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オカルト研究部 田中祐一 今日も怪異あり  作者: waku


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願望成就の書

祐一たちオカルト研究会は本を封印しようとするが・・・

 祐一は素早く橘美紀の霊符を取り出し、問題の本に貼り付けた。


その瞬間、黒い影はかき消え、旧図書室には静寂が戻った。


「よし、今のうちにこの本を部室へ運び、魔法陣で封印しよう」


沢田部長の指示で、オカルト研究会のメンバーは本を慎重に持ち運び、部室へと急いだ。部室の奥にある小部屋には、古くから呪物の保管に使われていた封印の魔法陣が描かれている。その中心に本をそっと置き、小部屋の扉を閉めて厳重に鍵をかけた。


「これでひとまずは安心だな」


沢田部長は念のため、もう一度旧図書室を調査するよう指示を出した。

だが、異常は何も見られず、黒い靄も完全に消えていた。


「よし、一旦部室に戻ってミーティングだ」


***本の正体***


 部室に戻った研究会のメンバーは、沢田部長が調べた本の情報を共有した。


この本は、かつて「願いを叶える本」として知られていた。しかし、それはただの噂ではなく、実際に願いを叶えた人々は、その代償として次々に不幸に見舞われていた。そして、あまりにも危険だと判断され、封印が決定された後、いつの間にか行方不明になっていたのだった。


「このまま研究会の部室に保管しておくのでしょうか?」


祐一の問いに、沢田部長は少し考えた後、


「いや……これは簡単に扱えるものじゃない。山田先輩にも相談しよう」


と答えた。


本が発する異様なエネルギーを前に、メンバーたちは慎重に議論を重ねたが、決定打となる策は見つからず、その日は解散することになった。部室の鍵は沢田部長が管理し、本が外部に持ち出されないようにした。


***夢の中の貴婦人***


 その夜、祐一はつばき壮に戻り、大学で起きた出来事を寮に報告した。


「願いを叶える本……だが、代償として呪いが降りかかる、というわけか」


寮は静かに呟く。


 祐一は話を続けた。

「旧図書室の怪異も、この本が原因だったことが分かりました」


「なるほど。だが、このまま封印しておくだけでは不十分かもしれない。おそらく、本そのものを浄化する必要がある」寮は少し考え込み、祐一を見つめて言った。


「明日、僕も一緒に調べに行こう」


「ありがとうございます。僕たちだけでは手に負えないかもしれないので、助かります」と話した後、自室に戻り、いつもの様に寝床に就いた。


その夜、祐一は不思議な夢を見た。


古びた西洋の洋館の一室——

優雅なドレスをまとった貴婦人が、静かに佇んでいた。


「あなたの願いを、何でも叶えましょう」


穏やかな微笑みを浮かべたまま、彼女はそう囁いた。


「急に願いを言われても……何を叶えたいか、分かりません」


祐一がそう答えると、貴婦人は微かに微笑み、


「そうですか。では、また明日の夜に」


そう言い残し、夢はそこで途切れた。


目を覚ますと朝になっており、「不思議な夢だったな」と呟き大学に向かう準備を整えて行った。


***夢の共鳴***


 寮と共に大学へ向かう道すがら、祐一は昨夜の夢について相談した。

「昨夜、不思議な夢を見ました」と昨夜の夢の事を伝える。


寮は「なるほど。。。」と答え、しばらく考えた後、「夢の中に現れた貴婦人……もし今夜も同じ夢を見たら、まだ願いが決まっていないと言うんだ」し慎重に助言した。


祐一は寮の助言を聞いた後「……分かりました」と答えた。


 


