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オカルト研究部 田中祐一 今日も怪異あり  作者: waku


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廃村生活の始まり

 祐一達、オカルト研究会の新入生と寮のオカルト編集者の共同生活が始まる事になった。


***夕食と入浴***


風呂場係の新入生数名が井戸から電動ポンプで吸い上げた水を風呂釜に入れていった。電気風呂湯沸かし器を風呂釜に2基入れ水を温める。


祐一が提案する。

「部員全員が入るとなると、湯が足りなくなりそうだ。携帯用のガスコンロでも湯を沸かして継ぎ足していこう」部員が風呂に入り、出た後、沸かした湯を順番に継ぎ足していく。


 料理は廃墟の台所と外で調理を行う。中庭にオープンテントとテーブルを設置し料理を並べる。松井達が作った料理を部員たちが、テーブルに並べていく。


 それぞれ、順番に風呂に入るグループと、食事をするグループに分かれる。午後4時から食事と風呂の準備を始め、午後7時30分には全員、食事と風呂を終え片付けも完了した。


 寮が祐一に向かって話す。

「やっぱり人数が多いと、食事と風呂の準備も大変だな」


「そうですね。でも、みんな協力してくれたおかげで、なんとか回りました」祐一が答える。


***峯川のバンでの会議***


 午後8時。峯川のバンに祐一、寮、峯川、小川が集まり、これからの活動について話し合うことになった。


バンの中には簡易テーブルが置かれ、地図と資料が広げられている。ランタンの灯りが四人の顔を照らしていた。


寮が口火を切る。

「さて、初日は無事に終わった。明日からの活動計画を詰めておこう」


祐一が現状を説明する。

「今の予定では、明日は隣の廃屋の片付けを行って、そっちの部屋と風呂も使うことを検討しています。さすがに、この家だけでは、狭すぎるみたいです」


「風呂と寝室を2件に分ければ、いくらか快適になりそうだな」峯川が頷く。


しかし、峯川がすぐに懸念材料を持ち出す。

「寮さん、もし、何かあった時、2件だといくら隣と言っても、戦力が分散されてしまいます。風呂を使うのは良いと思いますが、寝室を隣に分けると、リスクも高まります」


祐一が困った表情で答える。

「と、言っても、さすがに納屋で男子メンバーが寝るのは、狭すぎるし……」


小川が冷静に分析する。

「確かに、戦力分散は避けたいですね。でも、快適性も無視できない。長期滞在になるわけですから」


寮が腕を組んで考え込む。

「峯川の言う通り、何かあった時の対応を考えると、全員が一箇所に集まって寝るのが理想だ」


「隣の廃屋との距離は?」小川が尋ねる。


「目測で三十メートルほど。庭を挟んで見える距離だけどな」峯川が答える。


祐一が提案する。

「それなら、寝室は分けずに、隣の廃屋は風呂場と作業スペース、それに予備の物資保管場所として使うのはどうでしょうか」


「なるほど。日中の活動拠点として使うわけか」寮が頷く。


「でも、納屋の狭さは変わらないぞ」峯川が指摘する。


小川が思案する。

「母屋の他の部屋は使えないんですか?」


祐一が首を横に振る。

「母屋には他にも部屋があるけど、床が抜けかけていたり、屋根が傷んでいたりで、すぐには使えない。修繕が必要だ」


***修繕計画と活動方針***


峯川が興味を示す。

「修繕か……それも一つの訓練になるかもな」


寮が前向きに提案する。

「明日、隣の廃屋と母屋の他の部屋を詳しく調査しよう。使える場所を増やせれば、長期滞在も楽になる」


「そうですね。物資の保管場所も分散できますし、リスク管理にもなります」小川が賛同する。


祐一がメモを取りながら整理する。

「では、明日の予定は——」


寮が具体的な計画を提示する。

「午前中は隣の廃屋の調査と清掃。風呂場と作業スペースとして使えるか確認する」


「午後は母屋の他の部屋の状態確認。修繕が可能なら、資材をリストアップして次回、小川に運んでもらう」


「僕たちは、村全体の地図作りを始める。取材のための下調べだ」


三人が頷く。


峯川が補足する。

「新入生たちには、必ず先輩が一人は付き添うようにしよう。単独行動は厳禁だ」


「了解。グループ分けは明朝、発表します」祐一が答えた。


***長期滞在の課題***


小川が実務的な問題を提起する。

「物資の補給サイクルも決めておきましょう。食料は何日分ありますか?」


祐一が計算する。

「今の量だと、十二人で一週間は持ちます。ただ、生鮮食品は三日が限界です」


「では、三日に一度、僕が大学と往復して補給物資を運びます」小川が提案する。


「助かるよ。ついでに、修繕用の資材や追加の装備も頼めるかな」峯川が言う。


「もちろんです」


寮が取材計画を説明する。

「僕たちの取材は、村の歴史、廃村になった経緯、現在の状態を記録することが目的だ」


「具体的には、古い写真や資料の収集、元住民への聞き取り調査、建物の撮影などを行う」


「君たちには、撮影場所の整備や、危険箇所の確認、資料の整理を手伝ってもらいたい」


祐一が確認する。

「村には、何軒くらいの家屋が残っているんですか?」


寮が地図を指差す。

「事前調査では、約二十軒。ただし、半数以上は倒壊寸前だ」


「集落の中心部には、かつての公民館や小学校の跡もある。そこも重点的に調査したい」


峯川が警戒する。

「倒壊寸前の建物か……立ち入りは慎重にしないとな」


「ああ。危険箇所には立ち入り禁止の札を立てよう」寮が同意する。


***新入生の訓練計画***


祐一が新入生の訓練について相談する。

