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オカルト研究部 田中祐一 今日も怪異あり  作者: waku


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郊外にある民家の調査

祐一たちは、トンネルの調査を簡単に済ませた後、依頼先の民家を尋ねる為、車に乗り向かった。果たして、問題は解決するのか?なぞは、まだ始まったばかりだった。


***郊外の古民家にて***

祐一たち一行は、緑山旧トンネルの調査を終えたその足で、

オカルト編集部に届いたもうひとつの依頼先、郊外にある一軒家の調査へと向かった。


場所はトンネルから車で15分ほど。雑木林を抜けた先に、ひっそりと建つ平屋の古民家があった。


「ここか……」寮が車を停め、周囲を見渡す。風が木の葉を揺らす音だけが、静かに響いていた。


玄関の引き戸をノックし、

「こんにちは、オカルト編集者の寮と申します。小山さんのお宅でしょうか?」

すると、中から現れたのは30代半ばの女性だった。痩せ型で、眼の下にはうっすらと隈があり、どこか疲れた表情をしている。


「こんにちは、小山と申します。お忙しいところ、本当にありがとうございます……」


 彼女の語るところによれば、数か月前にこの古民家へ越してから、夜中に足音や囁き声、電化製品の誤作動などが続き、最近では金縛りや「何かが枕元に立っている」ような気配を感じていたという。


「たまたま書店で手に取った雑誌に、オカルト研究会の記事が載っていて……思いきって、連絡しました」小山さんの声には切実さが滲んでいた。


寮は慎重に頷きながら、「まずは調査させてください」と柔らかく答えると、すぐに調査を開始することにした。


***古民家の調査***


 寮と國府田は家の外回りや裏手物置などを重点的に調べる事になり、祐一と美紀は小山さんに案内されながら、室内を順に見ていった。


玄関に一歩足を踏み入れた瞬間――


(……重い……)


祐一は息を呑んだ。まるで見えない湿気のような、淀んだ空気が空間を満たしていた。

音はなく、しかし“何か”がじっとこちらを見ている気配がある。


祐一は春香の寺で教わったとおり、「南無浄光如来、穢れを祓い、清き道に……」とお経を小声で唱えながら手を合わせる。そして、玄関の4隅に浄化スプレーを撒いた。すると、どこか重かった空気が和らいだ。


「……玄関の中の気が軽くなったわ」美紀が静かに言う。


祐一はうなずき、続いてキッチン、リビング、バスルーム、トイレと順に見て回る。部屋そのものは古いが、清掃は行き届いていた。だが、不思議と、どの部屋にも何か重い感じがのしかかっていた。


特に強い気配を感じたのは――子供部屋だった。


「ここは……?」


「ええ、子供部屋と使っていますが、時々、子供が怖がることがあるんです。時々、おもちゃが勝手に動いたり、人の気配がしたり、嫌な感じがする事があります……」小山さんの声が震えていた。


