廃村へ――北の山の奉仕活動
オカルト研究会は、廃村の復興活動のボランティアで今回は北の山の麓の整備に向かう事になっていた。
オカルト研究会は、再び廃村へ向かうことが決まった。
今回は、北の山の麓の草刈りと伐採作業を行うボランティア活動だった。しかし、それだけではなく、せっかくなら北の山の頂上まで登山してみよう 。という計画も立てられていた。
以前、訪れた時は廃村にある北の山の調査は出来なかったが
今回はボランティア活動を含めての活動なので、いくらか調査も行えそうだった。
***つばき荘のカフェでの会話***
廃村へ向かう五日前、祐一は、
つばき荘の裏庭のカフェでコーヒーを飲みながら寮とさくらに話をしていた。
「それで、また廃村に行くんだね」
寮が興味深そうに言う。
「ええ。ボランティア活動がメインだけど、ついでに北の山も登ってみようと思っています」
「北の山?」寮は少し考え込むように視線を下げた。
「北の山には何かあるんじゃないかって話してたよね?」
祐一は、頷きながら
「はい、風水の影響として頂上に何かあるかもしれないか。と、気になっています……」
「へえ……」寮はカップを口に運びながら、興味深げに微笑む。
「その取材、同行していいかな?」
その言葉に、祐一とさくらは驚いた。
「え、寮さんも?」
「うん。最近、廃村の取材先を探していて、祐一君の話を聞いていると何か面白そうだ。と、思ってね」
「ちょっとした冒険家みたいね」とさくらが頷く。
「じゃあ、今度、沢田部長に聞いてみます」と祐一が答える。
こうして祐一は、オカルト研究会の部長である沢田に相談することになった。
***取材同行の許可***
翌日、祐一は沢田部長に寮の取材同行について尋ねた。
「寮さんが北の山に興味を持っていて取材を兼ねて廃村に同行したいらしいんですけど、大丈夫ですか?」
「もちろんだ。寮さんがいると、僕達も安心して北の調査がしやすくなりそうだからね」と沢田は快く承諾し「外部視点からの意見もありがたい。僕たちの調査ではどうしても限界があるけど、プロの編集者で霊能力の高い寮さんが居るだけでも心強いからね」と続ける。
一谷も「そうですね、寮さんは、しっかりしていて頼りになりますから僕達も安心して探索できそうです」と、以前調査に行った住宅の事を思い出していた。
こうして、寮の取材同行が正式に決定し、
祐一たちオカルト研究会のメーンバーは、再び廃村へ向かうことになった。
***廃村の変化***
オカルト研究会のメンバーは、準備を整え廃村へと向かった。
かつて荒れ果てていたこの村も、
前回の田畑の草刈り活動の後も着々と復興が進んでいた。
荒れ放題だった田畑は整地され新たな作物が植えられ始めている場所も増えていた。
農学部と他の団体や個人のボランティア活動などで徐々に整えられていた。
また、崩れかけた古民家を撤去したり修繕し一部は観光施設として活用されるようにもなっていた。
道路や用水路も整備され、村全体に活気が戻りつつあるように感じられた。
さらに、村の中心地には大学の施設と公園が建設されていた。研究施設や部活、イベント会場など多目的に利用できる広場やホールも建設されていた。
公園には新しい遊歩道が整備され、訪れる人々が自然を楽しめる空間となっている。
そして、少し離れた場所には、修復された古民家が並ぶ古民家村や喫茶店、おみやげ屋、宿泊施設、キャンプ場などが作られ、観光地として注目され始めていた。
「前に来た時よりも、だいぶ賑わって来たね」河餅が周囲を見渡しながら言う。
「うん。村がどんどん生まれ変わっていってる」吉村も感慨深げに頷いた。
***古民家の管理人・田村さん***
オカルト研究会の一行は、まずいつもの下宿場所として利用している古民家へ向かった。
この古民家は、オカ研が廃村の調査を行う際の拠点として活用している場所だった。今は古民家を管理するようになっていた。
「ここを管理してくれてる人がいるみたいだね」
祐一がそう言いながら玄関の戸を開けると、中から一人の男性が姿を現した。
「やあ、君たちがオカルト研究会のメンバーかい?」
彼の名は田村さん。最近、この辺りの古民家の管理人として活動を始めたという。
50代半ばくらいの穏やかな顔つきの男性で、地元の復興プロジェクトの一環として古民家の維持管理を任されているらしい。
