つばき壮の取材
青空不動産の調査から帰って来た祐一は久しぶりのつばき壮の雰囲気を改めて実感していた。
つばき壮の特集取材の話
久しぶりに戻ったつばき壮の部屋で、祐一は大きく息を吸い込んだ。外からの新鮮な空気とともに、どこか懐かしいこの部屋の香りが胸いっぱいに広がる。思わず「やっぱりここはいいな……」と声が漏れた。古いながらも手入れが行き届き、温かみのある部屋は、祐一にとって緊張の続いた調査から解放される心の拠り所だった。
窓を開けると、庭で洗濯物を干している隣の部屋の住人のおばあちゃんが目に入る。祐一が「ただいま」と声をかけると、おばあちゃんは柔らかい笑顔を浮かべて振り返った。
「お帰り、祐一君。調査、大変だったんじゃない?無事終わった?」
「ええ、なんとか無事に。いろいろとありましたけど。」祐一が軽く頭を下げると、おばあちゃんは手を振りながら家の中へ戻りつつ、「後でちょっと来なさい。お土産があるから」と、まるで家族に話しかけるように言った。
つばき壮の住人たちは皆、家族のような存在だ。手作りの料理やお菓子を分け合い、困ったときには助け合う。祐一も、そんな温かい交流がすっかり生活の一部になっていた。
さくらとの再会
部屋に戻り、窓を開け放してしばらくのんびりしていると、インターフォンが鳴った。玄関を開けると、同じアパートに住む大学の同級生、さくらが立っていた。
「祐一君、おかえりなさい!調査どうだった?」
明るく話しかけるさくらに、祐一は少し苦笑しながら「まあ、それなりにね」とだけ答えた。あの調査の内容をすべて話すには少し重い。けれど、その言葉だけでさくらは納得したように頷いた。
「ねえ、最近、私も環境が大事なんだなって思うことが増えたの。このつばき壮に住むようになってから、なんだか毎日が穏やかで過ごしやすいんだもの。」
さくらが笑顔で話すのを見て、祐一も微笑む。「たしかに、つばき壮は他とは違うよね。雰囲気がいいし、みんな親切で。」
話が弾みそうな気配を感じた祐一は「部屋でゆっくり話そうか」とさくらを誘った。
部屋に入り、さくらは祐一の風水に関する知識について尋ねてきた。「実は友達が風水に興味を持ち始めててね。祐一君に一度、調べてもらえないかって言ってたの。」
「うーん……掃除や片付けだけでも雰囲気は変わるけど、家によってはそれだけじゃ解決しないこともあるね。」祐一は調査で訪れた家のことを思い出しながら語る。「あの家では住む人が次々に不幸に見舞われて、心霊現象も起きてたからね。」
それを聞いたさくらは「そういうこともあるんだ……」と驚きながらも、少し真剣な表情になった。「でも、祐一君ならその友達の家、いい方向に変えてくれそう。頼りにしてるよ。」
祐一は「今度、オカルト研究仲間の星川君と一緒に行ってみるよ。彼も風水には詳しいからね。」と応じると、さくらは嬉しそうに「ありがとう!お礼に今度ご飯をご馳走するからね」と笑顔を見せた。
寮からの電話
夕方、祐一が部屋で一息ついているとスマホが振動した。画面には寮の名前が表示されている。
「祐一君、調査お疲れさま。今、ちょっといいかな?」
「ええ、どうしました?」祐一が尋ねると、寮は少し弾んだ声で言った。「つばき壮の特集取材の話が来てるんだ。」
「取材ですか?」祐一は目を見開きながら聞き返す。
「そう、雑誌の特集だよ。つばき壮って、風水的にもすごくエネルギーがいい場所なんだ。それに、住んでる人たちがみんな仲良しで、家族みたいに支え合ってる。この時代にそんな場所って珍しいから、ぜひ紹介したいって話が来てるんだよ。」
寮の話を聞きながら、祐一はつばき壮の日々を思い出した。たしかに、ここにはどこか特別な空気がある。風水的な良さだけでなく、人の繋がりや思いやりが、この場所を特別にしている。
「面白そうですね。でも、住人のみんなにも相談しないと。」
祐一が慎重に答えると、寮は笑い声を上げた。「もちろんだ。みんなの意見も聞いて、OKなら話を進めよう。ありがとうな、祐一。」
住人たちへの相談
