寮の助手活動 祐一、神社の取材に同行する
寮が引っ越して来たつばき壮は、新たに活気のある場に変化して行った。祐一が玄関でソヴ氏をしていると、寮から、ある神社の取材に同行してみないか誘いを受け、祐一も一緒に取材に同行する事になった。
寮一家がつばき壮に引っ越してから、アパートには以前とは異なる新たな活気が生まれていた。
寮の妻であるひかりは、裏庭のカフェで働き始め、その美しい容姿と透き通った声が話題となり、カフェの評判は急上昇した。声優ヒロインのような彼女の可愛らしい声に魅了される人々が多く、週末には予約が必要なほどの賑わいを見せるようになった。
「ひかりさんに会うためにここに来る」と言う常連客も増え、つばき壮のカフェは地域の新たな観光スポットへと進化していった。
さらに、占い師としてのキャリアを持つ由香もつばき壮で活動を開始し、定期的に多目的ホールで占いイベントを開催するようになった。その結果、占いを受けたいという目的でつばき壮を訪れる人が増え、住人たちと外部の人々との交流も活発化した。
つばき壮は、居心地の良さだけでなく、その特別な雰囲気と新たな魅力によって、地域の癒しスポットとしての存在感をさらに強めていった。
***寮からの誘い***
ある朝、祐一はつばき壮の玄関先で掃除をしていると、寮が軽快な足取りで近づいてきた。
「祐一君、今日は山奥にある神社を取材しに行く予定なんだ。一緒にどうだい?」
祐一はほうきを置き、顔を上げた。「神社ですか?どんなところなんです?」
寮は微笑みながら説明を始めた。「小さな神社なんだけど、パワースポットとして一部では結構有名なんだ。特に、境内にあるエネルギースポットが話題でね。そこに立つと元気になったり、病気が治るっていう口コミが広がっているらしい。」
その話に祐一の興味は一気に引き寄せられた。「それは面白そうですね!ぜひ一緒に行かせてください!」
祐一はパワースポットの未知なる体験への期待で胸が膨らんだ。
***ワースポットへ向かう道のり***
祐一と寮は車で神社の近くまで向かい、そこからは徒歩で山道を登っていくことになった。
道中は緩やかな坂道が続いていたが、途中から急な勾配になり、祐一は額に汗を浮かべながら息を切らしていた。
「こんなにきつい道だとは思いませんでした……」祐一が疲れた様子でつぶやくと、寮はタオルで汗を拭きながら笑った。
「いい運動になるだろう?まあ、これも仕事の一環だ。取材も楽じゃないってことさ」
二人が石の階段を登りきると、目の前に静寂に包まれた神社が現れた。
古びた木造の社殿、その周囲を囲む大きな杉の木々、澄んだ空気――すべてが非日常的な雰囲気を醸し出していた。二人を迎えるかのように、風がさわやかに吹き抜け、木々のざわめきが心地よく耳に届く。
「ここが例の神社か……」寮は目を細めながら周囲を見渡した。「思った以上にいい場所だな。すごく気が整っている」
***エネルギースポットとの出会い***
まず二人は神社の正面にあるお賽銭箱にお金を入れ、それぞれ手を合わせた。
「今日も一日ありがとうございます」と寮が感謝の言葉を口にし、祐一もそれに続いた。
その後、寮は境内を歩きながら、「噂のエネルギースポットを探しに行こう」と提案した。
寮が境内の奥へ進み足を止めた「強い気を感じるのはこの辺りだな」
祐一もその場所に立ってみたが、「すみません……正直、よく分からないです」と首をかしげた。
寮は優しく笑い、「まあ、最初はそんなものだよ。気を感じるにはコツがいるんだ。ちょっと練習してみるか?」と提案した。
***気を感じる練習***
寮はまず、両手を擦り合わせて温める動作をしてみせた。
「手をこすって温めたら、手と手を少しだけ離してみて。その間にエネルギーボールを想像してみるんだ。その掌にある気のボールを感じ取るんだ」
祐一はその指示通りにやってみたが、特に何も感じられなかった。
「……やっぱり分かりませんね」と苦笑いを浮かべる祐一に、寮は次の方法を提案した。
「それなら、キネシオロジーテストを試そう。腕を肩の高さにまっすぐ上げてみて。僕が下に押すから力を入れて抵抗してみるんだ。まずは、エネルギースポットとそうでない場所で比べてみよう」
祐一は腕を上げ、寮がその腕を押し下げてみた。
「……あれ?なんだかさっきよりもエネルギースポットの方が力が入りやすい気がします!」祐一が驚いた様子で声を上げると、寮は満足げに頷いた。
「それが、この場が持つエネルギーの力だよ。良い気の流れが体に影響を与えている証拠さ」
さらに奥に進むと、祐一はふと境内の一角で立ち止まった。
「……ここ、なんだか空気が違う気がします」
その言葉に寮は微笑み、「おっ、気づいたか。そこに立って、目を閉じて深呼吸してみな」と促した。
祐一が指示通りにしてみると、体が軽くなるような感覚と、どこか温かいエネルギーが全身を包む感覚がした。
「これが……気なんですか?」
寮は頷きながら、「そうだ。そこがパワースポットの中心だ。気は目に見えないけど、こうして少しずつ体で感じ取れるようになるんだよ」と教えた。
祐一は初めて感じた不思議な感覚に驚きながらも、
その場所が持つ特別な力に魅了されていくのを感じていた。
