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オカルト研究部 田中祐一 今日も怪異あり  作者: waku


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用水路の調査開始

 用水路の調査活動、当日、祐一たちメンバーが集まっていた。

休日の朝。

空は快晴で、風も穏やかだった。

祐一たちは、つばき壮の前に集まっていた。

峯川、星川、橘、小川、松井——全員が真剣な面持ちで、装備を確認している。

「おはよう、みんな」

玄関から、明るい声が響いた。

振り返ると——そこには、寮の隣に一人の女性が立っていた。


***由香の登場***


 ミディアムカットの茶色の髪、年齢は30代半ばで小柄。少し活発な感じの女性だった。


 彼女は、ゆったりとしたプルオーバーに、動きやすそうなワイドパンツスタイルだった。

首には、小さなペンデュラムが下がっている。

「おはよう、みんな」

由香が柔らかく微笑んだ。

「話は寮君から聞いているよ。みんな、慎重に行こうね」

その声は温かく、しかしどこか凛とした響きがあった。

祐一たちは、一瞬、彼女の雰囲気に圧倒される。

峯川が慌てて頭を下げた。

「よ、よろしくお願いします!」

橘も珍しく、丁寧にお辞儀をする。

「お世話になります」

小川と星川も、緊張した面持ちで挨拶した。

由香がくすりと笑う。

「そんなに緊張しないで。私も、みんなと同じ、ただの調査メンバーだから」


***出発準備***


 寮が全員を見回した。

「よし、車三台に分乗して、目的の用水路に向かおう」

車の配置が決められた。

一台目:寮の運転で、由香、祐一、松井。

二台目:峯川の運転で、橘、さくら。

三台目:小川の運転で、星川と機材、装備品を積み込んでいた。

「では、出発だ」

エンジン音が響き、三台の車が次々とつばき壮を後にした。


 ***車中での会話***


 寮の運転する車の中——

祐一は助手席に座り、後部座席には由香と松井が並んでいた。

「由香さん、今回、お世話になります」

祐一が振り返って挨拶する。


 由香が優しく微笑んだ。

「こちらこそ。寮君から、祐一君のことは聞いているよ。あの龍の目を見たんだってね」

祐一が少し驚いたように目を見開く。

「……はい」

「それは、並の霊感では見えないものだ。祐一君には、特別な素質があるのかもしれないね」

その言葉に、祐一は少し戸惑った。

隣の松井が、興味深そうに尋ねる。

「あの……由香さんって、霊視とか物を探す能力が高いそうですね」

「ああ、そう聞いてくれて嬉しいよ」


 由香が柔らかく笑う。

「私もいくらか感じる力がありますけど、どうしたら、そこまで分かるんですか?」

松井が真剣な眼差しで尋ねた。

由香が少し考えるような仕草をする。

「まあ、日ごろのトレーニングになるかな」


 ***修行の話***


 「毎日、ペンデュラムやカード占いをしているから、そういった探し物を見つけることが得意になったんだ」由香がペンデュラムを指先で揺らす。


 「最初は、小さなものを探すことから始めた。失くした鍵とか、忘れた本の場所とか」松井が熱心に聞いている。