オカルト研究会の部室に着くと、すでに他のメンバーも集まっていた。


「祐一、昨夜……貴婦人が現れなかったか?」


沢田部長の問いに、祐一は驚きながらも頷いた。


「はい、僕も見ました」


すると、沢田部長は深刻な表情で言った。


「……実は、俺たち全員が同じ夢を見たんだ」


部室の空気が、一気に張り詰める。


「やはり……原因はあの本か」寮が静かに呟く。


「俺たちは、もしかするとすでに呪われているのかもしれない」沢田部長が唇を噛みしめた。


「となれば、やるべきことはひとつだ。本を浄化し、呪いを断ち切るしかないな」


そのとき——


「遅れてすまない」


低く落ち着いた声が響いた。振り返ると、そこには山田先輩の姿があった。


沢田部長がこれまでの経緯を説明すると、山田先輩は険しい顔をした。


「……あの本が見つかったんだな」


静かに、彼は言葉を続けた。


「あれは、いずれ処分する予定だった……だが、ある日突然、跡形もなく消えたんだ」


部室の空気が、一層重くなる。


「つまり……俺たちは、すでに本と関わってしまっている。呪いを解かない限り、このままでは済まないかもしれない」


果たして、本の呪いを解く方法はあるのか——

そして、今夜もまた、貴婦人は祐一の夢に現れるのだろうか。


***禁断の書***


「よし、早速この本を焼却しましょう」


祐一がそう提案すると、山田先輩はすぐに首を横に振った。


「いや、それはできない。この本は、大学側から“貴重な重要書籍”として認定されているんだ」


祐一は驚き、メンバーたちもざわめいた。


「重要書籍……? そんなものを大学が認めていたんですか?」


「正確には、かつて研究対象として認められた。しかし、あまりにも危険性が高いため、正式に処分する方法を大学側に問い合わせ、許可を得ようとしていた矢先に行方不明になったんだ」


山田先輩の言葉に、部室は静まり返った。


「となると……勝手に焼却したり処分するのは、大学の許可がない限り難しい、ということですか?」


沢田部長がため息をつきながら呟く。


「それだけじゃない。旧図書室に保管されていた以上、歴史的価値が認められる可能性もある。本を処分すれば、大学や研究機関から問題視されるかもしれないんだ」


「……厄介ですね」


沢田部長が肩をすくめる。


呪われた願いの代償

山田先輩は続けた。


「実は、この本は秘密裏に色々な学生の手に渡っていたことが分かっている」


「どういうことですか?」


「過去に、この本を使った学生が、試験で驚異的な成績を収めたり、スポーツ大会で優勝したりしたという記録があるんだ」


部員たちは息をのんだ。


「……じゃあ、本当に願いを叶える力があるってことですか?」


祐一が尋ねると、山田先輩は渋い顔で頷いた。


「だがな、願いを叶えた学生たちは、その後、決まって不幸な目に遭っている。例えば、試験でトップの成績を取った学生は、その後、学力が追いつかずに退学した。スポーツ大会で優勝した者は、大会後に大怪我を負い、二度と競技に戻れなかった」


「……やはり、代償があるということですね」


寮が静かに言う。


「そういうことだ。そして、その影響が俺たちにも及んでいる可能性がある」


部屋の空気が一気に重くなる。


本の浄化は可能か?

沈黙の中、寮が口を開いた。


「その本のエネルギーを浄化することはできないのか?」


山田先輩は少し考えた後、ゆっくりと答えた。


「僕たちも、それを試みようとしていた……だが、本が行方不明になってしまった」


「つまり、処分もできず、浄化の方法も確立できていないまま、誰かが勝手に持ち出した……」


沢田部長の声には、焦りが滲んでいた。


「……もし、本がまた誰かの手に渡ったとしたら?」


祐一がそう言うと、山田先輩は険しい表情で答えた。


「最悪の場合、また誰かが願いを叶え、その代償として取り返しのつかない事態が起こるかもしれない」


一同の背筋に冷たいものが走る。


——本はまだ、真の恐怖を見せていないのかもしれない。


ご購読、ありがとうございました。

ミステリアスな展開へと向かって行きそうです。

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