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オカルト研究部 田中祐一 今日も怪異あり  作者: waku


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青空商店街の新しい未来と発展へ向けて

 祐一たちの商店街復興活動は、続けられ少しずつ成果が現れはじめていた。

 祐一は週末になると青空商店街に足を運ぶことが多くなっていた。


 今日は、オカルト研究会の主催で「風水講座」が開かれていた。

祐一は簡単な風水改善のポイントを紹介し、玄関の掃除や整理整頓の大切さを伝えた。星川は方位による影響について簡単な解説を行い、集まった聴衆は皆、興味深く耳を傾けていた。


***春香と浄霊***


 午前に開かれた講座が終わると、祐一は商店街の一角にある寮のオカルト雑誌社のブースへと足を向けた。そこでは春香が主催する「写経会」が行われており、静かで落ち着いた空気の中、参加者たちが集中して筆を運んでいた。


 祐一も席に座り、一時間ほどかけて写経を終えた。

完成した紙は、春香が後日、寺に持ち帰ってお焚き上げをするという。


「写経をすると、心が清まり、集中力も高まりますよ。書いたお経は、お焚き上げをして、皆さまの安寧と幸せをお祈りいたします」と、春香は穏やかな口調で話す。


写経会に参加していた一人の女性が、手を合わせながら言った。


「私もここに参加してから、自宅で毎日少しずつ写経を続けてるんです。春香さんのおっしゃる通り、最近は心が穏やかで、大きなトラブルも無くなってきました」


春香はにこやかに頷きながら、参加者たちに感謝を伝えた。


そのときだった。一人の中年女性が、そっと春香のもとへ近づき、何やら小声で相談を始めた。


「…実は、毎晩通る橋の上で、何か……女の人の影のようなものを見るんです」


その言葉に、春香の表情が静かに引き締まった。祐一も、耳を傾けていた。


「田中さん、一緒に来ていただけますか? 一度、その橋を見に行きましょう」


春香に誘われ、祐一も同行することになった。


相談者に案内され、二人は商店街の外れを抜け、小道をしばらく進んだ先にある古い橋へとたどり着いた。夕暮れの空に橋の輪郭が沈みかけている。

橋の歩道には、どこか寂しげな気配が漂っていた。


春香が目を閉じ、霊視を始める。


「……あそこです。女性が蹲って、泣いています」


祐一もまた、直感的に何かを感じた。視線の先に、ぼんやりとした黒い影のようなものが揺れていた。


「見えます……黒い影……なんだか、悲しそうな感じがします」


春香は橋の中央に歩み寄り、そっと手を合わせた。そして、霊に向けて静かに語りかける。


「あなたは、ここで何を待っているのですか? ……ええ、苦しかったのですね。でも、もう大丈夫です。光の方へ、一緒に帰りましょう」


春香は、持っていた小さな経本を開き、静かにお経を唱えはじめた。その声は、風の音と重なりながら、橋の上に優しく響き渡った。


やがて、お経の終わりとともに、空気がふっと軽くなった気がした。影はゆらりと揺れ、そして静かに、消えていった。


「……成仏しましたね」と、春香が微笑む。


祐一は、思わず口を開いた。


「春香さんって……やっぱりすごいですね」春香は、ふと柔らかく笑った。


「田中さんも、霊に興味を持ち始めていますね。でもね、良い霊ばかりではありませんから……安易に近づかないことも、大切です」


祐一は少し視線を落としながら答えた。「僕も、寮さんに憧れて魔法や浄化を学んだことがあります。でも……自分の力の限界を感じてしまって」


春香はにっこりと微笑んだ。

「田中さんは真面目な方ですから。日々、少しずつ修行を続けていけば、必ず力は高まりますよ。このお経を、毎日唱えてみてください」


そう言って、春香は丁寧に折った紙を手渡した。


橋の上に、再び静寂が戻った。

夕陽が川面に反射して揺れている。

祐一は手にしたお経を見つめながら、静かに誓った。


──自分も、誰かを救えるような力を身につけたい、と。


――その夜。


橋の静けさを後にし、祐一はつばき荘へと戻った。古い木造の玄関扉を開けると、廊下からふんわりと炊き込みご飯の香りが漂ってくる。


 桜の自室のに前に戻ると、さくらが部屋から丁度、出て来た所だった。

彼女は祐一に気づくと、軽く手を振った。


「祐一くん、おかえり。……最近、青空商店街の復興活動、がんばってるんだってね」祐一は頷く。


「うん。少しずつだけど、活気が戻ってきてる気がするよ」


さくらは、ゆっくりと考えながら話す。


「やっぱり、こういう商店街って……大切かなって思う。人と人が顔を合わせて、挨拶して、何気ない会話があって……そういうの、最近少なくなってきたから」


「確かに、SNSやネットでの繋がりが増えて、それで満たされた気になってるかもね」と、祐一が返す。


さくらは少し微笑みながら、続けた。


「でも、日々の生活の中で顔を合わせる人、名前を知らなくても“あの人、よく会うな”って思える存在がいるだけで、なんとなく安心できたりするのよね」


祐一も、それに頷く。


「たぶん、そういう“ふれあい”って、便利さだけじゃ得られないものなんだろうね」


さくらはくすっと笑って言った。


「祐一くんって、なんだか不思議よね。自然とみんなを巻き込んで、親しくなって……気づいたら、みんな友達みたいな、家族みたいな感じになってる」


祐一は少し照れながら、柔らかく答えた。


「僕は……ただ、みんなが一緒にいて、楽しく過ごせたら、それで十分なんだ」


廊下の窓から見える夜空には、星がぽつぽつと浮かび始めていた。


そして、二人の間には、なんともいえない静かな温かさが流れていた。



購読、ありがとうございました。ひさしぶりのさくら登場です。

春香もゲスト出演しました。



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