翌日、祐一は住人たちに取材の話をするため、リビングに集まってもらった。管理人の久我さんをはじめ、おばあちゃんや若い夫婦などが顔を揃え、穏やかな空気が流れる中で祐一が話を切り出す。
「実は、つばき壮を特集したいという雑誌の取材の話が来てるんです。このアパートが癒しスポットとして注目されていて、その理由を紹介したいみたいなんです。」
住人たちは驚きつつも興味深そうに耳を傾けた。
「つばき壮が特集されるなんて、嬉しいわね。」おばあちゃんが微笑むと、久我さんも「カフェも紹介してもらえるといいですね」と乗り気だった。
若い夫婦も「せっかくだから、いろんな人にこのアパートの良さを知ってもらいたいよね!」と賛成。住人たちの一致した意見を聞き、祐一はほっと安堵した。
取材当日
数日後、雑誌の取材が行われた。リビングや裏庭のカフェ、お地蔵様が紹介され、住人たちの和やかな日常が撮影された。取材陣も「こんなに温かい場所は初めてです」と感心し、記事が完成するのが楽しみだと話していた。
祐一は、取材を終えたリビングで住人たちと笑顔を交わしながら、つばき壮が特別な場所であることを改めて実感していた。
そして、この癒しの力がさらに多くの人に伝わる日が近いと感じていた――。
***寮一家と由香の訪問と取材***
取材当日、寮は、妻のひかりと娘のあかりを連れて、つばき壮に訪ねてきた。さらに、寮の中学時代からの友人で、今では人気占い師の由香も同行している。
つばき壮の前に車が停まり、寮が降り立つと祐一が迎えに出た。
「久しぶりだな、祐一君!」寮が明るい声で声をかけると、祐一も笑顔で答えた。「寮さん、わざわざありがとうございます。それに奥さんとお子さんも……」
ひかりが穏やかな微笑みを浮かべながら、手を振った。「お邪魔します。前から寮くんが『つばき壮はすごくいい場所だ』って言っていたから、一度来てみたかったんです。」娘のあかりが元気いっぱいに庭を駆け回る。
その後ろから由香が軽く頭を下げて挨拶する。「初めまして。寮くんからいろいろ聞いてるわ。私は由香。占い師やってるの」
祐一は由香の柔らかい雰囲気に少し驚きつつも、「初めまして。占い師の方ですか?なんだか頼もしいですね」と返した。
***つばき壮を案内***
祐一は寮たちにアパートの建物や裏庭、カフェ、最近、建立されたお地蔵様を案内していた。ひかりが周りを見回しながら感心したように言う。
「すごく落ち着く場所ですね……ここに住んでる人たちも、なんだか雰囲気が穏やかそう」
由香も庭を歩きながら、目を閉じて何かを感じ取るような仕草をした。「この場所、エネルギーがすごく整ってる。まるで大きな癒しの場みたい」
祐一はうなずきながら答えた。「実際、風水的にもかなり整っている場所です。僕と住人の皆さんで庭を作ったり、埋炭法を行ったりと整えています。つばき壮の1階の物置部屋も今は多目的ルームとして使っています」
あかりが「ママ、ここに引っ越したい!」とはしゃぎながら走り回ると、寮が笑いながらあかりを追いかけた。「おいおい、まだ仕事中だぞ」
ひかりも笑いながら、祐一に向き直る。「でも、寮くんが言ってた通り、とても良い場所ですね。自然も多いし、子育てにも良さそう」
***由香の提案***
夕方、つばき壮の多目的ルームで寮一家と祐一、そして住人たちが集まって雑誌の取材について話し合っていると、由香が何かを思い出したように切り出した。
「祐一君、せっかくだから、このつばき壮がどれだけ特別な場所なのか占いで見てみない?」
「占い……?」祐一が戸惑っていると、由香はにっこり笑いながら手元のタロットカードを取り出した。「まあ、趣味みたいなものよ。けど、場所のエネルギーって意外とこういうところにも現れるから」
由香がタロットカードを広げ、一枚一枚を慎重にめくる。すると、彼女は最後のカードを見て目を細めた。
「……なるほど。つばき壮は、ただ癒しを与える場所だけじゃないわ。この場所を中心に、新しい流れや繋がりがどんどん広がっていく。いわば、発展の起点になる場所ね」
「発展の起点?」寮が興味深そうに聞き返す。
