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オカルト研究部 田中祐一 今日も怪異あり  作者: waku


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廃村への取材協力

 祐一はオカルト研究会、新入生の強化合宿について考えていた。

そんなある日、寮からある廃村調査の提案を提示された。

***つばき壮の裏庭カフェにて***


春の陽光が木漏れ日となって降り注ぐ、つばき壮の裏庭カフェ。祐一は、いつものようにテーブルを挟んで寮と向かい合っていた。


「今年はオカルト研究会に八名入部することになりました。それで、新入生の研修活動について考えているんです。ゴールデンウィーク期間、合宿を計画しているのですが」


祐一の言葉に、寮はコーヒーカップを置いて顔を上げた。


「なるほど、丁度タイミングが良かった。実は、今度雑誌の取材で廃村特集を組むことになっているんだ。一年生の実地訓練を兼ねて、一緒に調査をしてみないかい?」


祐一はしばらく考えた後、「さっそく、提案してみます」と答えた。


***オカルト研究会の会議***


 数日後、オカルト研究会の部室では、一年生の強化合宿について会議が開かれていた。祐一が、寮から提案された廃村取材について説明する。


「今回の依頼は、取材活動の手伝いになります。取材対象は、廃村となった村です」


祐一が地図を広げながら続ける。


「取材エリアも広く、荒れた場所であることから長期的な取材になるため、物資の輸送と廃墟や荒れた場所の清掃活動などの依頼になるけど、どうかな」


峯川が腕を組んで頷いた。「丁度、合宿先として良い感じだな」


「調査とサバイバルのトレーニングにもなりますね」松井あゆみも賛同する。


宮田が興味深そうに身を乗り出した。「色々と廃村の状況を取材するのも面白そう」


部室に集まったメンバーたちは、真剣な表情で耳を傾けている。


「現時点では、特に霊的な影響はなく、村全体が廃村となっていて誰も住んでいないだけの場所らしいんだ」祐一が補足する。


「ただ、村には電気も水道もなく、簡易的にでも生活できる環境を整える必要もあるそうなんだ。それで、僕たちに依頼が回ってきたんだ」


 峯川が考えを巡らせる「バイバル活動のトレーニングも兼ねて良さそうだぜ」


「特別、危険がなければ、新入生の実地訓練に良いわね」松井あゆみが頷く。


「参加メンバーですが、今回は僕と峯川、松井さん、宮田さん、それに新入生八名の計十二名で参加したいと思います」祐一が提案する。


「物資の輸送も兼ねるので、軽トラックと峯川の中型バン、僕の軽バンで向かいます。長期滞在になるので、途中で他のメンバーとの交代も検討しています」


小川が実務的な提案をする「物資の補給も考えると僕が軽トラックで輸送を担当するよ」


「そうだな。その辺りも現地で調整しようぜ」峯川が答えた。


*** 新入生たちの反応***


新入生たちは、初めての本格的な活動に期待と不安が入り混じった表情を見せた。


田村が少し緊張した声で尋ねる。


「廃村……ですか」


「でも、今回は霊的な活動というより、実務的な作業が中心だから」祐一が安心させるように説明する。


「清掃、物資の運搬、簡易的な生活環境の整備。取材のサポート、地味だけど良い経験になると思うんだ」


 1年生の中村真理が手を挙げる。「私たちも参加できるんですか?」


「もちろん。ただし、いくつか条件がある」


 祐一が真剣な表情で続けた。

「第一に、必ず指示に従うこと。第二に、危険を感じたらすぐに報告すること。第三に、絶対に単独行動をしないこと。これらを守れる人だけ参加してほしい」


新入生たちは真剣に頷いた。


 二年の宮田が補足する。

「廃村というのは、人が去った場所。霊的な影響がなくても、物理的な危険はたくさんあるわ。崩れかけた建物、野生動物、急な天候の変化……油断は禁物よ」


 松井あゆみも付け加える。

「でも、心配しすぎることはないわ。私たちがしっかりサポートするから。それに、今回は、オカルト雑誌編集部の寮さんも参加するから」


「オカルト雑誌編集者の寮さん……」新入生たちの目が輝く。


