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オカルト研究部 田中祐一 今日も怪異あり  作者: waku


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静寂の中に灯る決意

 祐一たちは、再びオカルト研究会として平穏な日々を送っていた。祐一は、そういった日々の中、再び霊力を高める事について気になっていた。


 祐一は青空商店街の復興活動を終えた後、徐々にいつもの平穏な日常へと戻りつつあった。

オカルト研究会のメンバーたちもそれぞれのテーマに向き合い、自分なりの研究や活動を進めており、祐一もその一員として自然に溶け込んでいた。


 彼が今熱心に取り組んでいるのは、風水の研究と、日々のお経の読誦、そして写経だった。春香の寺に通いはじめてから教わった教えを胸に、日々の修行を地道に積み重ねていた。派手さはないが、心の安定と霊力の底上げに繋がっている感覚があり、祐一にとっては大切な日課となっていた。


しかし、心の奥には消しきれない小さな灯火があった。

それは――


「もっと、霊力を高めたい」という、抑えきれない願いだった。


その想いは徐々に再燃し、祐一は再び霊力のトレーニングに精を出すようになっていた。

体力作りから始まり、精神統一、そしてエネルギーの流れを整える呼吸法、魔法の練習など日々の鍛錬は多岐にわたっていた。


一方その頃、オカルト研究会では、沢田部長が卒業間近ということもあり、

最後の引き継ぎと注意喚起を行っていた。


「我々オカルト研究会は、特別な霊能者集団ではない。あくまで、知識と経験を通じてオカルトを探求する“愛好家”だ。その立場を忘れず、無茶な行動は控えてくれ」


部員たちは真剣な表情でその言葉に耳を傾けた。


「部長、わかっています。この一年で、嫌というほど心霊現象の怖さを味わいましたから……」

河餅が苦笑交じりに頷く。


「次の部長はお前なんだから、無理すんなよ」

と、冗談めかして一谷が続ける。


「私も副部長としてサポートします。先輩たちが築いてきたこの雰囲気を大切に守っていきたいです」

岡田めぐみが穏やかな笑みを浮かべながら答えた。


その空気は穏やかで、どこか温かく、それでいてしっかりとした信頼関係に満ちていた。


***春香の寺での修行と気づき***


 祐一は週末ごとに春香の寺へ通い、修行に励んでいた。



 春香「今日も、ご苦労様。祐一さんは、熱心ですから上達も早いですね」

 祐一「でも、まだまだです」お経の唱和、写経、座禅、そして魔法学校で学んだ術の復習など、やるべきことは尽きなかったが、むしろその規則正しさが彼の内面を整えていた。


春香は、祐一の修行を見守りながら、浄霊の本質について語った。


「祐一さん、浄霊とは、霊を倒すことではありません。心を開かせて成仏させることが本当の浄霊です。敵として倒そうとするのは、間違いです」


祐一は、魔法学校で学んだ術とは異なる春香の教えに戸惑いながらも、心を開いて学び始めた。


修行の合間、春香は祐一にお経の意味や、心を整える方法を教えた。


「お経は、心を整え、霊との対話を可能にします。写経や座禅も同じです。自分自身と向き合うことで、霊との対話ができるようになるのです」


祐一は、春香の教えを胸に、日々の修行を地道に積み重ねていった。


修行を終えて山門を出ようとしたところで、陽菜が声をかけてきた。


「ねえ、祐一くん……どうして霊力にそこまでこだわるの?」


少し迷いながらも、祐一は素直に答えた。


「子どもの頃から、不思議な話やオカルトが大好きで……いろいろ調べて、試してきました。でも、実際に霊が見えたり、除霊ができたりするわけじゃなくて。自分の力のなさを、何度も思い知ったんです」


「それでも続けてるのね?」


「……はい。怖かったこともあったけど、それ以上に“この世界の真実”が知りたいんです。人を守れるくらいの力を持てたらって、思ってます」


祐一の言葉に、陽菜は少しだけ目を細めた。


「……そう。そういう祐一くんには、これが必要かもしれないわね」


そう言って、彼女は懐から小さなブレスレットを取り出した。

透明な水晶を基調とした、澄んだパワーストーンのブレスレットだった。


「これは、アメリカで出会った魔法使いから譲り受けたもの。霊的な感応を高める力と、悪しき存在から身を守る結界の役目を果たしてくれるわ」


「えっ……でも、そんな大切なもの、僕なんかが……」


「祐一くんなら、きっと使いこなせる。そう思ったの」

陽菜の表情は穏やかで、祐一の背中をそっと押すようだった。


「霊力は、外から与えられるものじゃない。自分の内面と向き合って、初めて見えてくる力なの。指導霊のシャミィも、そう言っているわ」その言葉に、祐一は深く心を動かされた。