「それを毎日続けていると、だんだんと感覚が研ぎ澄まされていくんだ。今では、霊道や封印の位置も、ある程度感じ取れるようになった」


 「毎日のトレーニング……」松井が呟く。

「そう。松井さんも、毎日トレーニングすることだね。霊感は才能だけじゃない。努力で磨くこともできるから」


 松井が力強く頷いた。「はい! 頑張ります」


 祐一も口を開いた。

「僕は、毎日写経したりお経を唱えているけど、中々一長一短では上達しないから、ずっと続けて行く事だろうね」

由香が興味深そうに振り返る。


「へー、それはいい修行だね。お経には、浄化の力があるし写経も集中力を身に付けられるからね」

「本当ですか?」

「ええ。祐一君も、段々と霊力が高まってくると思うよ」

由香が優しく微笑んだ。

「とにかく、今日は慎重に進めていこう。相手は、私たちが思っている以上に強大かもしれない」

その言葉に、車内が少しだけ緊張した空気に包まれた。


 ***目的地到着***


 やがて、三台の車は用水路近くの駐車スペースに到着した。

周囲は静かで、人の気配はない。


 用水路の水音だけが、静かに響いている。

「よし、到着だ」寮が車を降りながら言った。

全員が車から降り、装備を確認する。


 浄化スプレー、護符、調査機材、予備のバッテリーなど、必要な物は、すべて揃っていた。


 峯川が地図を広げた。

「よし、ここから北上していくルートだな」

星川が周囲を見回す。

「地形は、予想通りだ。足場に気をつけよう」橘が静かに目を閉じる。


 「……霊的なエネルギーが、確かに流れている」

小川が魔法陣の描かれた護符を取り出した。

「いつでも、対応できます」

松井も、深呼吸をして気持ちを整える。


 ***調査の開始***


 全員の準備が整ったところで——


 寮が全員を見回した後、「よし、出発だ」

寮の号令に、全員が頷く。

由香がペンデュラムを取り出した。

水晶でできた美しいペンデュラムが、朝日を受けてきらきらと輝く。

由香は目を閉じ、静かに集中する。

やがて——ペンデュラムがゆっくりと動き始めた。

「……あっちの方向だ」

由香が目を開け、用水路沿いの北側を指さした。


 「松井さん、サポートよろしく」

「分かりました。頑張ります」松井も目を閉じ、霊的な存在を感じ取ろうとする。

峯川が先頭に立った。


 「じゃあ、俺がナビするぜ。みんな、ついてきてくれ」

星川が地形を確認しながら続く。

「足場の悪い場所は、事前に知らせるから注意して進んでくれ」


 小川と祐一が、警戒しながら周囲を見回す。

橘と寮が、霊的な異変に備えて後方を固める。

そして由香が、中央でペンデュラムを揺らしながら、進むべき方向を示す。


 ***用水路の調査開始***


 こうして、用水路の調査が始まった。

一行は、ゆっくりと北へ向かって進む。

用水路の水は、静かに流れている。

しかし——その水面には、時折、不自然な波紋が広がった。


「……何か、います」松井が小さく呟く。


 由香も頷いた。

「ええ。でも、大丈夫。先を進もう」

祐一は、周囲を警戒しながら進む。(いよいよ、始まったんだ……)


