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オカルト研究部 田中祐一 今日も怪異あり  作者: waku


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広がる写経活動

祐一は、平穏な日常を楽しみながら新しい事に目を向けていた。埋炭法を行った後に注目したのは写経を行う事だった。


 祐一は最近、つばき壮近くにあるお寺に通うことが習慣となっていた。最初はただの散歩の延長だったがお寺の静寂に包まれるうちに、いつの間にかその雰囲気に魅了されるようになった。特に住職が勧めてくれた写経に祐一は深い魅力を感じていた。


 最初は単に面白そうだという軽い気持ちで始めたが、続けるうちに心が落ち着き、自分自身とじっくり向き合う時間を得られるようになった。文字を一字一字書くたびに、祈りや思いが半紙に込められていく感覚が新鮮で、どこか神聖なものを感じていた。


ある日の夕暮れ、祐一はこれまでに書き溜めた写経の半紙を見つめながら、ふと思案に暮れた。「これらをどう扱うべきだろうか?」ただ保管しておくだけでは味気ない気がした。何かしらの形で、自分の気持ちを込めた作品たちを活かせないだろうかと思ったのだ。


 そこで祐一は、住職に相談することにした。住職は穏やかに笑いながらアドバイスをくれた。「お寺でお焚き上げして供養する方法もありますし、土地に埋めて自然に返すのもよいでしょう。お墓やお地蔵様の近くに埋めれば、その祈りもより意味深いものになるかもしれませんね」


 祐一はその言葉を胸に、自分なりの儀式を始めることにした。彼は庭や近隣の自然と調和する場所に、写経した半紙を丁寧に埋めたり、お寺で供養してもらうようにした。その行為には、祐一にとって独自の祈りと心の清めが込められていた。


***監視者、桜の目***


 その日も祐一は庭の一角にしゃがみ、小さな穴を掘りながら、写経の半紙を炭と一緒に丁寧に重ねていた。心を込めて埋めていると、突然、背後から聞き慣れた声が響いた。


「祐一君、何しているの?」


振り向くと、そこにはスコップを持つ彼をじっと見つめる桜が立っていた。彼女の表情はどこか不安げで、何か奇妙なことをしているのではないかと疑っているようにも見えた。


「写経した半紙を埋めて、清めているんだよ」祐一は少し照れ笑いを浮かべながら答えた。


桜は首を傾げ、「写経?それって、怪しくない?前に話してた埋炭法の話もそうだけど、少しオカルトっぽいというか、科学とは程遠い感じがするよ」と言った。


 祐一は肩をすくめ、「そう見えるのも仕方ないか。でも、これも僕なりの儀式なんだ。例えば、お墓参りだって科学的には説明しにくいけど、それでも意味のある習慣だと思うだろ?」


 桜は一瞬考え込んだ後、「まぁ、確かにそういう考え方もあるかも。でも、本当に効果があるのかな?」と、怪訝そうに尋ねる。


 祐一は真剣な表情で答えた。「効果っていうより、心が落ち着くんだ。それに、自然と向き合う時間を持つことで、自分自身も浄化されていくような気がする」


彼の真摯な言葉に、桜は少し頷き「祐一君らしい考え方だね」と微笑んだ。そして、その場を後にしつつ、どこか彼の行為に惹かれた様子も垣間見えた。


***オカルト研究会での広がり***


 祐一の写経活動の話はオカルト研究会のメンバーにも伝わった。祐一が語る写経の効果や住職から教わった方法に興味を持った沢田部長は、「これは新しい研究テーマになりそうだな」と提案した。


 研究会の活動として写経を正式に取り入れることが決まると、祐一は住職から教わった写経の基本的な手順をメンバーに教えた。


 ・油煙墨の墨を使って硯で擦った物を使う。

 ・半紙は滲みにくい加工を施している物を使う。

 ・般若心経など、比較的短いお経から写経をはじめる。

 ・写経した半紙は、基本6枚、1セットでお焚き上げしたり土地に墨や塩と混ぜて埋設する。


 メンバーたちは最初、書道のような作業に戸惑いを見せたものの

次第にその集中力を要する作業にのめり込んでいった。


岡田めぐみは楽しそうに筆を走らせながら、「これ、意外と楽しいわね。私は書道が得意だったから、もっと続けてみたくなるわ」と微笑んだ。一方、河餅は苦笑いを浮かべつつ、「俺には向いてない気がするよ。字が下手すぎて全然上手くいかない」とぼやいていた。



 祐一は彼に優しく声をかけた。「僕だって最初は下手だったけど、練習していくうちに、滲まないコツや筆使いが分かるようになったよ。大事なのは気持ちを込めることだから」


沢田部長や他のメンバーも実践して体験してみる事に関心を示していた。


***写経の不思議な効果と広がる活動***


 写経が研究会で定着してから数週間後、メンバーたちはその効果に驚き始めた。岡田めぐみが最初に声を上げた。「最近、なんだか頭が冴えるというか、気持ちがすっきりするのよね」


河餅も頷いて、「俺も集中力が上がった気がする。試験勉強が捗るし、不思議な感じだよ」と言った。


沢田部長はその話に興奮し「これをもっと真面目に研究しよう。精神や環境への影響を調べる価値があるかもしれない」と提案した。


 写経した半紙を埋設した土地の花壇では、植物が他の場所よりも元気に育つ現象が見られた。また、以前は雰囲気が悪かった場所がなんとなく明るくなったという声もあった。科学的な根拠が薄い部分も多かったが、精神的な満足感や落ち着きを得られる点から、写経は研究会の重要な活動として継続されることになった。


 こうして、

祐一の些細な日課が研究会の活動に広がり、さらに新しい発見を呼び込むきっかけとなったのだった。



 購読、ありがとうございました。平穏に流れる日々でしたが、次にまた、新たなる試練が待っている予感もあります。

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