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オカルト研究部 田中祐一 今日も怪異あり  作者: waku


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岩の調査

 岩の秘密について、祐一は神主に尋ねていた。

「供養塔……ですか?」

祐一は、神主の言葉を反芻するように尋ねた。


「ええ」神主は静かに頷いた。

「かつてこの地では、さまざまな災害が起きていたのです。川の氾濫、飢饉、がけ崩れ……山と共に生きる土地では、避けられぬことも多かった」


祐一は、昨日見た岩の冷たさを思い出していた。


「それらの災いを鎮めるために、人々は祈りを捧げました」

神主は言葉を選ぶように続ける。

「時代によっては、人柱が立てられたこともあったと伝えられています。今では考えられないことですが……」


「……」祐一は、思わず拳を握りしめた。


「そうした悲しい出来事を忘れぬよう、そして魂を鎮めるために」

「供養の言葉が、あの岩に刻まれたのです」


「でも……あれほど重い気配が発するのも」

祐一の呟きに、神主は小さく息を吐いた。


「長い年月が経ち、邪気が蓄積し供養の意味も風化してしまったのでしょう」


祐一は、ふと疑問に思ったことを口にした。

「どうして、あの場所は畑になったのですか?」


神主は、少し思い出すような懐かしむような表情を浮かべる。

「以前、あの地の神主を務めていた者がいました」

「その人物が、あの土地を買い取り、自ら畑を耕し始めたのです」


「供養のために……ですか?」


「ええ」神主ははっきりと答えた。

「畑を耕し、作物を育て、日々手を合わせる。それ自体が供養になると考えたのでしょう」


祐一は、由美の母が話してくれ“みよさんの姿を思い浮かべた。

畑を守り、黙々と土に触れながら、祈りを捧げていた老女の背中。


「……供養が途切れてしまった」祐一は静かに言った。


「そうです」神主は深く頷く。

「だから、あの場所に変化が生じているのかもしれません」


 境内に、ひときわ強い風が吹き抜けた。

木々がざわめき、どこか遠くで、土が鳴るような音がした。


「祐一さん」

神主は真剣な眼差しで言う。「もし供養をやり直すなら、覚悟が必要です」


「分かっています」祐一は、迷いなく答えた「……あの土地の問題を調べてみます」



 「お気を付けて」神主は、静かに頷いた。

祐一は、深く一礼し神社を去った。


***岩の調査***


由美の家に戻ると、祐一はリビングで、山王神社の神主から聞いた話を二人に伝えた。


岩が供養塔だったこと。

かつてこの地で起きた災害のこと。

そして、畑を耕しながら供養を続けていた人の事を。


話を聞き終えたあと、しばらく沈黙が落ちた。


「……そんなことが、あの場所であったのね」由美が、静かに呟いた。


「ただの荒れ地だと思ってたけど……」


 さくらも、胸の前で手を組む。

「ずっと、人の祈りが重なってきた場所だったんだ」


祐一は頷いた「だからきちんと調べてみないと、あの空き地をちゃんと整える必要がある」


「あの空き地を整え直す必要があるのね」さくらが頷いた。


「きちんと雑草を刈って倒れた木を片付けて供養塔の岩の回りの整備が必要だ「それから……」

祐一は少し間を置いて続けた。


「正式に、供養の儀式を行おう」


由美は、少し不安そうな表情で尋ねる。

「……私たちだけで、できるのでしょうか?」


「一人じゃ無理だ」祐一は苦笑しながら言った。

「だから、オカルト研究会のみんなに相談しよう」


「研究会の人たちに?」さくらの顔が少し明るくなった。


「うん。人数も必要だし、準備も大掛かりになるけどみんなでやれば、あの場所も良くなると思うんだ」


 由美は、しばらく考え込んでから、小さく頷いた。

「……お願いします。あの道、これからも通らなきゃいけないから、できるなら、ちゃんと安心して通れる場所にしたいです」