 ***水中の祠***


 一行は、用水路沿いをゆっくりと進んでいった。

峯川が先頭で地図を確認しながら進み、星川が地形を注視する。

小川と祐一が周囲を警戒し、松井が霊的な存在を感じ取ろうとしている。

そして由香が、ペンデュラムを揺らしながら、時折立ち止まって方向を確認する。

一時間ほど進んだ頃——


 由香のペンデュラムが、急に激しく揺れ始めた。

「……ここだ」

由香が立ち止まり、用水路のある地点を見つめる。

「この用水路の下から、反応があるよ」

全員が由香の指さす方向に集まった。寮が静かに指示を出す。

「よし、周囲の警戒を怠らないで」

峯川と小川が、すぐに周囲に目を配る。

星川も、念のため高い位置から見渡せる場所に移動した。

橘が、用水路の辺りを慎重に見回す。

その目は、真剣そのものだ。


 由香が用水路の縁に膝をつき、水面を覗き込んだ。

「……水中から、何か感じるよ」

その言葉に、祐一も水の中を覗き込んだ。

最初は、流れる水と川底の石しか見えなかった。

しかし——目を凝らすと。

「……あれは」

祐一の目に、石でできた小さな構造物が映った。

水に沈み、苔むした——石の祠。

「祠だ……水の中に沈んでいる」

祐一の言葉に、全員が水面を覗き込む。

確かに、そこには古い石の祠が静かに沈んでいた。


 ***封印の準備***


 橘が表情を引き締めた。「よし、この祠を封印しよう」

橘がカバンから、封印用の札と道具を取り出す。

「峯川、浄化の準備を」

「了解!」

峯川が浄化スプレーを手に取り、周囲に軽く吹きかけ始めた。

シュッ、シュッと音を立てて、霧状の液体が空気中に広がる。

独特の香りが辺りに漂い始めた。

「星川、お香を」

「はい」


 星川が香炉を取り出し、その中に浄化のお香を置いた。

マッチで火をつけると、白い煙がゆっくりと立ち上る。

甘く、しかしどこか清々しい香りが、用水路沿いに広がっていく。

松井が目を閉じ、両手を合わせた。


 小川も、魔法陣の描かれた護符を取り出し、いつでも対応できるよう構える。

祐一は、周囲を警戒しながらも、橘の動きを注視していた。


 ***橘の儀式***


 橘が用水路の縁に立ち、封印の札を手に取った。

「では、始めます」

橘が深呼吸をし、集中する。

その手に持った札が、微かに光り始めた。

橘が静かに呪文を唱え始める。

「臨兵闘者皆陣列在前——」

古い言葉が、静かに響く。


 由香も、その隣で目を閉じ、何かを感じ取ろうとしている。

寮は少し離れた位置から、全体の様子を静かに見守っていた。

その目は、穏やかでありながら、鋭く状況を観察している。

橘の呪文が続く。


 札が、さらに強く光り始めた。

そして——


 橘が札を、水中の祠に向かって投げた。

札は、まるで意志を持つかのように、水面をすり抜け——

水中の祠へと吸い込まれていく。


***異変***


 一瞬——

辺り一帯が、静寂に包まれた。

風が止み、水の流れる音さえも聞こえなくなる。

「……来る」

由香が小さく呟いた。

次の瞬間——

水中から、青白い光が溢れ出した。

「何だ!?」

峯川が驚いて声を上げる。


 光は、どんどん強くなっていく。

祐一は、その光の中に——

何かの影が蠢いているのを見た。

「みんな、下がって!」

寮が初めて、強い口調で叫んだ。

全員が、反射的に後退する。


 そして——

水中の祠から、一つの影が浮かび上がってきた。

それは——

人の形をしているようで、していない。

水でできているようで、しかし確かな実体を持っている。

影は、ゆっくりと水面から姿を現した。


 ***水の精霊***


 「水の……精霊?」松井が息を呑む。

由香が静かに頷いた。

「ええ。でも、敵意は……ないみたい」

確かに、その影からは敵意が感じられなかった。

むしろ——


 どこか、悲しげな雰囲気が漂っている。

影は、祐一たちを見つめた。


 そして——

ゆっくりと、口を開いた。

「……なぜ……封じる……」

か細い、水の流れるような声。

橘が一歩前に出た。

「あなたは、何者ですか?」

影が、少しだけ揺らめく。

「……私は……この地の……守り手……」

「守り手……?」祐一が呟く。


 「……長い間……この地を……守ってきた……」

影の声が、少しずつはっきりしてくる。

「しかし……封印が……破られようとしている……」

「封印が、破られようとしている?」


 寮が静かに尋ねた。

影が、悲しげに頷く。

「……深き場所に……眠るもの……目覚めようと……している……」


 由香が表情を引き締めた。

「深き場所に眠るもの……それは、あの龍のことですか?」

