頂上への道のり 未知の山道を進む
祐一たちオカルト研究会は、翌日、北の山に登る計画を立てた。登山メンバーは、沢田部長、祐一、河餅、峯川、寮 の5名で、他のメバーは、山のふもとの整備と新たに建設される山小屋の建設のサポートを行う事になっていた。
朝の光が山々を照らし、澄んだ空気が広場を包み込んでいた。北の山の麓では、整備作業が着々と進み、静かだったこの場所に徐々に活気が戻りつつあった。草木が刈り取られ、地面が均され、新たな道が整備されることで、かつての廃村が新たな姿へと変貌を遂げつつあった。
オカルト研究会のメンバーたちは、登山の準備を進めるだけでなく、新たに建設される山小屋の作業にも積極的に関わっていた。この小屋は、調査拠点としてだけでなく、登山者や関係者が安全に休憩できる重要な施設となる予定だった。
「この山小屋ができたら、登山口の休憩所としてすごく便利になりそうですね」
広場に立ち、祐一が遠くを見渡しながら呟く。まだ建設途中の小屋の骨組みが太陽の光を受け、影を作り出していた。
「そうだな。ここは水場も近いし、仮設とはいえトイレやバスルームがあるのはありがたい」
沢田部長は頷きながら、資材が積まれた場所を見つめる。すでにトイレとバスルームの設置予定地には仮設の床材が敷かれ、基礎部分の工事が進んでいた。
広場には、大量の木材や金属パーツ、断熱材などが積み下ろされており、業者たちが手際よく組み立て作業を進めていた。トンカチの音が響き、木材を切る電動ノコギリの音が周囲に広がる。オカルト研究会のメンバーも、荷物の運搬や組み立ての補助作業に汗を流していた。
「おお、思ったよりしっかりした作りですね」
吉村が興味津々に壁の骨組みを見上げる。しっかりとした柱が組み上げられ、窓枠が取り付けられつつあった。
「基礎部分もちゃんと固めてあるし、これなら少しの雨風じゃビクともしないだろうな」
河餅が木の床を軽く踏みしめながら言った。
「ここが完成すれば、登山や調査の拠点としても使えそうですね。長期滞在も可能になりますし」
一谷が嬉しそうに言う。
建設中の山小屋は、約10畳の広さ を持ち、トイレ、バスルーム、キッチン などの設備が備えられる予定だった。山の環境は厳しく、雨風が強まる日もあるため、登山者にとってもこの施設の完成は大きなメリットとなるだろう。また、周囲には簡易の休憩スペースも設ける計画があり、登山者が気軽に立ち寄れる場所 になることを目指していた。
「一週間ほどで完成するみたいですし、それまでに登山ルートも整備を進めておきたいですね」
祐一が地図を広げながら言った。
「登山道の倒木やぬかるんだ場所の整備も必要だな。特に、標高が高い場所は道が滑りやすくなっているから注意が必要だ」峯川が登山道の状態について報告する。
「それと、山頂付近の状態も気になる。祠跡の周辺がどうなっているのか、しっかり調査したいところだな」寮がメモを取りながら言った。
登山班の準備も着々と進められていた。
「装備をしっかり確認しておこう。水、食料、応急セット、トランシーバー……全員ちゃんと持ってるな?」沢田部長がチェックリストを確認しながら声をかける。
メンバーたちはそれぞれ自分のリュックを確認し、登山に必要なものが揃っているかチェックした。登山靴の紐をしっかりと結び直し、トランシーバーの電池が十分かどうかを確認する。
「うん、大丈夫です!」
祐一が元気よく答えた。
「よし、それじゃあ予定通り出発しよう」
沢田部長の掛け声とともに、登山班は山へと足を踏み入れた。
***登山開始***
登山班のメンバーは、沢田部長、祐一、河餅、峯川、寮 の5人。
