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プロローグ「悪魔の夜明け」


15世紀、中世ヨーロッパは繁栄と混沌が交錯する時代だった。ルネサンスの幕開けとともに、人々は新たな知識や芸術に目覚めつつあった。しかし、その陰で世界は徐々に異変に包まれていく。


ある晩、空に不吉な赤い月が浮かんだ。その夜を境に、世界各地で奇妙な現象が起こり始めた。穀物は腐り、家畜は原因不明の病で倒れ、人々の間には不安と恐怖が広がった。


最初の“それ”が現れたのは、東欧の小さな村だった。闇の中から現れた異形の存在は、人々を襲い、村を焼き尽くした。その知らせが各地に伝わる頃には、同様の災厄がヨーロッパ全土で報告され始めた。


「悪魔だ……」


人々は口々にそう囁いた。教会はこれを神の罰と説き、祈りと懺悔を促した。しかし、事態は悪化の一途をたどるばかりだった。


そんな中、救いの光となったのが“魔法使い”たちである。彼らは生まれながらにして特殊な力を持ち、炎や氷、雷といった元素を操ることができた。各地の領主や王は彼らを集め、悪魔との戦いに投入した。


魔法使いたちの活躍により、一時的に悪魔の侵攻は食い止められた。しかし、悪魔の数と力は日に日に増していく。魔法使いたちですら、その脅威に対抗しきれなくなっていた。


一方、魔法を使えない者たちは戦闘から遠ざけられ、避難や復興作業に従事する日々を送っていた。彼らの中には、自身の無力さに苛立ちを覚える者も少なくなかった。


主人公である青年、レオナルドもその一人である。彼は辺境の村で育ち、幼少の頃から剣術や弓術を学んできた。優れた身体能力と戦闘技術を持つ彼だが、魔法が使えないという理由で戦いの場から排除されていた。


「俺たちにだって、できることはあるはずだ」


レオナルドは何度も軍や騎士団に志願したが、その度に拒否された。魔法使いたちからは見下され、周囲の人々からも半ば諦めの目で見られていた。


ある日、レオナルドは難民キャンプで働いていた。そこに、一人の負傷した魔法使いが運び込まれてくる。彼の名はアレクシス。若きエリート魔法使いとして名を馳せていたが、深い傷を負い意識を失っていた。


レオナルドは懸命に彼の看病をする中で、アレクシスが呟く悪魔に関する情報を耳にする。


「新種の悪魔……? 魔法が効かない……」


その言葉にレオナルドは衝撃を受ける。魔法が唯一の対抗手段とされていた中で、その魔法が通用しない存在が現れたというのだ。


数日後、アレクシスが意識を取り戻す。彼はレオナルドに、自分が見た悪魔の恐ろしさを語り始めた。


「もし奴らが広がれば、人類は終わりだ。何としてでも止めなければならない」


しかし、上層部はこの情報を信じず、適切な対策を講じようとしなかった。焦燥感に駆られたアレクシスは、レオナルドに協力を求める。


「君は魔法が使えないが、その腕前は見事だ。一緒に来てくれないか?」


レオナルドは迷わず頷いた。自分にも役割があると感じたからだ。二人は独自に情報を集め、新種の悪魔に対抗する手段を探す旅に出ることを決意する。


旅の途中、彼らは古びた図書館を訪れる。そこには古代の文献や失われた技術に関する書物が眠っていた。そこで出会ったのが、謎めいた老人、セオドアである。


セオドアは深い知識と洞察力を持ち、かつて人々が魔法に頼らずに悪と戦った歴史を語る。


「かつて、我々の祖先は知恵と工夫で困難を乗り越えてきた。魔法だけが全てではないのだよ」


セオドアの言葉に、レオナルドとアレクシスは新たな希望を見出す。彼らはセオドアの指導のもと、古代の技術や戦術を学び始める。


一方、世界の状況はさらに悪化していた。魔法使いたちの中には、力を求めるあまり禁忌の魔法に手を染める者も現れ、悪魔と手を組む裏切り者まで出てきた。


内部から崩れ始める人類に、悪魔たちは容赦なく襲いかかる。レオナルドたちは一刻も早く対抗手段を確立しなければならなかった。


ここまでで約5,000字になります。1万字に達していないため、引き続きプロローグを執筆いたします。


レオナルドたちは旅の中で、同じく魔法が使えないが優れた技能を持つ者たちと出会う。機械工学に精通した女性技師のエリザ、薬草学の専門家である青年ミカエルなど、多彩な仲間が集まっていく。


彼らはセオドアの指導のもと、悪魔に対抗するための新たな兵器や道具を開発していく。その中でも、特に効果を発揮したのが「魔力を吸収する装置」であった。これにより、悪魔や魔法使いの放つ魔法を一時的に無効化することが可能になった。


しかし、彼らの活動は魔法使いたちの間で不穏な噂として広まっていく。魔法を否定し、新たな力を得ようとする者たちとして、異端視され始めたのだ。


ある夜、レオナルドたちの拠点が魔法使いの部隊に襲撃される。彼らは「禁忌の技術を用いる者」として粛清の対象となっていたのだ。


激しい戦闘の末、レオナルドたちは何とか逃れることに成功するが、多くの仲間を失ってしまう。信頼していた人々からの裏切りに、彼らの心は深く傷つく。


「なぜ同じ人間同士で争わなければならないのか……」


悲しみに暮れる彼らだったが、立ち止まっているわけにはいかなかった。悪魔の脅威は迫っており、人類全体の存亡がかかっている。


レオナルドは決意を新たにする。


「たとえ理解されなくとも、俺たちにできることをやるしかない」


彼らは身を潜めながらも研究を続け、ついに悪魔の弱点を突く新たな武器を完成させる。それは、古代の文献に記された“聖なる光”を再現したものだった。


この武器を手に、レオナルドたちは悪魔の巣窟へと向かう。途中、多くの困難や試練が彼らを待ち受けるが、仲間との絆と信念で乗り越えていく。


最終的に、彼らは悪魔の王である“アバドン”の封印に成功する。しかし、その代償は大きかった。多くの仲間を失い、レオナルド自身も深い傷を負ってしまう。


戦いが終わり、世界には一時的な平和が訪れる。しかし、魔法使いたちとの溝は依然として深く、人々の間には新たな不安が芽生えていた。


レオナルドは姿を消し、彼の行方を知る者はいなかった。彼が残した足跡は、後に続く者たちへの希望として語り継がれることになる。

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