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オカルト研究部 田中祐一 今日も怪異あり  作者: waku


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廃村の事件から1カ月後の祐一

廃村の事件から1カ月が経ち、メンバーも平穏な毎日を送っていた。

***平穏な日常***



祐一がオカルト研究会の部長になってから、数カ月が過ぎようとしていた。


あの廃村の出来事から1カ月が過ぎ、平穏な日々を送っていた。

オカルト研究会の活動は、相変わらず地味なものに終始していた。


 青空大学周辺の掃除活動、住宅地を回りながらのゴミ拾い、浄化スプレーを撒いての浄化活動、公園の清掃、祠やお地蔵様の清掃とお祈り。小さな積み重ねだった。


 また廃屋や庭の片付け活動を行い、その場のお清めも続けた。その間、霊現象に遭遇することもなく過ぎていった。祐一の勧めで続けていた新入生の写経活動や浄化スプレーのお清め、写経した半紙の埋設活動、浄化グッズの埋設活動など、地味な活動を続けた。


 また図書館では、スピリチュアルやオカルトに関する読書会、

魔法に対する練習会を行ったりしていた。


 そうした中、一年生たちも少しずつ知識と経験を積み重ねていった。


「田中部長、俺たち一年生もあれから、少しは実力が付きましたか?」新入生の一人岡村が尋ねる。


「そうだな。ちょっとした心霊現象の起こる場のお清め程度はできると思う。だけど、本当に危険な場所、心霊スポットに行くには、まだ力不足だ」


小川が魔法の指導を受けている一年生に言う。

「今の力だったら、せいぜい悪霊を怯ませる程度だ」


広末がフォローする。「それでも、十分すごい事だからね」


松井あゆみが、気を感じるトレーニングを指導する。


「このパワーストーンのエネルギーを感じてみて」


1年生の中村が答える「なんとなく、温かく感じられます」

高橋は「こっちは、何もパワーを感じ取れません」と、答えた。



祐一の毎日の写経とお経を唱えるトレーニングで、新入生たちの集中力が高まり、お経を暗唱できるようになっていた。「地味だけど続ける事で、霊力も少しずつ高まって行く。他にも色々な効能があるんだ。例えば、悪い運気を遠ざけたり、不運や霊的な影響から守られるとかね」


林「部長、写経は、どれくらい続けると良いのでしょうか?」


祐一が淡々と答える「基本的に、最初は百枚。次に千枚、その後は二千枚、三千枚と続けて行く事だ。一生続けることが良いけれど、在学中に二千枚程度を目標にして、卒業後で三千枚までは続ける感じかな」


星川が続ける「お経も毎日、朝晩、三回ずつ唱え続けて行く事だ。十年後、二十年後と続けて行く事で高めて行くトレーニングなんだ」


高橋「それで、パワーアップするんですか?」


星川が答える「心身を清める活動だから、特別、大きなパワーアップは無いかもしれないけれど、日々の積み重ねが大切なんだ。十年後、二十年後、三十年後と続けて行く事で、気づいたら精神的にも霊的にも高まって行くと考えられているんだ」


部員の一人が言う。


中村真理「そんなに長く続ける必要があるんですね」


祐一「人それぞれだし、もっと他の活動を行ったり自由だ。僕が部長の任期中は、学んだことを伝えているだけだから、その後は、次の部長の方針次第になるだろうね」


お茶を一口飲み、続ける。「僕の方針では、日々の心身のお清めと基礎の霊力や色々な知識と、基礎トレーニングが主体だ。本物の霊能者とか、絶対的な力を求めようとすると、やっぱり、生まれ持った才能や運命もあるのかも知れないな」