影が、再び頷いた。

「……龍は……怒りに満ちている……長い封印で……心が……歪んでしまった……」

祐一の脳裏に、あの龍の目が蘇る。


 確かに——あの目には、怒りと悲しみが混ざっていた。

「私たちは……どうすれば……」


 祐一が尋ねた。

影は、祐一をじっと見つめる。

「……三つの祠を……調べなさい……そこに……答えが……ある……」

「三つの祠……」

星川が地図を見る。


 「この祠と、あと二つですね」

影が、ゆっくりと水の中へ沈んでいく。

「……気をつけて……次の祠は……もっと……危険……」

そう告げて——

影は、完全に水中へと消えていった。


 ***沈黙の後***


 しばらく、誰も言葉を発しなかった。

やがて、寮が深く息を吐いた。

「……守り手、か」由香も頷く。

「あの精霊は、敵じゃなかった。むしろ、私たちに警告してくれたんだ」

橘が封印の札を見つめる。


 「この祠の封印は……維持された。でも——」

「次の祠が、問題だな」峯川が地図を見る。


 星川が続ける。

「地図によれば、次の祠は東側。少し離れた場所にあります」

小川が緊張した面持ちで尋ねる。

「さっきの精霊が言っていた『もっと危険』って……」松井が小さく震える。


 「……何が待っているんでしょうか」

祐一は拳を握りしめた。

(三つの祠を調べれば、答えが分かる……)寮が全員を見回した。

「一度、休憩を取ろう。次の祠に向かう前に、態勢を整えるんだ」

全員が頷いた。


こうして——

一行は、少し離れた安全な場所で休憩を取ることにした。


 ***水中の祠***


 一行は、用水路沿いをゆっくりと進んでいった。

峯川が先頭で地図を確認しながら進み、星川が地形を注視する。

小川と祐一が周囲を警戒し、松井が霊的な存在を感じ取ろうとしている。

そして由香が、ペンデュラムを揺らしながら、時折立ち止まって方向を確認する。

一時間ほど進んだ頃——

「……ここだ」

由香が立ち止まり、用水路沿いのある地点を見つめる。

全員が由香の指さす方向に集まった。

***一つ目の祠***

そこには、用水路沿いに小さな祠が佇んでいた。

古びた木と石で作られた祠。

時の流れで、少し傷んでいる様子だった。

しかし——

「……まだ、エネルギーは残っているようだ」

橘が祠に近づき、静かに手をかざす。

由香も頷いた。

「ええ、まだ機能している。でも、弱まってきているのも確かね」

寮が全員に指示を出す。

「では、結界を強化しよう。橘、頼む」

「了解しました」

***結界強化の儀式***

橘が祠の前に立ち、カバンから封印の札と道具を取り出した。

「星川、お香の準備を」

「はい」

星川が持ってきた香炉を取り出し、その中に浄化のお香を置いた。

マッチで火をつけると、白い煙がゆっくりと立ち上る。

さくらが、お供え物の準備を始めた。

小さな器に、塩と米を盛る。

そして、日本酒を小さな杯に注ぎ、白い花を丁寧に活けた。

「お供えは、これで大丈夫です」

さくらが優しく微笑む。


 峯川が浄化スプレーを手に取った。

「じゃあ、俺は周辺を清めるぜ」

シュッ、シュッと音を立てて、祠の周囲に浄化スプレーを軽く吹きかけていく。

独特の香りが、お香の香りと混ざり合う。

松井は目を閉じ、周囲の気配を探っている。

「……今のところ、敵意のある存在は感じません」

祐一と小川は、少し離れた位置から周辺を慎重に見渡す。

何か異変があれば、すぐに対応できるように構えていた。


 ***見守る二人***


 寮と由香は、少し後方で儀式の様子を見守っていた。

「まあまあだな」

寮が小さく呟く。

由香が微笑んだ。

「うん。実践を積み重ねることも大切だからね」

「ああ。彼らは、よくやっている」

寮の目には、満足そうな光が宿っていた。

「特に、祐一君は成長したね」

由香が祐一の方を見る。

「最初は不安そうだったけど、今は仲間を信じて、自分の役割をしっかり果たしている」

「そうだな」

寮が頷く。


 「彼には、リーダーとしての素質がある」

二人は静かに、若者たちの成長を見守っていた。


 ***橘の呪文***


 準備が整ったところで——

橘が祠の前に立った。

深呼吸をし、集中する。

そして——

静かに呪文を唱え始めた。

「臨兵闘者皆陣列在前——」

古い言葉が、静かに響く。

橘の手に持った札が、微かに光り始めた。

お香の煙が、まるで生き物のように揺らめく。

「天地神明、この地を守護せよ——」

橘の声が、少しずつ大きくなっていく。

「封印を強化し、邪なるものを退ける——」

光が、さらに強くなった。

祐一は、その光景を息を呑んで見つめていた。

(これが、橘さんの本当の力……)

