四日目の廃村調査
祐一達、調査メンバーはその頃、廃村の調査を続けていた。
***四日目 ―の廃村調査活動***
一方その頃、祐一たちオカルト研究会による廃村調査は、表向きには順調に進んでいた。
建物の老朽具合、地形、生活の痕跡――記録としては十分な情報が集まりつつある。
だが、肝心な点だけが、どうしても掴めない。
「……それにしても、どうして廃村になったんでしょうね」誰かが、ぽつりと呟いた。
山間部で交通の便は悪い。
しかし、それだけで村が丸ごと消える理由としては、どうにも弱かった。
「少子化の影響もあったのかもしれないですね」一年生の一人が、ノートを見ながら言う。
「学校も診療所もあったみたいですし……普通に暮らしていた形跡はあります」
祐一は頷きながら、周囲を見渡した。
確かに生活は、ここにあった。それが、ある時期を境に、途切れている。
***祐一の静かな対処***
念のために――
祐一は小さく息を整え、バッグから半紙を取り出した。
これまで彼自身が写経してきたものだ。
調査を終えた地点ごとに、スコップで浅く土を掘り、半紙を丁寧に埋めていた。
「……田中部長、さっきから何を埋めてるんですか?」
新入部員が、不思議そうに尋ねた。
「写経した半紙だよ。こうして土に埋めることで、その場所を清めている」
「清める……?」
「土地に染みついた負のエネルギーを、少しずつ浄化していくんだ」
新入部員の表情が、わずかに強張る。
「……何か、ヤバいことが起きるんですか?」
祐一は、その反応を見て声を和らげた。
「今のところは、何も起きていない。だからこそ、起こる前に対処しておくんだ」
そして、軽く手を叩いた「ここで一度、休憩しよう」
***即席の結界***
祐一はリュックから、六芒星と魔法文字が描かれた数メートル四方の結界シートを取り出した。
適当な場所を選び、メンバー全員で地面に広げていく。
「全員、この中に」
全員が集まったのを確認し、祐一は続けた。
「浄化スプレーと、魔除けのお香を準備して」
新入部員たちは道具を取り出す。
「よし……」祐一は静かに経を唱え始めた。
お香に火が点り、ほのかな香りが風に溶けていく。
「緊急時や休憩時は、必ず結界の中で行動する。同時に、周囲の浄化も忘れないこと」
しばらくして、祐一は声を落とした。
「知らない場所で調査をするなら、最低限の準備は必要だからね」
「分かりました、田中部長」新入生は、真剣な表情で頷いた。
祐一は、わずかに微笑んだ。
「怖がらなくても大丈夫。準備しているからこそ、安全に調査ができるんだ」
***同時刻 ― 神社の調査***
一方その頃、寮、國府田、橘美紀の三人は、村の奥にある神社を調査していた。
境内のさらに奥へ進むと、地面に不自然な痕跡が残っていた。
「……ここ、何かやってた跡がありますね」
踏み固められた土。意図的に並べられた石。
「お祭りの後でしょうか?」國府田が首を傾げる。
橘美紀はしゃがみ込み、慎重に周囲を見回した。
「いいえ……これは封印の儀式ね」
二人が息を呑む。「ただ……」
橘は眉をひそめる。「封じた後が、きれいすぎる」
寮も周囲を探ったが、異常な反応は感じられなかった。
「……確かに、今は何も感じないな」それでも念のため、寮は指示を出す。
「この一帯に結界を張ろう。美紀、頼む」
「分かりました。青龍、白虎、朱雀、玄武、この場に結界を・・・」
橘美紀が陰陽師の封印の儀を行うと、光と共に神獣が現れ結界が静かに展開されていった。
「これで、ひとまずは安心ですね」國府田の言葉に、寮は慎重に答えた。
「今のところはな……今日は深追いせず、引き揚げよう」三人は境内を後にした。
何も起きていない。
だが、それが安全を意味するとは、誰も断言できなかった。
***夕方 ― 拠点帰還***
夕方になり、各班は拠点となっている廃屋へ戻ってきた。
「部長!遅かったな待っていたぜ」峯川の元気な声が響く。
隣には、「……広末さんに、星川君も?」祐一は少し驚いた表情を見せた。
「この廃屋を、正式な拠点として使いたくてな。修復も含めて助っ人を頼んだ」峯川が答えた。
「それに風水的にも整えた方が、拠点の防御強化もできます」星川が続けた。
新たな資材が運び込まれ、翌日からの改築作業、周辺への結界設置、浄化グッズの埋設など、役割分担が決まっていった。
「明日は、オカルト研究会らしい実地訓練を始めよう」祐一がそう提案した。
その後、小川の軽トラックも戻り、物資が次々と運び込まれた。
夜は屋外でのバーベキューが行われ和やかな時間が流れた。
拠点の庭には小川のテント、祐一の軽バン、新たに星川のテントが並んだ。
そして祐一の軽バンのバックテントに、小川、星川、峯川が集まった。
「由香さんの話でも、五月五日が凶と出た」小川が話を切り出す。「対策の準備品は用意してきたけど……一旦、撤収も考えた方がいいかもしれない」
前河餅部長の教訓が祐一の頭をよぎった。
「確かに……事態が見えない以上、その判断も必要だね」
「だったら、残り三日で結界を最大限まで強化しておこう」星川が提案する。
だが、決定的な核心には、まだ至らなかった。
何も前触れも何が起こるのか予測できなかったからだ。
***夜 ― 寮への共有と方針決定***
その夜、五月五日が凶と出た占いの件は、寮にも共有された。
「……占いでは、確かにそう出ているのかもしれない」
寮は腕を組み、静かに話す「ただ、今のところ、僕にも美紀にも予兆は感じられない」
橘美紀も頷いた。「だから、現時点では取材を中止する理由はない」その上で、寮は結論を出した。
「だが、少しでも変化を感じたら、即座に撤収する。そして――五月五日、何が起こるのかを村の外から確かめよう」寮が思い出したように続ける「確か来る途中、村の外に小屋があった。あの地点を退避拠点にするのは、どうだい?」
祐一も寮の意見に同意し「分かりました。明日から3日間の間に準備を進めます」
オカルト研究会は拠点の強化と周囲の結界の設置。
村の外にある小屋を新たな退避拠点にする事が決定された。
寮たちは、引き続き村の調査と、神社周辺の結界の追加。
周辺にカメラを設置し、一日前に村の外に退避し、村の外にある小屋でモニタリングをする事が決定した。
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