***帰り道の会話***
帰り道、祐一は寮に尋ねた。「僕も霊術を学べば、もっといろんなことができるようになるでしょうか?」寮はしばらく考え込み、ゆっくりと答えた。「霊術を学ぶのは悪いことじゃない。ただし、その力を持つことで普通の暮らしができなくなることもある。それが本当に幸せかどうかは、自分で判断するしかないんだ」
祐一はその言葉を噛み締めるようにしながら、「分かりました。でも、少しずつ学んでみたいです。それで何かできるようになれば、それで十分です。」と決意を示した。
寮は満足げに微笑み、「そのくらいの気持ちでいるのが一番だ。焦らずゆっくり学んでいこう」と肩を叩いた。
帰り道の会話
帰り道、祐一は寮に尋ねた。「僕にも霊術を学べば、もっといろんなことができるようになりますかね?」
***次のステップへの期待***
祐一は、取材を通じて初めて「気」を感じる経験をし、霊的な世界に足を踏み入れるきっかけを得た。彼がどのように成長していくのかはまだ未知数だが、寮という頼れる師とともに、その一歩を踏み出したばかりだった。
静かな神社の境内に立ったあの瞬間を思い返しながら、祐一は自分の中に芽生えた新しい感覚に、どこか心が躍るのを感じていた――。
***大学のオカルト研究会での気の話***
翌日、大学のオカルト研究会の集まりに顔を出した祐一は、昨日の神社での出来事がまだ頭に残っていた。寮から教わった「気」の感覚を何度も思い返し、その不思議な体験を研究会のメンバーに話してみようと決めていた。
「昨日、寮さんと神社に行ったんだけど、『気』ってやつを初めて少し感じられた気がするんだ」
祐一が話を切り出すと、メンバーたちは興味津々で耳を傾けた。
「へえ、気ね」峯川が椅子に座り直しながら、少し考え込むように言った。「気は風水でもよく使う概念だよ。陰の気と陽の気があって、それが環境や場所、人間にどう影響を与えるかを考えるんだ」
「陰の気と陽の気……?」祐一は初めて聞く用語に首を傾げた。
峯川は頷きながら、説明を続けた。「例えば、お墓とか廃墟みたいな場所は、陰の気が強い場所とされている。だから、風水では『陰宅風水』って言って墓地や先祖の眠る場所を鑑定する手法があるんだ。一方で、住まいとか職場みたいに人が日常的に過ごす場所は『陽宅風水』って言って、陽の気が大事になる」
「なるほど、陰と陽ってそんな風に分けて考えるんだね」祐一は感心しながら聞き入った。「そう考えると、つばき壮は陽の気が強い場所なのかな。だから、居心地が良く感じるのかも知れないね」
峯川は微笑みながら頷いた。「その可能性は高いね。つばき壮は祐一君が色々行った風水で良い感じに整えられていると思う。周囲の自然環境も整っている。そこに住む人たちが協力し合ってポジティブなエネルギーを作り出しているから、陽の気がますます強くなっているんじゃないかな」
一谷の科学的視点
「でもさ、気とか風水って科学的に証明できるのかな?」
科学派の星川が腕を組みながら口を開いた。「例えば、気のエネルギーを測るとか、風水の効果を実験で確かめるとか、そういうことができれば、もっと説得力が出ると思うんだけど」
河餅が少し考えてから答えた。「確かに、科学的な証明は難しいところがあるよ。でも、気の概念は東洋医学や環境心理学ともつながっている。例えば、気が整った場所では心身がリラックスできるとか、体調が良くなるっていう現象が実際にあるんだ」
「それって、プラセボ効果の一種じゃないのか?」一谷は少し眉を上げながら言ったが、どこか興味を持っている様子だった。
「プラセボ効果の可能性もあるかもしれないけど、それだけじゃ説明できない現象もあるんだよ。」河餅が続ける。「例えば、風水が良い場所では植物がよく育つとか、そこに住む人たちが自然と協力的になるっていう研究もある。つまり、気の影響は人間だけじゃなく、環境全体に及ぶ可能性があるってことかな」
***祐一の新たな疑問***
祐一は話を聞きながら、ふと疑問を口にした。「じゃあ、陰の気と陽の気って、人間にも影響を与えるってことだよね?例えば、陰の気が強い場所に長くいるとどうなるの?」
河餅は少し神妙な顔をしながら答えた。「そうだね、陰の気が強い場所にいると、人間のエネルギーが消耗しやすくなることがある。気分が沈んだり、体調を崩しやすくなったり。逆に、陽の気が強い場所では気力が湧いたり、ポジティブな感情が出やすくなるって言われているよ」
「なるほど……そう考えると、昨日の神社は陽の気が強い場所だったんだな。あの時、確かに体が軽くなるような感覚があったし」祐一は昨日の体験を思い返しながら、静かに呟いた。
***今後の調査計画***
「気の話は面白いけど、もっといろいろ試してみたいよね。」祐一が笑顔で言うと、星川も頷きながら提案した。「それじゃあ、次は風水の視点で街の気を調べてみるのはどう?住宅街とか商業地とか、それぞれの場所で気がどう違うのかを探るんだ」
一谷も「いいね、それなら科学的な視点でデータを取ることもできそうだ」と賛成する。
祐一はワクワクした気持ちで「じゃあ、次の研究テーマは『気のフィールドワーク』ってところかな!」とまとめた。
こうして、オカルト研究会は新たなテーマを掲げ、活動を続けていくことになった。祐一にとっては、昨日の神社での体験をさらに深め、霊的な世界への理解を広げる第一歩となるだろう。
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