橘が最後の言葉を告げる。

「急々如律令!」

札が、祠へと吸い込まれていった。


 一瞬、辺り一帯が、淡い光に包まれる。

そして

光が消えると、祠の周りには新たな結界が形成されていた。


 ***一つ目完了***

橘が深く息を吐いた。

「……結界の強化、完了しました」

寮が近づいてくる。

「お疲れ様。素晴らしい仕事だ」

由香も頷いた。

「一つ目の祠は、これでクリアしたね」

全員に安堵の表情が広がる。

峯川が拳を握る。

「よし! 一つ終わったぞ!」


 星川も小さく微笑んだ。「順調です」

しかし、松井が少し不安そうに呟く。

「でも……次の祠は、もっと危険なんですよね……」

その言葉に、全員の表情が引き締まる。

由香がペンデュラムを取り出した。

「よし、次の地点に向かって進もう」

再び、ペンデュラムを揺らす。

水晶が、ゆっくりと回転し始めた。


やがて、ペンデュラムが、東側を指した。

「……あっちだ」

由香が指さす方向。

そこは、用水路から少し離れた、林の中へと続く道だった。


***次の地点へ***


 「次の地点に移動しよう」寮が全員に告げる。

峯川が地図を確認した。

「東側……確かに、このあたりに二つ目の祠があるはずだ」星川が地形を見る。


 「ただし、道が険しくなっている。足場に気をつけないと」

小川が不安そうに尋ねる。「どれくらいの距離ですか?」

「地図によれば……三十分ほどだな」

峯川が答える。


 祐一が全員を見回した。「三十分か、慎重に進もう」

松井が深呼吸をする。

「……気をつけます」

さくらが優しく松井の肩に手を置いた。

「大丈夫。みんな一緒だから」

橘も装備を確認する。


 「次の祠では、もっと強い封印が必要になるかもしれない。準備は万全にしておきましょう」


 由香が先頭に立った。

「じゃあ、行こう。私が先導する」

ペンデュラムを手に、由香が歩き出す。

全員が、その後に続いた。


 ***林の中へ***

用水路沿いの道を離れ、一行は林の中へと入っていった。

木々が生い茂り、陽の光が遮られる。

空気が、少しひんやりとしている。

「……何か、雰囲気が変わったな」

峯川が小さく呟く。星川も頷く。

「霊的なエネルギーが、強くなっている気がします」

松井が立ち止まった。

「……何か、います」

全員が警戒態勢に入る。

由香が静かに言った。

「敵意は……ない。でも、何かが見守っているような……」

祐一は周囲を見回す。

木々の間から、何かの視線を感じる。

しかし——

姿は見えない。

「……行こう。立ち止まっていても仕方ない」

寮が静かに告げた。

一行は、再び歩き出す。

林の中の小道を、慎重に進んでいく。


 やがて、前方に、開けた場所が見えてきた。

「あれは……」祐一が目を凝らす。


そこには、二つ目の祠が静かに佇んでいた。

しかし、その祠の周りには、不気味な霧が、立ち込めていた。

「……来たか」

寮が表情を引き締める。

由香も真剣な目で祠を見つめた。

「みんな、気をつけて。ここからが本番だよ」

その言葉に、全員が緊張した面持ちで頷いた。


 二つ目の祠

そこで、何が待ち受けているのか。

一行は、ゆっくりと霧の中へと足を踏み入れた。


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