「そう。この場所を訪れる人たちが、新しい出会いや気づきを得て、それを外に持ち帰る……だから、この場所自体が広い意味で人々を癒し、変化させる力を持ってるの」
その言葉に祐一は少し考え込んだ。「たしかに、つばき壮に住み始めてから、僕自身もいろいろと変わった気がします。あの裏庭のカフェもそうですし、お地蔵様が建ったのも近くのお寺の住職さんのアイデアです。ここにはみんなが自然と集まってくる力があるのかも……」
由香は微笑みながら「そういう場所を守り続けるのは、すごく大切なことよ」と言った。
***寮の引っ越しを検討***
取材が進む中、つばき壮の魅力を改めて感じた寮は、帰り際に祐一にこう言った。
「実はな、僕たちも今住んでる場所より、もう少し自然が多いところに引っ越そうかって考えてるんだ。このつばき壮みたいな場所なら、家族も安心して暮らせそうだしな」
祐一は驚きながらも、「寮さんたちがここに住んだら、もっと賑やかになりますね」と笑った。
ひかりも頷き、「まだ決めてはいないけれど、この場所はとても気に入ったわ。特に子どもたちがすごく喜んでいるのを見て、真剣に考えてみたくなったの。」と話す。
***つばき壮での占いイベント***
寮と家族、由香がつばき壮を訪れて数日後、由香が「つばき壮の多目的ホールを使って占いをしてみたい」と提案した。祐一をはじめ住人たちも快く賛成し、つばき壮で初の占いイベントが開催されることになった。
当日、つばき壮の多目的ホールには住人たちが集まり、和やかな雰囲気が広がっていた。住人の中には興味津々の人もいれば、少し緊張している様子の人もいた。
由香は明るい笑顔で住人たちを迎え、簡単な挨拶をした。「今日は皆さんの悩みや相談ごとに少しでも役立てればと思っています。リラックスしてお話しくださいね。」
***住人たちの相談と占い***
最初に相談に来たのは、大学生のさくらだった。
「就職活動が近いんですけど、進路について悩んでいて……」
由香はタロットカードを広げ、丁寧にカードをめくっていく。
「さくらさんは人と接する仕事が向いていますね。それも、自分の個性や感性を活かせる職場が良さそうです。例えば、クリエイティブな業界やイベント関係など。あなたの才能が輝く場所を探してみてください。」
さくらは驚いた表情で、「実は、イベントプランナーになりたいなって最近思っていたんです!」と答えた。その言葉に、由香は優しく頷いた。「その道は、きっとあなたにとって正しい選択だと思いますよ。」
次にやってきたのは、裏庭のカフェを経営する若夫婦だった。
「カフェをもっと多くの人に知ってもらいたいんですが、何かアドバイスはありますか?」
由香は水晶を手に取り、静かに集中した後に言った。
「今のメニューも素晴らしいですが、季節ごとの限定メニューを追加してみるといいかもしれません。そして、地域のイベントやワークショップと連携すると、もっと人が集まるでしょう。」
夫婦は目を輝かせ、「季節限定メニュー……やってみます!ありがとうございます!」と笑顔で感謝の言葉を述べた。
その後も、恋愛、家族の問題、子育て、健康、趣味の選び方など、さまざまな相談が寄せられた。由香はその一つ一つに丁寧に耳を傾け、的確なアドバイスを与えた。住人たちは占いの結果に満足し、その内容を参考にして前向きに行動する姿が見られた。
イベントが終わる頃には、つばき壮の住人たちは口々に由香に感謝の言葉を伝えていた。
「由香さんのおかげで、悩んでいたことがスッキリしました!」
「占いってちょっと怪しいと思ってたけど、本当に心が軽くなりました!」
「また来て欲しいです!定期的にやってください!」
住人たちの反応を見て、由香も嬉しそうに微笑んだ。「皆さんに喜んでもらえて良かったです。また機会があればぜひお邪魔しますね。」
***寮の特集記事がつばき壮を全国区へ***
数週間後、寮が執筆したつばき壮特集が雑誌に掲載された。その記事には、「現代に蘇る癒しの場」としてつばき壮の特徴が詳しく描かれていた。記事の内容には、以下のような点が取り上げられていた。