「新入生たちには、どんな役割を与えればいいでしょうか」


寮が考えを述べる。

「まずは基本的なサバイバルスキルだな。調査活動と観察と合宿でのトレーニング」


「それと、危険の察知能力。崩れそうな建物の見分け方、野生動物の痕跡の読み方」


峯川が付け加える。

「チームワークも重要だ。緊急時の連絡方法、役割分担、助け合いの精神がないとな」


小川が提案する。

「毎晩、振り返りの時間を設けてはどうでしょう。今日学んだこと、気づいたことを共有する」


「いいね。それなら、記録係も決めておくといいね」祐一が賛同する。


「新入生の中から、日替わりで記録係を担当してもらう」


「活動日誌をつけることで、観察力も養われる」


寮が納得する。

「それは良い案だ。後で雑誌の記事にも使えるかもしれない」


***緊急時の対応***


峯川が重要な問題を提起する。

「もし、本当に何かあった時の対応も確認しておこう」


「この村には携帯電話の電波は入るのか?」


祐一がスマートフォンを確認する。

「さっき確認したら、かろうじて一本立ちます。ただし、不安定です」


小川が補足する。

「村の入口付近なら、もう少し電波状況は良いはずです」


寮が具体的な対応策を提示する。

「緊急時は、車で村の入口まで移動して連絡を取る」


「重大な事態なら、すぐに全員撤退。装備は後回しだ」


「万が一、誰かが怪我をした場合は、すぐに下山。最寄りの診療所まで車で四十分だ」


峯川が確認する。

「救急セットは、各車両に一つずつ積んであるな?」


「ああ、それと母屋と納屋にも配置してある」祐一が答える。


「無線機は?」小川が尋ねる。


「トランシーバーを六台持ってきた。明日、各グループに配布する」峯川が言う。


***霊的な対応について***


 寮が少し真剣な表情で切り出す。

「現時点では霊的な影響はないと言ったが、念のため確認しておきたい」


「もし、何か異常を感じた場合、君たちはどう対応する?」


祐一が答える。

「まず、すぐに報告してもらいます。一人で判断せず、必ず相談すること」


「その上で、私たち先輩が調査します」


峯川が付け加える。

「浄化装備は常に携帯する。霊符、塩、浄化スプレーは各自が持つ」


「夜間は、結界を張った範囲内で行動する」


小川が提案する。

「就寝前に、毎日、拠点周辺の浄化を行いましょう。習慣にしておけば、何かあっても気づきやすい」


「それは良い案だ」寮が頷く。


「では、毎晩午後九時に、全員で浄化の儀式を行おう」


「新入生にとっても、良い訓練になる」


***明日のスケジュール確定***


祐一がメモをまとめる。

「では、明日のスケジュールを確定しよう」


「午前6時起床、6時半朝食」


「午前7時から、三つのグループに分かれて活動開始」


「第一グループ:隣の廃屋の調査と清掃」


「第二グループ:母屋の修繕箇所の確認」


「第三グループ:村全体の初期調査と地図作り」


寮が確認する。

「グループ分けは?」


峯川が提案する。

「第一グループは俺が率いる。新入生四名と一緒だ」


「第二グループは祐一と松井さん、宮田さん、新入生二名」


「第三グループは寮さんと小川、新入生二名」


「これで、各グループに先輩が複数いる形になる」


「了解。それで行こう」祐一が頷く。


***会議の終わり***


寮が立ち上がる。

「よし、計画は固まった。今夜はゆっくり休もう」


「明日から、本格的な活動が始まる」


祐一も立ち上がる。

「皆さん、今日は本当にお疲れ様でした」


「明日も頑張りましょう」


四人はバンから降り、それぞれの寝床へ向かった。


母屋の窓からは、女性陣の談笑する声が聞こえてくる。


納屋では、新入生たちがまだ興奮気味に今日の出来事を語り合っていた。


祐一は軽バンに戻り、今日の記録をノートにまとめ始めた。


「初日、無事終了……」


ペンを走らせながら、祐一は明日への期待と少しの不安を感じていた。


***静かな夜***


廃村の夜は、驚くほど静かだった。


都会の喧騒から離れ、聞こえるのは虫の音と、遠くで鳴く梟の声だけ。


窓の外を見上げると、満点の星空が広がっていた。


「こんな星空、大学では見られないな……」


祐一は、しばらく星を眺めていた。


この廃村が、かつてはどんな場所だったのだろう。


どんな人たちが、ここで暮らしていたのだろう。


そして、なぜ、人々はこの村を去ったのだろう。


明日から、その答えを探す旅が始まる。


祐一はノートを閉じ、寝袋に包まった。


静かな廃村の夜が、深まっていく。


遠くで、何かが動く気配がした。


祐一は少し緊張したが、おそらく野生動物だろうと自分に言い聞かせた。


目を閉じる。


明日に備えて、身体を休めなければ。


こうして、オカルト研究会の廃村合宿、初日の夜が更けていった。


***翌朝***


鳥のさえずりで目を覚ました祐一は、軽バンから外へ出た。


朝日が廃村を照らし、昨夜の静寂が嘘のような穏やかな朝を迎えていた。


「おはよう、田中部長」


小川がテントから出てきて、挨拶をする。


「おはよう。よく眠れたか?」


「ええ、快適でした。星空が綺麗でしたね」


次々とメンバーたちが起き出し、朝の準備が始まる。


寮が祐一に近づいてきた。

「さて、今日から本格的な活動だ」


「はい。気を引き締めていきます」


朝食の準備が始まり、廃村に再び活気が戻ってきた。


新しい一日が、始まろうとしていた。

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