「寮さん達は、廃村の取材を担当されます。僕たちは、そのサポート役です。でも、何かあった時は必ず助けてくれるから大丈夫。」祐一が説明した。


***準備と計画***


翌週、本格的な準備が始まった。祐一たちは、必要な装備をリストアップしていく。


 基本装備

- テント、寝袋、マット

- 調理器具、食料、飲料水

- ポータブル電源、ソーラーパネル

- ランタン、懐中電灯

- 工具セット、ロープ、ブルーシート


### 浄化・安全装備

- 霊符、お札、お守り

- 浄化スプレー、塩、お香

- 結界石、水晶

- 救急セット


「結構な荷物になるな」


峯川が荷物の山を見て呟く。


「四台に分けて運ぶから、なんとかなるさ」小川が計算しながら答える。


「食料と水、寝袋などの物資は軽トラックに。残りは峯川のバンと田中部長の軽バンに積み込もう」


松井あゆみが荷物を振り分けていく。


「村までは、車で三時間ほど。山道も多いから、慎重に運転しないとね」


「寮さんが事前に調べてくれた廃屋を拠点にします。すでに許可も得ている」祐一が計画を説明する。


「そこを片付けて、住み込みで調査を始めます。電気はポータブル電源とソーラーパネルで確保します。飲料水以外の水は近くの沢や井戸を使います。」


宮田が注意事項を付け加えた。

「夜は冷え込むかもしれないから、防寒具も必要ね」


「今週末から来週にかけては、晴れが続きそうです。最初の作業には良いタイミングですね」


「よし、では週末出発だ」祐一が話をまとめる。


***出発の日***


週末の早朝、大学の駐車場に四台の車が集まった。


小川の軽トラックには、食料と水、寝袋などの物資が山積みにされている。峯川の中型バンには、生活用品、取材器具、ポータブル電源、ソーラーパネルなどが積み込まれた。祐一の軽バンにも生活用品と残りの物資が詰め込まれた。そして、大学の前には寮の車が待機していた。


「全員集合!」


祐一の声に、十二名のメンバーが集まった。


 参加メンバー


三年生:田中祐一(部長)、峯川(副部長)、松井あゆみ、

二年生:宮田

新入生:田村、中村真理、他六名


「車の配分を確認」


祐一が指示を出す。

「峯川のバンに六名、小川の軽トラックに二名、僕の軽バンに四名で出発」


メンバーたちは、それぞれの車に分かれて乗り込んだ。


「装備の積み込みは全部できている。問題無し」小川が確認する。



「じゃあ、出発前に一つ」祐一が参加メンバー全員を見渡す。


「今回は長期的な活動になるから、体調管理をしっかりして、無理をしないこと。何か異変を感じたら、すぐに報告すること」


「はい!」全員が力強く答えた。


「では、出発しよう!」


四台の車が、大学を後にした。星川副部長と残りのメンバーが、手を振って見送る。


「気をつけてね!」


「無事に戻ってこいよ!」



***廃村到着***


 途中で休憩を取りながら、目的地の廃村まで車は山道を登り始める。窓の外には、徐々に深くなっていく森が広がっていった。新入生の田村が、少し緊張した表情で窓の外を見つめながら、

「こんな山奥の廃村に行って大丈夫ですか?」


 祐一が答える。

「もう、ホームシックかい?大丈夫、みんな一緒だ」


松井あゆみ「はじめでの合宿だから緊張するのは当り前よ。田中部長と私達がいるから、安心して」


 田村「はい。。。」


車は山道を進み続けた。三時間後、彼-オカルトメンバーたちは目的地に到着した。


そこには、時が止まったような廃村が、静かに佇んでいた。


人の気配が消えて、どれくらい経つのだろうか。草に覆われた道、崩れかけた家屋、錆びた看板。しかし、不思議なことに、不穏な空気は感じられなかった。


ただ、静かに、村は眠っているようだった。


先頭を走っていた寮の車が、ある廃屋の前で停まった。寮が車から降りて、後続に手を振って合図を送った。


「ここだ」寮の指示で、三台の車が廃屋の敷地内に入っていく。


十二名のメンバーたちは、車から降りて、拠点となる建物を見渡した。


**拠点の設営***


敷地内には、母屋と納屋があった。


「まず、建物の状態を確認しよう」寮が指示を出す。


祐一と峯川、松井あゆみが母屋の中を確認する。埃をかぶってはいるが、構造はしっかりしている。二部屋が寝泊まりに使えそうだった。一部屋は八畳、もう一部屋は6畳の広さだった。