星川が言う。「とは言っても、ここまで色々な知識を学んで実践できるのはオカルト研究会だからなんだけどな」


小川が続ける。「魔法も他の所では、知ることができない本物を学んでいるんだ」


松井あゆみが付け加える。「直感や霊感を高める事もね」


祐一が部長の席でメンバー全員を眺めていた。


「それぞれ、学ぶテーマや課題があれば、それぞれグループを作って活動を行うのもいいと思う」


広末が祐一に声を掛ける。「部長は、どういった事を行っているんですか?」


「僕の最近の活動は、つばき壮の近くの公園の掃除とかトイレ掃除、周辺の散策を行って浄化グッズの埋設などかな」


「部長、私も参加したいです。特に女子トイレとかの掃除は、私が担当します」


その話を聞いていた他の一年生のメンバーも興味を持ち、活動内容に興味を持った。


*** 朝の日課***


朝六時。


祐一は目を覚まし、身支度を整える。


つばき壮の裏庭へ出ると、そこには、お地蔵様が祀られていた。


「おはようございます」祐一は手を合わせ、静かに頭を下げる。


最近の日課は、写経した半紙をつばき壮の近所の散歩コースを回りながら埋設することだった。


「今日も一日、よろしくお願いします」


祈りを終え、祐一は準備していた半紙の束を持って外へ出た。


***朝の散歩***


つばき壮を出て、静かな住宅街を歩く。


まだ人通りは少ない。鳥のさえずりが心地よく響いている。


「この辺りは……」祐一が立ち止まり、周囲を見回す。


霊視をすると、わずかに淀んだ気配を感じる。


「ここだな」祐一は小さく穴を掘り、写経した半紙を埋めた。


土をかぶせ、手を合わせる。「清められますように」


 短く祈りを捧げる。

この作業を、散歩コースの数カ所で繰り返す。特に気の淀みやすい場所、人通りの多い交差点の近く、古い木の根元。踏切や病院の近くなど、そういった場所を重点的に、行って回る。


「この辺りは、静かで平穏な場所になってきたな」祐一が満足そうに頷く。


 祐一が継続して行っている散歩コース周辺は、

祐一が通り掛かる度に空気が清浄になっていた。


***お寺での修行***


午前八時。祐一は近所のお寺へ向かった。


「おはようございます、住職」


「おお、祐一くん。今日も来たか」住職が優しく微笑む。


「はい。今日もよろしくお願いします」


祐一は本堂へ上がり、写経の準備をする。墨をすり、半紙を広げ、筆を手に取る。


静かに、一文字一文字、丁寧に写していく。


般若心経。「色即是空 空即是色……」心を込めて書く。


雑念を払い、ただ経文に集中する。


この時間が、祐一にとっては心を落ち着かせる大切な時間だった。


一時間ほど写経を続け、祐一は筆を置いた。


「ありがとうございました」


住職に一礼し、書き溜めた半紙を持ってお寺を後にする。


***小さな神社での修練***


午前十時。祐一はいつもの小さな神社へ立ち寄った。


住宅街の奥にある、ひっそりとした神社。


鳥居をくぐり、手水舎で手を清める。


賽銭箱に小銭を入れ、二礼二拍手一礼。


「いつもありがとうございます」


感謝の気持ちを込めて、祝詞を唱える。


「掛けまくも畏き 伊邪那岐大神……」静かに、しかし明瞭な声で。


祝詞を唱え終えると、祐一は境内の隅へ移動した。


「さて……修練を始めるか」


最近、橘美紀から教わっている陰陽師の技と式神の修練を行う時間だ。


祐一は姿勢を正し、深く息を吸う。


そして——「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前!」


九字を切る。指先に霊力を込め、空中に文字を刻む。


気を込めて、霊力を発する。


霊的な存在を浄化する基本的な技だった。

「まだまだ……力が足りない」祐一が呟く。


橘美紀の九字切りと比べると、まだ圧倒的に力が弱い。


「でも、少しずつ強くなってる」


以前と比べれば、確実に進歩している。


次に、式神の召喚を試みる。


「我が式神よ、その姿を現せ——」祐一が印を結ぶ。


「狛犬召喚!」光が集まり小型の霊的な狛犬が2体現れた。


「よし……成功だ」祐一が微笑む。


この式神は、低級霊に対して強力な力となる。


「まだ、長時間維持することはできないけど……」


狛犬2体は数分間、祐一の周囲を警護するように動き回った。


そして——光に包まれ、消えていった。


「もう少し、安定させないとな」祐一がメモを取る。どれくらいの時間維持できたか。


どれくらいの霊力を使ったか。すべてを記録していく。


「今度、橘さんに状況の報告しないと」祐一が呟く。


*** 穏やかな帰宅***


祐一はつばき壮へ戻った。玄関を開けると、


「あ、祐一君、お帰り」さくらが出迎えてくれた。


「ただいま、さくらさん」


「今日も朝から出かけてたの?」


「ああ。いつもの散歩とお寺と神社」


「相変わらず熱心ね」さくらが微笑む。


祐一は自室へ上がり、荷物を置いた。


窓の外を見る。穏やかな日差し。平和な景色。


「平穏な日常……いいものだな」


祐一は深く息をついた。


廃村での激しい戦い。

あれから1カ月が過ぎていた。


今は、こうして穏やかに過ごせている。


「でも……」祐一は引き出しから、調査ノートを取り出した。


【廃村調査記録——最終報告】最後のページを開いた。


「原因不明。ただし、立ち入りは厳禁」その文字を見つめる。


「いつか、また……何か起きるかもしれない」


だからこそ、日々の修練を怠ってはいけない。平穏な日常を守るために。


そして、もし再び何かが起きた時のために。


「今日も、頑張ろう」祐一はノートを閉じ、階下へ降りていった。


祐一とさくらは、裏庭のカフェで向かい合って座る。


何気ない会話。温かい食事。穏やかな時間。


平穏な日常が、そこにあった。


そして——午後からは、オカルト研究会の活動が待っている。


新入生たちとの、地味だが大切な修練の時間が。


祐一の日常は、こうして静かに続いていく。

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