「ここもずいぶん手を入れて、使いやすくなったよ。今は定期的に掃除や修繕をしているからね」
田村さんはにこやかに笑いながら、古民家の中を案内してくれた。いくつか痛んでいた箇所も修復され、今では整理整頓されており、快適に過ごせる空間に生まれ変わっていた。
「本当に助かります。ここがあるおかげで、僕たちも調査がしやすくなりますから」沢田部長は田村さんに礼を述べた。
田村さんが「食材も近くに出来たミニスーパーで調達できるようになったからね。これで、この村に来るまでの準備が軽減できるね」と、伝えてくれた。
「ところで、田村さんは、この村のこと、昔から知ってるんですか?」
祐一が興味深そうに尋ねると、田村さんは少し遠くを見つめながら答えた。
「いや、僕は最近この仕事を任されたからね。ただ、廃村になって引っ越した地元の人たちに色々と話は聞いているよ」
「北の山について何かご存じですか?」寮がさりげなく話を振ると、田村さんの表情が少し曇った。
「北の山か……あそこはあまり人が近づかない場所だったらしいね。昔は山の上にも何軒か家があったそうだけど、村が廃れる前に皆、いなくなったと聞いたよ」
「やっぱり、何か理由があったんですか?」
祐一が尋ねる。
「さあね。詳しいことまでは分からないけど……」
田村さんは少し考え込みながら続けた。
「ただ、山の頂上には昔、祠があり、何かの儀式を行っていた話を聞いた事があるよ」
「……やっぱり、何かあるんですね」寮がポツリと呟く。
峰川が「気になりますね」と興味を示した。
沢田部長は、田村さんにお礼を言い、彼の話を胸に刻みながら、
翌日のボランティア活動と探索に備えて準備を整えた。
***北の山の整備活動***
翌日、オカルト研究会のメンバーたちは北の山に向かい、山の麓で草刈りと伐採活動を開始した。
村の復興が進む中で、北の山は、手付かずのままで依然として人が寄り付かない場所だった。 今回の活動によって、長らく閉ざされていた登山道の整備活動の一歩になる事が目的だった。
山のふもとに到着すると、メンバーたちはまず休憩場所としてテントを設営した。
「とりあえず、ここを拠点にしよう」沢田部長が指示を出す。
麓には長年放置されていた草木が生い茂り、道らしきものはほとんど見えなくなっていた。
「思った以上に荒れているな……」祐一が草刈り機を手に取りながら呟く。
「これを整備して登山道を開くのは、結構時間がかかりそうね」
岡田めぐみが鎌を手にしながら辺りを見渡した。
「だけど、これをやれば北の山の調査がしやすくなる。がんばろう」
寮が意気込みを見せると、メンバーたちも気合を入れて作業を始めた。
***作業の進行と違和感***
作業は午後4時まで と決め、2時間ごとに休憩を取るペースで進められた。
草を刈り、倒木を片付け、道を広げていく。
しかし、作業中にふと気づくと、妙な違和感があった。
「……なにか、この辺りだけ空気が重く感じる」松井あゆみが作業を止め、額の汗を拭いながら言った。
「確かに……少し冷たい風が吹いてる感じがするね」星川が周囲を見渡した。
特に、山の奥の方から吹いてくる風は、どこか湿っぽく、妙な寒気を含んでいた。
「気の流れが少し乱れているかもしれませんね」星川が静かに言った。
「こういう場所こそ、しっかりと調査する価値がある」河餅が答える。
「でも、今日はひとまず整備に集中しよう」沢田部長の一声で、
メンバーたちは再び作業に戻った。
***登山道への調査***
五日間にわたる作業の末、ついに登山道のルートが開かれた。
これまで藪に覆われていた道は、人が歩ける程度に整備され、山の奥へと続く道がはっきりと見えるようになった。
「やった……これで、ようやく中に入れるね」岡田が汗を拭いながら言った。
「でも、本当に登るの?」河餅が少し不安げな顔をする。
「もちろんさ。ここまで整備したんだから、行かない理由はないだろ?」一谷が楽しそうに笑う。
「山の頂上にある祠……やっぱり気になるしね」寮が静かに言った。
こうして、オカルト研究会のメンバーたちは、ついに北の山の奥へと足を踏み入れることになった。
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