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オンラインゲームでおっさん相手に姫プ満喫していたはずが美少女たちに囲われていた  作者: 最宮みはや【11/20新刊発売】
イベントダンジョン攻略編

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第79話 カフェでお話しします。

 電車で移動して、ちょっと小洒落たレストランで夕食に牛タンシチューを食べた。


 人通りも多くなって、制服姿なのが少し恥ずかしい。ノノはマスク姿に戻っていたけれど、私は素顔を晒しているので『あの人、高校生じゃないのに制服着てない?』って思われていないか不安だ。


 移動中も人目が気になったけれど、やや奮発したレストランにしたせいで制服姿は浮いている気がしてあまり味も覚えていない


「美味しいーっ、ユズ、アタシが牛タン好きなの知ってたの?」

「……検索したから」

「うっ、なんか嬉しいような、寂しいような。複雑だなぁ……。アタシのことはアタシに聞いてよ。検索して調べてくれるのは嬉しいけど、やっぱり直接聞いてほしいなぁ」

「えぇ。攻略情報とか調べてすぐわかること一々人に聞くのって、非効率じゃない? まず自分で調べたほうが……」


 と言いかけて、ノノがむくれていることに気づいた。


 ――いけない、またゲーム攻略と人間相手のコミュニケーションを混同していた。


「今回は、ノノさんにサプライズしたかったからね。でも次から知りたいことがあったら、直接ノノさんに聞くよ」

「そーしてね。ユズになら調べて出てこないようなことも教えてあげるからっ」


 なんて会話くらいは記憶に残っていた。


 食事が終わるといよいよ解散なのだが、


「もう少し一緒にいたい」

「制服で遅くまでうろついてたら補導されない?」

「大丈夫だよ。……ユズとまだ離れたくない」

「いいけど、私、警察の人に制服着てますけど大学生ですって説明するのいやだからね」


 そのときはノノが説明してくれるらしい。いざとなったら保護者としてマネージャーも呼んでくれるそうだ。――いや、私もいるからマネージャーさん呼ばれても困るんだけど。


「近くにね、たまに行くお気に入りの喫茶店あるんだ。そんなに混んでなくて、落ち着いているから。デザートのスコーンも美味しいよ?」

「スコーンかぁ。もうけっこうお腹いっぱいだからどうしようかな」

「半分こして食べようよー」


 などと話ながら、ノノに案内されてお店に行った。チェーンではない喫茶店なんて普段は入らないので、制服と相まってなんだか緊張する。店の外からも大人な雰囲気がわかるし、気軽に入っていいものなんだろうか。


 ――ただまあこっちは天下の人気アイドル同伴なわけだし、制服を着た小娘だからって追い出されることもないだろう。


 お店に入ると美人の店員さんに、お好きな席へどうぞと言われる。店内はアンティーク調で格式高い感じだけれど、店員のお姉さんが優しげなので居心地の悪さは薄れた。


 空いていた四人がけの席に、向かい合って座った。


 ノノの薦め通りスコーンを一つと、コーヒーを二人分頼んだ。たしかにスコーンは、人に薦めたくなるのもわかる美味しさで、これだったら丸々一つでも食べられたかもしれない。


「ユズ、今日はすっごく楽しかった。ありがとね。……これだったら朝からのが良かったなー。うーんでも制服デートだし……」

「喜んでもらえたならよかったよ」


 久しぶりのまともな外出、半日以下でも遊び回って私の体力的にはだいぶ限界いっぱいだった。だから朝から遊び回るのはちょっと厳しいかも、と思いながらも、ノノの心から嬉しそうな顔にほっとする。


 どうしても金銭的なものへのお返しは、今の私にはできることの限度があった。


 ノノはコーヒーを飲んでから、私の顔を見つめてきた。気づけば何故か、伊達眼鏡も外している。


「ユズ、大事な話があるんだけど、いい?」

「えっ!? あ、あの……大事な話って」


 顔のいい女の子に真剣な表情でそんなことを言われると、そこそこ可愛い女の子の私はドキリとしてしまう。


 ――なんだろう、合宿にかかった費用請求とかじゃないよね? 追加購入したゲーミングパソコンの代金とかって話なら数十万くらいしてもおかしくない。分割で数年くらいかけてなら払えるだろうか。あ、もしかしてデート代とか!? アイドルとデートするのが無料タダなわけないよねとか今更言われる!?


「ユズすっごい可愛い顔してる。もしかして告白されるかもって思った!? ねえねえ、アタシが告白するかもってドキドキしてた!?」

「えぇ……いや、お金とか請求されるかなって。合宿とかで使ったお金とか、デート代とか」

「なんで!? しないよ!! そのことはもう全然気にしないでって言ったじゃん! まずデート代ってなに!?」


 お礼代わりにデートと誘った側の私が言うとまたおかしくなる話だけれど、制服も相まって美少女とお出かけしてご飯食べて、なにかお金が請求されても不思議ではない。


 ――そもそもデートがお礼として成立していると考えていた私の心が歪んでいる? だから水族館でもノノを泣かせたりすねさせたりしたの? ……いや、そんなことないって、あるよ。お礼でデートだってある。レアアイテムでキスがあったんだから、一緒だよ。……でも次からはもうしないでおこう。またノノに泣かれそうだし。


「そうじゃなくて、あの人……えっと、鈴木さんだっけ? との賭けの話」


 大事な話なんて言うから、なんの話かと思えば。

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