「ありがとうございます。……僕、自分自身をもっと見つめてみます」


その時、境内に風が吹き、竹林がざわめいた。


「……きっと、道は開けるわ。あなたが信じる限り」


***新たな任務への導き***


 その日の夕方、つばき壮に戻った祐一は、いつものように玄関の掃除をしていた。

陽菜の言葉を何度も思い返しながら、自分の内面に意識を向けていた。


すると、不意に寮が彼の背後から声をかけてきた。


「祐一、次の取材、手伝ってくれないか?」


「はい!もちろん、ぜひお願いします!」即答する祐一に、寮は満足そうに頷いた。


「今回は、緑山旧トンネルと、その周辺にある民家の調査だ。最近また霊的な活動が活発になっているらしい。若者たちの間でも心霊スポットとして有名になっていて、事故や奇妙な失踪の話もある」


「……危険はないんですか?」


「あるさ。でも、今回は浄化を含めた正式な調査依頼が来てる。オカルト編集部としても、見逃せない」


祐一は強く頷いた。


「わかりました。座禅と写経で鍛えた集中力、現地でも役立ててみせます」


その言葉に、寮は安心したように笑った。


「じゃあ、出発は明朝。準備、頼むな」こうして祐一の新たな任務が始まろうとしていた。


*** 緑山旧トンネル調査の幕開け ***


 翌朝。春霞が街を包むなか、祐一は寮の車に乗り、

集合場所である編集部前で待っていると、ほどなくして國府田、橘美紀がやってきた。

「おまたせ、取材と調査の準備は万端よ」と國府田が手を振った。

 橘美紀は霊府と浄化グッズを携え今回の調査に対する覚悟が表情に滲んでいた。


「じゃあ、行こうか」寮が静かに号令をかけ、四人は車に乗り込み、緑山旧トンネルへと向かった。


車内では、過去の事例や地元の噂について共有が行われた。


「この緑山旧トンネルは、かつて交通の難所とされていた場所。崩落事故や工事中の落盤で多くの命が失われてる。さらに数十年前には、自殺者が相次ぎ、もう一つの世界へ繋がっている。という噂が立ったの」國府田がタブレットを操作しながら言った。


「今回の依頼者は、その周辺に住む老夫婦。夜ごとに不気味な呻き声や子どもの笑い声が聞こえると訴えていて……特に最近、体調を崩しているらしいんだ」寮の声には、淡い緊張が含まれていた。


「……わかりました。気を引き締めて臨みます」祐一はブレスレットに手を添え、改めて覚悟を固めた。


*** 境界の揺れる場所 ***


現地に到着すると、あたりは薄曇りの天候で、山の奥から冷たい風が吹いていた。


道脇の斜面にぽっかりと口を開けたトンネルは、周囲の音を吸い込むような異様な静けさを放っている。入口付近には雑草が生い茂り、誰も近づかなくなったことが伺えた。


「霊的な境界が緩んでる……」國府田が、結界棒を地面に差しながら呟いた。


「僕、機材の準備します」祐一は素早く三脚を組み、撮影用の赤外線カメラを設置。トンネル内の空間をモニタリングする態勢を整えた。


そのとき——


「……視線を感じる」美紀が足を止めた。


「えっ?」祐一が振り向く。


「まだ見えないけど、何かが、こっちを見てる」彼女は静かに、結界札を手にした。


突如、風が鳴りを上げ、トンネルの奥から子どものような笑い声が聞こえた。


「……来るぞ」寮が警戒の声を上げた。


*** トンネルに潜む何か ***


トンネル内に入った祐一たちは、四方から響いてくる物音と気配に包まれていた。


冷たい空気、さざめくような囁き声、どこからか水滴が落ちる音。


美紀が「霊が近寄って来るわ!」と叫ぶと同時に、トンネルの奥に影が浮かび上がる。


それは、人の形をしていたが、明らかに人ではない何かだった。


「……!」祐一は浄化スプレーを周囲に撒きながら小声で春香から教わったお経を唱える。


「――真言五明、清き道に在りて、魔を払え」


祐一の声が静寂に響いた瞬間、影は壁の中へと吸い込まれるように消えさった。


*** 調査の先にあるもの ***


 再びトンネル内、奥に進んで行った。

寮「今回は下調べ。と、言った所だな。一旦、引き上げよう」


国府田「確かに、心霊スポットとして確認できたわ」


橘 美紀「ここで浄化を続けても簡単には解決しないかも知れないわね」

 

寮「祐一、よくやった」寮が肩を叩く。


「……ありがとうございます」祐一がぽつりと呟く。


「そうだな。もっと深く調査が必要だ」寮は地図を見ながら呟いた。


「祐一くんの霊力、前よりずっと高まっていたわ」美紀が優しく微笑んだ。


「……僕、自信が少しついてきました。でも、まだまだだと思います」祐一は陽菜から貰ったブレスレットを見ながら答えた。


 寮「よし、次は相談の合った民家に行こう」


 闇の奥に、まだ解かれていない謎がありそうだった。

それを知るには、さらに調べ踏み入れて行く事になる。



 

 購読、ありがとうございました。次回をお楽しみに。

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