するのは難しい気もするけどね」と、反論した。

祐一は説明を続け「磁場を調整する方法として炭を大量に埋設する事で磁場を改善する事が分かったんだ」と得意そうに話す。


 「それで穴を掘っている訳なんだ」と、桜は少し納得した様子だった。「でも磁場が改善すると何で良くなるの?」とさらに質問を続ける。


 祐一は「大量の炭を埋設する事で電位が整えられるそうなんだ。ケガレチではプラスイオンが多く発生しているけどイヤシロチではマイナスイオンが多く発生しているんだ。だから、炭を大量に埋設する事でマイナスイオンを大量に発生するようにする事で磁場が整うと考えられているんだ」と説明を終えた。


 桜は祐一の説明を聞き終わった後、一言「怪しい。。。」と言って通り去って行った。


 祐一は、「え?・・・・」と声を発し桜を見送った後、再び穴を掘る作業を続けた。


桜が去った後も、祐一は黙々と穴掘りを続け汗を拭いながらふと空を見上げると、夕陽が赤く染まり、空気がひんやりと冷えてきた。


「よし、今日はこれくらいで終わりにしようかな」と呟きながらスコップを片付けていると、背後から声がした。


「まだやってたんだ?」


振り返ると、再び桜が立っていた。手にはペットボトルの水が握られている。


「これ、飲む?」そう言って差し出された水を受け取った祐一は、微笑んで礼を言った。「ありがとう、助かるよ。」


桜は少し照れたように視線をそらしながら、「さっきはごめんね。怪しいとか言っちゃって。でも、祐一君が本気でやってるのは伝わったよ」


祐一は意外そうな顔をして彼女を見つめた。「そう思ってくれるのは嬉しいな。正直、こういう話って分かってもらえないことが多いからね」


桜は軽く笑いながら言った。「確かに、ちょっとオカルトっぽいもんね。でも、説明を聞いてたら面白そうだなって思ったの。祐一君、本当に信じてるんだね、この方法が効果あるって」


祐一は真剣な目で頷いた。「うん、ただの迷信じゃない。科学的な裏付けもあるし、土地が良くなればここに住むみんながもっと気持ちよく暮らせるようになると思うんだ」


その言葉に桜は少し驚いた表情を見せた。「みんなのためにやってるんだ…。祐一君って、意外と真面目なんだね」


「意外とは余計だよ」と祐一は苦笑したが、桜の顔が少し赤くなったのを見て、何となく嬉しくなった。



 翌日、祐一は最初の穴に埋炭用の炭と美紀から貰った水晶の御守りを埋設した後、スコップを片付けながら何かを深く考えていた。その様子を見ていた桜が声をかける。


「祐一君、どうしたの?まだ何か気になることでもあるの?」


祐一は少し困ったような顔をしながら答えた。「つばき壮全体の磁場をちゃんと調整するには、もっとたくさんの穴を掘って、炭を埋めないとダメなんだよ。でも、それが簡単じゃなくて…」


桜は軽くため息をつきながら、「それなら、気長にコツコツやるしかないんじゃない?」と提案した。


しかし、祐一は首を横に振って、さらに深刻そうな表情で言った。「問題はそこだけじゃないんだ。この埋炭法で使う専用の炭を買うのに、全部で50万円以上かかりそうなんだよ。」


「50万円!?」桜は目を見開いて驚いた。「そんなにお金がかかるの?」


「うん…。」祐一は肩を落としながら続けた。「だから、現実的にはこれ以上は難しいかもしれない。でも、最初の一つでもやらないよりはマシかなと思って」


桜は少し考え込んでから、祐一に微笑んだ。

「うん、それで十分だと思うよ。一歩でも前進してるんだから」と慰めた。


祐一はその言葉に少し救われたような気持ちになり、「ありがとう」と静かに答えた。そして二人は、その場の空気に少し和みながら、つばき壮の中に入った。


 埋炭法は最初の穴を掘っただけで一旦終わりになり、

祐一の中にはまたいつか挑戦したいという気持ちが静かに燃え続けていた。


***埋炭法の再開***


 数日後、

祐一が埋炭法を行った場を眺めていると、「祐一君、調子はどうだい?」と、声を掛けられた。


 祐一は少し苦笑いを浮かべながら答えた。

「ありがとうございます。まあ、ぼちぼちです。ただ…実は、ちょっと壁にぶつかっていて」


男性「壁?どうしたんだ?」


 祐一はスコップを手にしたまま説明を始めた。「炭を埋めることで磁場を整えるっていうのは、1か所やってみて確かに手応えを感じたんです。でも、つばき壮全体を改善するにはもっと多くの炭が必要で、その購入資金が全然足りなくて…。」


アパートの住居人の野田さんは話を聞きながら頷き、金額を聞いた瞬間、驚いた様子を見せた。「そりゃ結構な額だな。でも、ちょっと思い出したよ。僕の実家の近所に竹炭を作ってる人がいるって聞いたことがあるんだ。今度、その人に聞いてみようか?」


祐一は目を輝かせて、「本当ですか?ありがとうございます」と嬉しそうに答えた。


 数日後、野田さんが朗報を持って戻ってきた。「あの竹炭作りの人、祐一君の話をしたら興味を持ってくれてね。格安で炭を分けてくれるってさ、僕もいくらか購入代金を出すから頑張って」と埋炭法の穴を埋める3つ分の費用を出して貰えた。


 その後、祐一は埋炭法を再開し続けていると、さらに、つばき壮の他の住人たちも以前より住み心地が良くなっていると感じていることを祐一に伝え、関心を示し「もっと改善できるなら協力するよ」と、数名が炭の購入費を出してくれたことで、祐一は再び埋炭法を進められる状況になった。


 休日になると、つばき壮の住人たちが集まり、祐一を手伝うことになった。住人の協力もあり、当初の計画よりも早く、全ての炭を埋設する作業を終えることができた。穴を掘りながら、住人たちは、効果について離し合ったり祐一の風水活動の話などに関心を示し、つばき壮全体が活気に包まれていた。


 最後の穴に炭と美紀から譲り受けた水晶の御守りを埋設し終えてからしばらく経つと、つばき壮には以前と比べて穏やかで清々しい空気が漂うようになった。住人たちは「なんだか気持ちがいいね。以前より落ち着く感じだ」「ここに住んでいて本当に良かった」と話し、つばき壮全体が「イヤシロチ」へと徐々に変わっていった。


 また玄関前に植えた樹木や花も元気に育っており、以前と違っている事が明らかに感じられた。

心霊現象や黒い影も見られなくなり、不穏な空気が感じられなくなっていた。


 桜は祐一の隣に立ちながら、ふとつぶやいた。

「ねえ、祐一君、あの時、最初の穴で諦めなくて良かったね」


祐一は桜に微笑み返しながら答えた。「みんなが協力してくれたおかげだよ。僕一人じゃ絶対にここまではできなかった。ありがとう」と感謝の気持ちに包まれていた。


 つばき壮には、新たな風が吹き始めていた。

それは、祐一の熱意と住人たちの思いやりが作り出した、かけがえのない場所へ、と、変化して行った。



 購読、ありがとうございました。しばらく、風水シリーズの話を書いてみようと思い書いています。実際には、風水でもない内容もありますが、多種多様なので、こんな風水の話もあるんだ。程度で読んで頂けると幸いです。

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