他のメンバーは引き続き、麓の整備と山小屋の建設を担当することになった。
「今回は 2 時間程度進んだ所で様子を見よう。山頂にたどり着けるかは不明だが、無理はしないで進もう」沢田部長がそう言い、登山班は出発した。
登山道は、予想通り、藪や倒木、岩が転がって道を塞いている箇所がいくつもあった。また、ぬかるんだ場所もあり、登山は予想外に難航していた。「まだまだ整備が必要だな」寮が足元の岩を踏みしめながら言う。
「ええ。でも、道が残っているだけマシです」祐一も慎重に歩を進める。
***山道を進み2時間を過ぎた頃***
「……霧が出てきました」
河餅が不安そうに呟いた。
先ほどまで晴れていたのに、突然、辺りが白く包まれ始める。
霧はどんどん濃くなり、数メートル先も見えづらくなっていった。
「これは……妙な感じです」峯川が辺りを見渡す。
「山では、よくあることなんです?」沢田部長が寮に問いかけると寮は首を横に振った。
「いや……普通の霧じゃない。周囲の気配が変わっている」
「どういうことなんですか?」祐一が尋ねる。
峯川が「廃墟探索に出向いた時、急に気温が変わったり天候が変化する事があるんだ。こういった時は霊が現れる前兆のケースもあるんだ」と答える。
寮が「邪気払いを行ってみる。みんな、そのまま待機していてくれ」寮は呪文を数分ほど唱え続けると周囲の濃かった霧が次第に晴れ渡っていった。
峯川が「どうやら、去って行ったみたいです」とほっとした声で呟いた。
祐一も、「寮さん、助かりました」とお礼を言った。
沢田部長が「よし出発しよう」と、さらに先に足を進めると朽ち果てた建物の後らしき後の場所に達した。辺りは平地になっており、山道の左側に石を積み重ねた石垣が草木の隙間から見えた。
「これは……?」河餅が辺りを見渡すと、
そこは藪に覆われ割れた瓦などが見つかり建物があった形跡が残されていた。
「どうやら、ここに昔、民家があった場所のようだな」沢田部長が慎重に周囲を見渡す。
「田村さんが言っていた 北の山にあった家’かもしれません」祐一が呟く。
「でも、どうしてこんな場所に家が建てられていたんだ?」河餅が疑問を口にする。
峯川が「昔は山奥で炭焼きや猟を行ったり畑を耕して暮らしていた話もあるからね」と、答えた。
民家らしき跡地をメンバー全員で調べて回った。
河餅が「この場所をならしてしてテントが張れる広場にして休憩所にするといいかもね」と提案した。
沢田部長が「山の麓からここまで2時間ほど掛かったから、丁度良い休憩所になりそうだ」と答える。
***ドローンを使った調査***
祐一は、全員が休憩している間、リュックからドローンを取り出し周辺の調査を行った。
民家跡前の山道は、木が少なく、丁度ドローンを飛ばせるスペースがあった。
ドローンから上空を調査すると山道は山の頂上まで続いていた。
「ここから後、2時間ほど進むと山の頂上付近に着きそうです」と祐一が調査を終えた後、伝えた。
沢田部長が「この調子で行くと、ここから往復で4時間以上は掛かる計算になる」と時計を見ながら話す。
河餅は「朝8時に出発して、今、10時を過ぎています。後、2時間進んで調査の時間と休憩時間を計算すると、山の麓まで戻るのに午後5時くらいになりそうです。帰れそうです」と、話す。
「よし、山の頂上をめざして進もう」と、沢田部長が指示を出しメンバー全員、出発した。
***頂上への道のり 未知の山道を進む***
祐一のドローンによる調査結果をもとに、登山班は山の頂上を目指して再び歩き出した。これまで進んできた道と比べ、ここから先はさらに険しい山道となる。傾斜は急になり、道幅も狭くなっていった。周囲は木々に覆われ、時折、木漏れ日が差し込むが、密集した枝葉の影で薄暗く感じられる。