つばき壮独特な風水的なイヤシロチや自然に囲まれた環境
住人たちの和やかで温かな交流
裏庭にあるカフェやお地蔵様、イベントが開かれる多目的ホール
つばき壮からの散歩コースに最適な近隣の神社やお寺など「癒しルート」としても最適な事。
記事には、自然に包まれたつばき壮の風景写真がページを飾っていた。雑誌が発売されるやいなや、つばき壮への問い合わせが次々と寄せられた。
***イヤシスポットとして注目を集めるつばき壮***
「つばき壮の記事を見て訪れました!」
ある日、つばき壮の住人である祐一が庭を掃除していると、観光客らしき女性が声をかけてきた。女性は雑誌を片手に持ちながら、つばき壮の記事を見て興味を持ったと語った。
「実際に来てみると、本当に癒されますね。この雰囲気、都会にはないです」
その言葉に祐一は嬉しそうに微笑み、「ありがとうございます。つばき壮はみんなで作り上げている場所なので、ぜひゆっくり楽しんでいってください」と応じた。
それ以降もつばき壮を訪れる人々が増え、特に裏庭にあるカフェは、さらに口コミで広がり、多くの人が訪れる人気スポットとなった。カフェでは、季節ごとの限定メニューが話題を呼び、近隣住民や観光客の憩いの場としてさらに賑わいを見せている。
***「癒しルート」の盛り上がり***
つばき壮だけでなく、祐一が普段から散歩コースにしている近隣の神社やお寺も注目を集めることになった。記事には、「祐一が日々歩いている散歩ルート」として、静寂と自然に包まれた美しい道が紹介されていた。
地元の神社では、散歩がてら参拝に訪れる人が増え、お寺では座禅体験のイベントや写経会に参加する人が増えた。訪れた人たちはこぞってその清々しい空気を堪能し、写真を撮りながら「癒しルート」を満喫していた。
地元住民の一人は、「こんなに人が来るなんて思いもしなかったけど、町全体が活気づいて嬉しいです」と語り、笑顔を見せていた。
***寮と由香、つばき壮に引っ越しを決意***
雑誌の特集が注目を集める中、寮と由香の中でもつばき壮への引っ越しの話が具体化していった。
ある日、祐一の部屋で談笑している最中、寮が話を切り出した。「最近、娘たちが『またつばき壮に行きたい』って毎日のように言うんだよ。それに、ひかりもこの環境を気に入ってるみたいでね」
「由香さんもこの間の占いイベントで、すっかり住人たちに馴染んでいましたよね。引っ越してくれば、もっと地域の人たちと関わる機会が増えますよ」祐一が笑顔でそう言うと、寮は深く頷いた。
「そうだな……。由香も言ってたけど、ここには特別な空気が流れてる。この環境の中で新しい生活を始めるのも悪くないかもな」
こうして、寮一家と由香のつばき壮への引っ越しが正式に決定した。
***新たな住人を迎えるつばき壮***
数週間後、寮と由香一家はつばき壮に引っ越してきた。住人たちは温かく彼らを迎え、新しい生活のスタートを祝った。
由香は定期的に多目的ホールで占いイベントを開き、その人気はさらに広がっていった。寮はカフェのオーナーと共同で新しいイベントを企画し、地域全体が盛り上がる場を提供。娘のあかりは庭で走り回り、住人たちに笑顔を届けていた。
つばき壮は地域のイヤシスポットとしての地位を確立し、周辺の神社やお寺と連携してさらに魅力を発信していった。そして、この地にはこれからも多くの人々が訪れ、癒しと笑顔を見つける場所となっていくのだった。
***つばき壮に流れる穏やかな時間***
祐一は、夕暮れ時の庭を歩きながら、つばき壮の静かな雰囲気に包まれていた。住人たちの笑い声やカフェから聞こえる音楽、そして風に揺れる木々の音。すべてが心地よく調和し、新しい物語がここからまた生まれていくのだろうと、祐一は感じていた。
「ここがつばき壮で良かった」と、祐一は心の中で呟き、穏やかな笑顔を浮かべた。
ご購読、ありがとうございました。少し、オカルトよりな展開も考えているので、寮と由香がつばき壮に引っ越して来る展開にしました。