「大丈夫、中途金歯にはしないから」祐一は、はっきりと答えた。


「それから……春香さんにも相談してみよう」


「確かに、供養のことなら心強いね」さくらがすぐに気づいたように話す。



祐一は静かに頷いた「春香さんに供養をお願いすると安心だからね」


 窓の外では、風が木々を揺らしていた。

昨日までとは違い、その音はどこか穏やかに聞こえた。


「……これで、あの場所も良くなりそうです」由美が、安心したように微笑んだ。



祐一は、その言葉に小さく頷いた。



***空き地の整備活動***


 数日後。

祐一の呼びかけに応じ、オカルト研究会のメンバーたちが空き地に集まった。


 空き地はメンバーたちで賑わっていた。

荒れ放題だった場所は、少しずつだが確実に、整えられていった。


「よし、新入生はこっちだ!」峯川が声を張り上げる。

彼の指示で、新入生たちは鎌と草刈り機を手に、背丈ほどに伸びた雑草を刈って整えて行く。


「思った以上に広いな……」

「でも、やりがいありますね」汗を流しながらも、新入生たちの表情は前向きだった。


一方、空き地の奥、例の岩の周囲では、祐一と小川、星川が慎重に調査を進めていた。


「……供養塔としての意味は、確かにあるみたいだ」岩に手をかざしながら、小川が話す。



「うん」星川は地面の起伏や方角を確認しながら頷いた。

「風水的に見て、この場所は、供養の要として選ばれた場所だ」


「選ばれた?」祐一が尋ねる?


「禍を集めて、ここで止めるための場所として良いポイントだね」星川は岩と背後の山を交互に見る。

「封印の地として、かなり理にかなっている」


小川は腕を組み答える「だが岩の浄化と再強化が必要だ……」


星川が続ける「それと、この山と河川も調べた方がいい。岩の封印は、地形全体で成り立ってる可能性が高そうだ」


 その近くでは、二年生の佐藤が、岩の刻まれた文字や表面の風化を調べていた。

「この岩、禍を止める為の役割を持っている様です。でも。。。」


「なんだい?」と祐一が尋ねる。

「岩の封印のエネルギー、力が弱っているみたいです」佐藤は、はっきりと答える。

「長い間、供養が途切れて岩の供養のエネルギーが弱っています」


「だから、周囲に重たい気が感じられる様になっているんだ……」

祐一は、夕方になると重くなる気配を思い出す。


 さらに周囲では織田隆がドローンを操作していた。

ブーン、という低い音とともに、ドローンは上空へと舞い上がる。


「河川の流れ、確認します」織田はタブレットを見ながら言う。

「……思ったより長く蛇行して続いています」


「水も気、エネルギーを運と言われているから、何か影響がありそうだね」星川が答えた。


その時、少し離れた場所で松井あゆみが目を閉じ、静かに地面に手を触れていた。


「……二つ、流れがあるわ」あゆみが、低い声で言う。

メンバーの視線が集まる「山から来ている気配と……河川から来ている気配が岩に流れている感じ」


「両方か……」星川が小さく息を吐く。「やっぱりこの岩が重要な様だ」


祐一は、空き地全体を見渡す「……まずは、岩の封印の強化を優先しよう」


 祐一達オカルト研究会は、数日間で岩のある空き地の整備を終えた。


***岩の封印の再強化***


 祐一は寮に相談した。

事情を説明すると、寮は「へえ……こんな場所が、まだ残っているんだね。かなり興味深い場所だ」


 真剣な話の中、どこか楽しそうな響きがあった。

「ただ、僕は別の取材が入っててね」寮は少し申し訳なさそうに肩をすくめる「現地には行けそうにない」


「そうですか……」祐一が頷き

「春香さんに連絡して2日後に行う予定です」


「春香なら安心だ」寮は祐一の肩を軽く2回叩ながら答えた。


「はい」と祐一が頷いた。



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