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オンラインゲームでおっさん相手に姫プ満喫していたはずが美少女たちに囲われていた  作者: 最宮みはや【11/20新刊発売】
イベントダンジョン攻略編

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第76話 口先だけでアイドルの機嫌は取れないようです。

 どうやら考察が不十分だったらしい。


 ビジネスデートという言葉が二回目の登場をしたけれど、どういう意味の言葉なのか。――私が知らないだけ……ってことじゃないよね? ビジネスってつまり、カジュアルの逆で……制服は学生のうちはフォーマルな服装だから、つまり制服デートのこと? ってそんなわけないよね? ノノの希望通り制服着てきたら、『ビジネスデートだっ!』って文句言われているとしたらさすがに理不尽すぎる。


 やっぱり脈ありどうのがあったし、ノノの中でデートは重大なものなのかもしれない。


 同性ででかけるだけと思って、気軽に考えていたけれどうかつだったんだろうか。


 たしかにノノはこう見えて私より友達少ないからな。なんかこじらせている可能性がある。ノノに取っては、デートは恋愛感情を抱いている同士がするものという認識なのかもしれない。


 ――絶対に違うとは言い切れないけど、うーん、異性ならともかく。


 それにそうなると、考察以前にノノさんと軽い気持ちでデートしたのがマズかったってことじゃないか。


「うぇっぐっ……うぎゅっ……ふゅぎゅっ」


 ノノは変な声を出しているが、どうやら奇声を抑えて泣いているようだ。私が騒いだら帰ると言ったから、必死にこらえているのかな。そこは健気で可愛らしいと言える。


 ただ相対的にさっきよりずっと落ち込んでいるみたいで、半分くらい演技も入っていた前回よりも顔の悲壮感が強い。涙もぼろぼろこぼれるし、鼻水も少し出てきている。


「えぇ……あの、ノノさん。その、ハンカチいる? ティッシュのがいいかな?」

「……じょーぼぉー」

「え? 両方?」


 いまいち聞き取れなかったけれど、ノノが頷くので私はティッシュとハンカチ代わりのミニタオルを渡した。


 ノノは目元をティッシュで拭って、ミニタオルで思いっきり鼻をかんだ。


「えっちょっと、逆なんじゃっ……」

「ふぇ?」

「いや、いいんだけど……」


 適当に洗濯機へ入れるだけだからいいか。アイドルの鼻水つきハンカチで売り出してもいいんだけど、信じてもらえない気がする。


 当のノノ本人は、まだ私の発言を引きずっているようで、鼻水まみれになったミニタオルを握ったままうつむいていた。


「ノノさん。もしかしてだけど、誰かと二人で遊びに行ったりって……今日が初めてだったりする?」

「うにゅ」

「……そ、そっか。やっぱり、デートって特別なもの、だよね?」


 こくり、とノノは頷いた。新たにたれてきた鼻水を、ミニタオルで拭っている。


 ――冷静になれ、ここはバカ正直に『軽い遊びの気持ちで誘った』とか『私は今までも同性となら二人で出かけたことがある』なんて言えばどうなる? 次はもう水族館を追い出されるよ?


 感覚的にわからなくても、ノノの考えは尊重するべきだ。


 たしかにデートをある種神聖視していたのなら、お礼代わりで誘うのは間違っていた。


 ただ『ごめん、デートに誘ったのが間違いだったね』なんて言うわけにもいかない。そんなのデート中にケンカして、やけになって言うやつだよ。絶対最悪の雰囲気になるって。


 となると機嫌を直してもらうにはやっぱり――。


「ユズ……あ、アタシ……初めてのデートだったのに……楽しみにしてたのに……」

「そ、そうだよね。いつもより早く来てくれて、し、下着だっけ? も可愛い新しいやつなんだよね?」


 やっぱり下着はなんなのかわからないけど。でもまあ、制服って決まっているから他におしゃれするところもなかったのからってことだろうか。私もノノも、コートは羽織っているけれど、制服に合うものってなるとどうしても限られてしまう。


 私は悪くないなんて思っていたけれど、多少は非があったかもしれない。


 多分もう演技ではないだろうノノの泣き顔と、彼女の口ぶりでどれだけ楽しみにしてくれていたのかは痛いほどよくわかった。


 ――重い、重いよ、ノノ。


 だけど、そんなの前回のホテルでもわかってたのに、私が考えなしだった。私はギルドのリーダーだし、ノノにはいっぱい助けてもらったし。


 彼女への気持ちが、このデートが単なるお礼だけであったと言い切るのは、私も違うと思う。


 よし、もう一度全力でノノと向き合ってみよう。


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