祐一は美紀に「この部屋何か変ですね」と尋ねる

「……この部屋、何か霊的な存在が潜んでいるわ」美紀がそう呟いた。


「どうしますか?」祐一が訊ねると、美紀は静かに答えた。


「まずは、霊の話を話聞いてみましょう。邪悪な存在では無いみたい」


祐一「僕が霊と対話してみます。」祓うのではなく、心を開いて対話する――それが新たな浄霊のあり方だった。心を落ち着かせ、静かに目を閉じた。


「……もし、ここにいるなら……僕の声が聞こえますか?」


部屋の空気が、少しだけ揺れた気がした――。



*** 家の外回りにて土地の気を読む ***


 一方その頃、寮と國府田は民家の外周を丁寧に歩きながら調査を進めていた。


裏手に回ると、ひんやりとした風が頬をかすめる。その空気は、どこか重く湿っており、昼間とは思えないほどの静寂があたりを支配していた。


「……なんとなく、寂しい感じがしますね」

國府田が、周囲を見渡しながらポツリと呟いた。


「そうだな。気配が不自然に滞ってる……」

寮は静かに辺りを見回しながら、不審に感じる場所を読み取っていた。


「このあたり、特に気が淀んでいる。……ちょっと、やってみるか」


寮はゆっくりと息を整え、掌を前に出すと、


「……霊光弾……」と呟いた。

掌に霊光の光の玉が作られると同時に寮の意図した場に霊光が広がって行く。


重く淀んでいた空気が清浄な空気に変わり軽くなったのが感じられた。


國府田は辺りの雰囲気を確かめるように目を細める。

「……さっきより、場の空気が軽くなった気がします」


寮は頷いた。

「確かに一時的に場の浄化はできた。でも……」


「……でも?」

國府田が首を傾げた。


「もしかすると、この土地自体が重い気を引き寄せる性質を持っている可能性もありそうだな。浄化をしても、また元に戻ってしまう可能性も高そうだ」


國府田は顎に指を添え、考えるように言った。

「だったら、いくつか浄化グッズを設置してみるのはどうでしょうか? 持続的に場を清める効果が期待できそうです」


寮は少し考え込み、やがて静かに頷いた。

「……そうだな。重い気を一定の範囲で浄化し続ければ、この敷地内へ邪気の再侵入を抑えられるかもしれない。ただ……」


「ただ?」国府田が疑問を持ち尋ねる。


「一時的に極端に悪化するのは防げるかもしれない。でも逆に良くなる訳でも無いかもしれない。霊的な邪気の流れそのものが変わらない限り、いくら場を清めても、上から水を流し続けるように、重い気が入り込んでくる可能性もあるな……結果的にはじわじわと悪化していく可能性も考えられるね」


國府田は唇を噛み締め、静かに頷いた。

「確かに……寮さんの言う通りですね。でも、何もしないよりはマシだと思います。やってみましょう」


「ああ。今できることを、やるしかないな」

そう言うと、寮はバッグから数種類の浄化グッズを取り出した。

白檀の香包、五芒星の護符、天然塩の小瓶を取り出し、敷地の四隅と家の裏手に設置していった。


國府田も持参した霊石を、庭の中心にそっと置いた。


 場の空気が再び浄化され、軽くなった。

「イヤシロチみたいな感じ……しばらく様子を見ましょう」

國府田がそう言った時、木の葉が舞い落ちてきた。


その揺らぎは、まるで何かがそっと見守っているかのように、穏やかだった。


だが、この地域全体は重い気で包まれていた。


*** 室内の浄化・陰陽の術 ***


 祐一が霊に対して問い掛けると、

「苦しい・・・助けて。。。」と返事が心の中に帰って来た。

祐一は再び、「そんなに、苦しいのですか?」と尋ねると、霊は再び「苦しい・・・助けて」と返事を返して来た。それと同時に部屋の空気がさらに重くなった。


 橘美紀は静かに部屋の中心に立ち、手にした式符を見つめながら深呼吸した。

彼女は目を閉じ集中すると神気が室内に満ちていった。


「いまから……あなたを光の世界に送り届けます」

そう呟くと、美紀は懐から小さな式神の札を取り出し、部屋の四隅に一つずつ配置していった。陰陽師の系譜を継ぐ彼女の術式は、空間の気配を読み取り、神気を呼び起こした。


 式神たちはふわりと白い光をまといながら舞い上がり、見えざる穢れを吸い取って行く。


 祐一はお経を唱えながらお香を焚く。

「真言五明、清き道に在りて、霊を癒せ」祐一の声が穏やかに部屋に広がる。


部屋の空気が、少しずつ澄んでいくのが感じられた。重苦しかった天井の気配も、今は柔らかく、軽くなっていた。それと同時に「ありがとう。これで光の世界に行ける」と、祐一の心の中に声が響いた。


 橘美紀「成仏したわ、これでこの部屋で怪奇現象も起こらなくなるでしょう」と小山さんに説明した。

 その後、各部屋を巡り、浄化と浄霊を行って回った。


 一巡し終えた後、美紀は再び玄関へと戻り、

懐から魔除けの札を取り出すと、丁寧に扉の上部に貼った。


「これで家の中の浄化と浄霊をすべて行いました」

そう言って美紀は穏やかに微笑んだが、続けて静かに言葉を添えた。


「ただ……今のところは、ですけれど」


小山さんの顔に一瞬、不安の影が浮かぶ。その気配に気づいた祐一は、柔らかい声で安心させるように言った。


「僕たちは慎重派なので、まだ細かい部分も調べるつもりです。でも、ひとまずこれで、おかしな現象は止まると思いますよ」


「……そうですか。ありがとうございます」

小山さんは胸に手を当て、少しほっとしたような表情でお礼を口にした。


そのとき——


玄関のドアがカタリと音を立てて開いた。

寮と國府田が外から戻ってきたのだった。


「こっちも、ひとまず完了だ」

そう言いながら寮は玄関に一歩足を踏み入れ、家の中の空気の変化を感じ取る。


「……空気が軽くなってるな。うまくいったみたいだな」


リビングに集まった一同は、これまでの調査と浄化の流れについて報告し合った。

寮も、美紀の貼った魔除け札を見て頷く。


「いい札だ。これで玄関からの侵入は防げる。とはいえ……この土地の流れは、もう少し様子を見る必要があるな」


國府田も、祐一と美紀に視線を向けて言った。

「中と外、両方から対策できたのは大きいですね。次は……原因の元を探る番ですね」


 家の中の気配は、確かに変わっていた。

だが、この地域周辺に残る何かまだ解決していなかった。

購読、ありがとうございました。祐一たちは、深まる謎を調査し解決へと向かっていきます。

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