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オカルト研究部 田中祐一 今日も怪異あり  作者: waku


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春、再び動き出す時

 季節は流れて、祐一は大学2年生へと進級することになった。

祐一は、心霊スポットとなっていた廃墟の教訓から、春香の所で修行を続けると共に、

日々オカルト研究を行っていた。

 春の風がやさしく頬をなでる頃、祐一は大学2年生へと進級していた。


 この一年で祐一の日常は大きく変わっていた。

つばき壮の下宿から始まり心霊スポットの調査活動、廃村の復興活、青空商店街の活性化活動、春香のお寺の修行など1年で数多くの体験と学びを得て行った。


同時に——

オカルト研究会も、新たな局面を迎えていた。


前部長の沢田が卒業し、堅実な河餅を新部長に迎えた研究会は「安全な活動」を重視する方針を掲げていた。地域の不思議な現象や民間伝承にも徐々に関心を向け、廃村の復興活動や商店街の再生活動など地元メディアに取り上げられる機会も増えていた。


そして今年、オカルト研究会には5名の入会希望者が訪れた。


春の新歓期間。

学生会館の一角に設けられたブースでは、祐一たち部員が新入生を迎え入れていた。


「こんにちは! ここって、ほんとにオカルト研究会なんですか? 除霊とかするんですか?」


興味津々の新入生に、祐一は微笑みながら答えた。


「除霊は専門じゃないけど、霊的な現象の調査や文化背景の研究が中心だよ。必要なら現場に出可能性もあるけどね」


その言葉に、新入生たちの表情が好奇心から敬意へと変わった。


横で副部長の岡田めぐみも続けた。


「怖いイメージがあるかもしれないけど、私たちは未知な世界に向き合って調査する活動なの。もちろん、安全第一でね」


安心した様子の新入生たちは、次々と入部を決めた。


数日後、部室では顔合わせを兼ねたミーティングが開かれた。

集まった新入生たちは、心霊、都市伝説、民俗学、超常現象と、それぞれ独自の興味を持っていた。


河餅は新たな仲間たちを見渡し、穏やかに言った。


「今年は、なるべく安全第一で無理をしないで活動を進める方針だ。田中くんには、この1年間の働きぶりから調査班リーダーをお願いするよ」


「え……僕が?」


一瞬戸惑ったが、祐一はすぐに覚悟を決めた。


「……わかりました。できる限り頑張ります」


小さな拍手が部室に響き渡った。

オカルト研究会はまた新たな季節へと歩み出したのだった。


*** 再び呼び寄せるもの 〜つばき壮カフェにて〜 ***


 春の午後、柔らかな陽射しを浴びながら、祐一は講義を終え帰路についていた。


——心に引っかかっているものがある。

それは、小山さんの地域にある、あの廃墟のことだった。


前回訪れた時、悪霊の圧力に抗しきれず撤退を余儀なくされた場所。

あの時の霊的な重圧は、今も忘れられない。


そんな時だった。


「田中くん」


後ろから声をかけられ、振り返ると松井あゆみが立っていた。

彼女は穏やかに微笑んでいたが、その瞳はどこか真剣だった。


「以前行った、あのトンネルのことなんだけど……」


「ああ、あの場所だね」

祐一はすぐに察して頷いた。


「主要な場所は浄化できたけど、完全とは言えないかもしれない」


松井あゆみも静かに頷いた。


「私も気になってて……無理せず、できる範囲から浄化を進めていきたいと思ってるの」


その思いに、祐一の胸に温かいものが広がった。


「ああ……実は、前に一人で行ってみたんだ。でも、やっぱり無理だった」

あの時の恐怖と無力感を、祐一は隠さず伝えた。


松井あゆみは黙って聞き、そっと視線を落とした。


その時だった。


「おーい、田中、松井!」


元気な声が響き、小川啓二が駆け寄ってきた。


「ちょっと気になることがあるんだ。これからの活動について、話し合わないか?」


三人は顔を見合わせ、うなずいた。


「つばき壮のカフェで、話そう」


*** 甘い時間と、密やかな誘い ***


つばき壮のカフェスペース。

夕陽が差し込み、ケーキとコーヒーがテーブルに並ぶ。


「ここのケーキ、本当においしいね」

松井が笑顔を見せる。


「ここって、イヤシロチみたいな場所だよな」

小川も周囲を見回しながら言った。


「最初は普通の場所だったけど、みんなで少しずつ整えたんだ」

祐一は静かに答えた。


そんな中、小川が真剣な顔になった。


「……今のオカルト研究会の活動だけじゃ正直、物足りないと思っているんだ」


祐一と松井が静かに耳を傾ける。


「僕はもっと深く霊的なものを探求したい。だから、プライベートで心霊スポットに行かないか?」


驚く二人だったが、内心、同意する所もあった。


「実は、峯川から誘われたんだ。」小川は小さく笑った。


「私は……田中君が行くなら、一緒に行ってもいいかな」

松井も静かに賛同した。


祐一は、少し考えてから、小川啓二に質問をした。


「小川君、そのスポット、詳しく教えてくれる?」


「郊外の古い施設跡。霊的な噂も多い。最近また怪奇現象が増えてるらしい」詳しくは、このサイトに紹介されている。小川がスマホを開いて説明する。


祐一は慎重に頷く。「……分かった。まず調べてみるよ。その上で決める」


*** 新たな決意とゴールデンウィークの計画 ***


夜、部屋に戻った祐一はネットで調査を始めた。


画面には、噂と共に怪奇現象の数々が並んでいた。


「……やっぱり、簡単な場所じゃない」


河餅部長の言葉が頭をよぎる。


——だが、未知への探求心がそれを上回った。


寮に相談しようと思ったが今は雑誌の長期取材で出張中だった。

祐一は、毎週、修行に行っているお寺の春香に相談する事を決めた。


 週末、いつものように修行を終えた後、春香に相談した。

一通り話を伝えた所、春香が答える。

「今の田中さんの力では難しいでしょうね。私も同行しましょうか?」


 突然の申し出に少し驚いたが、「……お願いします!」と答え、

帰宅し祐一は、すぐに小川啓二へ連絡した。


「春香さんが同行してくれる事になったんだ。春香さんも一緒なら、僕も参加するよ」


小川は弾んだ声で答えた。


「よし! 峯川と松井にも伝えておく。ゴールデンウィークの初めに出発しよう」


「了解、準備しておくよ」


こうして祐一たちは、再び未知へと歩み出す決意を固めた。


春の風は、次なる冒険の始まりを静かに告げていた——。



 購読、ありがとうございます。

再び、祐一は心霊スポットに向けて調査を行う決意を固めて挑もうとしています。

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