「ここからは慎重に進もう。足元に気をつけて」
沢田部長が前を歩きながらメンバーに声をかけた。
歩き始めてしばらくすると、地面が柔らかくなり、靴がわずかに沈み込む感触があった。
「ここ、少し湿っていますね……」峯川が地面を指で押して確認する。
「確かに。沢が近いのかもしれませんね」祐一が地図を見ながら答えた。
進んでいくと、細い流れが見え始めた。石の間を縫うように水が流れ、緑に覆われた岩肌が光っていた。
「少し休憩しようか。水の確保もしておきたい」
沢田部長の提案で、一行は小川のそばに腰を下ろした。冷たい水を手ですくい、顔を洗うと心地よい冷涼感が広がる。
「こんな場所があったんですね。まるで隠れたオアシスみたいです」河餅が感嘆の声を上げる。
「登山道から少し外れた場所だから、あまり人の目につかなかったのかもしれない」
寮が水を眺めながら呟く。
小川のせせらぎに耳を澄ませながら、メンバーたちは短い休憩を取った。
***倒木と行き止まり***
休憩を終え、再び歩き始めた登山班だったが、しばらく進むと行く手を阻む大きな倒木が現れた。
「これは……なかなか厄介な障害物だな」沢田部長が倒木を見上げる。
太い幹が登山道を完全に塞いでおり、その上を乗り越えるにも高さがある。脇をすり抜けるにも、周囲の木々が密集しすぎていて難しい。
「少し迂回できる道があるか探してみます」
祐一が地図と照らし合わせながら辺りを見渡した。
寮と峯川が周囲を探索し、小さな獣道のような細い道を発見した。
「こっちなら抜けられそうですよ。ただ、少し急斜面です」
峯川が指差す先には、細く不安定な足場が続いていた。
「慎重に行けば大丈夫そうだな。全員、ゆっくり進もう」
沢田部長の指示のもと、メンバーたちは迂回ルートを慎重に歩いていった。
***古い石段の発見***
倒木を回避し、再び山道を登っていくと、突然、石で作られた階段が現れた。
「これは……?」
河餅が驚いた声を上げる。
石段は苔むしており、長年使われていないことが明らかだった。しかし、一段一段がしっかりとした造りで、かつてこの山に何らかの道があったことを示していた。
「この山の頂上には祠の跡があると言っていたけど、その関連の道なのかもしれない」
寮が興味深そうに石段を見つめる。
「とりあえず、この道に沿って登ってみよう」
沢田部長が先導し、メンバーたちは石段を登り始めた。
階段は途中で崩れている部分もあり、慎重に足を運ばなければならなかった。しかし、これまでの道よりも勾配が緩やかで、歩きやすかった。
「これ、整備すれば観光客向けの登山道として使えそうですね」祐一が言う。
「そうだね。ただし、しっかり補修しないと危険な場所も多いみたいだね」
峯川が慎重に足元を確かめながら答えた。
石段を登りきると、視界が開け、頂上に続く最後の登り道が見えた。
「もう少しですね……!」河餅が汗を拭いながら言った。
このあたりから風が強くなり、木々のざわめきがはっきりと聞こえるようになった。空も明るくなり、広がる空間の先に何かがあることを予感させた。
「さあ、最後のひと踏ん張りだ」
沢田部長の言葉にメンバー全員が頷き、再び歩き出した。
2時間に及ぶ険しい登山の末、ついに彼らは北の山の頂上にたどり着いた――。
頂上は少し開けており、石で作られた祭壇の様な物があり、祠跡と石碑が見つかった。
メンバー全員で周囲を調べた。
寮が、この祭壇は何か儀式に使われていた場所みたいだね。かなり古い建造物の様だ。
祠跡と石碑もあり、何かを祀り、鎮める為の様でもあった。
ご購読、ありがとうございました。