「母屋は女性陣で使おう。編集部の國府田さんと美紀さん、松井さん、宮田さん新入生の女子二名で」祐一が提案した。


「了解。掃除すれば使えそうね」松井あゆみが頷いた。


一方、納屋は乗用車二台が入れる程度の広さがあった。


「納屋は寮さんと男子メンバーが寝泊まりできそうだ。マットを敷いて使えるだろう」峯川が確認した。


「僕は軽バンで寝泊まりする。少し部屋か狭くなりそうだし物資の保管スペースも必要だから。他の部屋の片付けが進んだら、母屋で寝泊まりできそうだけど」祐一が答える。


「確かに、男子メンバーが寝るには、狭いな。俺もバンで車中泊する。慣れてるしな」峯川が自分の中型バンを指差した。


「僕はテントを張ります。倉庫の近くで寝泊まりしますね」小川が軽トラックから荷物を下ろし始めた。


「よし、では配置が決まったな。まずは掃除と片付けだ。午後三時までには住めるように整えよう」寮が全員に指示を出す。


「よし、急いで始めよう」祐一が全員に向かって話す。



***作業開始***


メンバーたちは、手際よく作業を始めた。


母屋では、松井あゆみと宮田が新入生の女子たちを指導しながら掃除を進める。窓を開け放ち、埃を払い、床を拭いていく。


「意外と綺麗ね。思ったより使えそう」宮田が部屋を見渡す。


「ええ。これなら今夜から泊まれるわ」松井あゆみが頷いた。


倉庫では、新入生の男子たちが峯川の指導のもと、マットを敷き、荷物を整理している。


「これで寝床は確保できそうだ。ポータル電源は、ここで。LEDランタンを吊るして・・・」田村が汗を拭いながら言った。


「ああ、まずまずだ。今夜は快適に眠れるぞ」峯川が励ます。


 庭では、小川と新入生の岡村ががテントを設営していた。

「僕は、一人の方が良く眠れるからね」

「先輩は、一人で怖くないんですか?」岡村が尋ねる。


「テントの回りには結界も張るし、いくらか物資を分散して保管して置く事もリスク分散になるからね」小川が答える。


祐一は軽バンを母屋の庭に止め、後部座席を倒し窓をカーテンで閉じ寝床を整えていた。


「レポート作成や記録など夜中までの作業もあるから、軽バンを部長室兼寝室にして使わないと、、、よし完成だ」祐一が満足げに呟いた。


正午になり、作業を中断して昼食を取ることにした。


「休憩だ。まずは腹ごしらえをしよう」寮が声をかける。


持参した食料で簡単な昼食を作り、全員で輪になって食べる。


「思ったより順調ですね」1年生の中村真理が笑顔で言った。


「ああ、このペースなら午後三時までには、十分、整いそうだね」祐一が頷く。


「午後は仕上げだな。ソーラーパネルの設置とポータブル電源の確認もしないと」峯川が確認する。


昼食後、作業を再開した。


 午後二時を過ぎる頃には、母屋も倉庫も見違えるほど綺麗になっていた。

小川の宿泊テントも完成し物資の搬入と予備ソーラーパネルも設置された。


 ソーラーライトを周囲に設置し夜の灯りを確保した。


「よし、これで拠点は完成だ」


午後三時、祐一が全員を集める。


「初日の設営作業は、これで完了。明日から調査活動を行う予定だ。新入生は1時間、自由時間だ」

祐一が全員を見渡した。


「明日からは、この村全体の探査を始めよう」寮が祐一に話す。


***夜の準備***


 夕方になり夕食の準備が始まった。

母屋と納屋にはランタンが複数、吊り下げられ明かりが灯された。


 庭や玄関周辺では設置したソーラーライトが明かりを灯す。

女性メンバーたちはカセット式ガスコンロに鍋を置き、調理が始められた。松井、宮田がシチューを作る。



 祐一たち男性メンバー達は井戸水を、持ち込んだ電動ポンプで汲み上げ、バケツで風呂釜に入れる。

電気風呂沸かし器を風呂窯に入れ、湯を沸かす。


 ポータブル電源のおかげで、持ち運んだ小型家電も使用出来た。


「初日にしては、上出来だな」峯川が満足そうに言った。

夜、静かな廃村に、ランタンの灯りだけが灯っていた。


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