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魔王合体エヴィルドライ  作者: 南ノ森
覚醒!!魔王合体エヴィルドライ
4/28

起動!!魔王復活エヴィルアイン(後編)

 ホイレンが異変を感じ取ったその頃、レイレスはヒューゲルに叩き起こされて支度を始めていた。

「な、なんだってんだよヒューゲル!!こんな朝っぱらからバタバタしなくたって……」

「バタバタしなきゃダメなんです!!だって、この胸騒ぎは……上手く説明出来ないけど、危険なんです!!」

 ヒューゲルは半狂乱でレイレスの手を引く。その手から伝わる恐怖は、何が何だか分からないレイレスにも感じ取る事が出来た。

「ヒューゲル……」

「おーい、2人ともー!!」

 突然、窓の外から声が聞こえてくる。2人が振り向くとそこには窓を叩くネーゲルの姿があった。

 それに気付いたヒューゲルは窓を開けてバルコニーに身を乗り出す。

「ちょっと!こんな所で何を!!」

「何が何でもここから逃げなきゃでしょ!!レイレスはアタシが負ぶってくから、ヒューゲルは着いてって!!」

「わ、分かりました!!」

「ちょちょっ、ネーゲルの背中に乗んの!?」

「問題ナッシング!!」

 そう言って、ネーゲルはひょいとレイレスを引っ張ると、抜群の安定性で軽々とその背に乗せる。

「お……っ、おぉう……頼もしいな……」

「うん!そりゃだって、ソッキンだもんね!!」

「ネーゲル!!ネーゲルはおるか!!」

 そこに、ホイレンが慌てた様子で部屋の扉を開けて呼びかける。

「ホイレン卿!!」

「じーちゃん!!」

「あぁ……良かった、ここにおったか……部屋におらんかったから心配したぞ!!」

 ホイレンは胸を撫で下ろすが、即座に気を引き締めて再び口を開く。

「だが時は一刻を争うぞ!とにかく今はこの城を出て逃げるんだ!!」

 そう言ってカーテンを引きちぎり、レイレスに被せてネーゲルの手を引く。

「に、逃げるって……何処に?」

「この城の、裏の丘だ」


 時を同じく、宵ノ国には先程までの陽気は何処へやら、建物の燃える煙が空を覆い、人々は恐怖に慄き駆け回っていた。

 そして、それを巻き起こした地響き……もとい、巨大な鉄の塊の歩く足音が、街を蹂躙して行く。

『へっ、魔物でもないただの魔族が、この程度で逃げ惑ってやがる』

『こんなんで大金が入るなんて、楽な仕事ぁないな!!』

『ヤツらには申し訳ないが、こっちも生活があるんでな!』

 街を闊歩しているのは、3機のヴァルキリーヘッド、『アイゼンソルダート』であった。

 アイゼンソルダートは、所構わず建物を粗方踏み壊すと、今度は3機全員で城へ向かって得物を向ける。

『へっへっへっ……この最新式のロングライフルキャノンでドカンだ!』

 そして……その引き金がゆっくりと引かれていき、ガチンと音を立てた後、とてつもない爆音と共に砲弾が放たれた。


 放たれた砲弾は、余程狙いを付けるのが難しいのか真っ直ぐ城へと向かって行く事はなく、周辺の建物や地面を次々に破壊して行く。

 だがそれでも充分に危機的状況である事には変わりなく、次々と逃げ切れなかった人たちが巻き込まれていく。

「うわああぁぁ!!」

「お、お母さああん!!」

「うちの子が……うちの子がいないんです!!誰か見ていませんか!!?」

「人族だ……あの人族の王が裏切ったんだ!!」

「メーネ防衛隊は何やってんだ!!」

 裏の丘へと向かう4人は、その惨状に目を背けながらひたすらに走る。

(なんだこれ……マジでなんなんだよ……!!)

 ネーゲルに運ばれるレイレスは、恐怖からだんだんと血の気が引いてくる。おまけに吐き気や汗、寒気までもが身体中を掻き回して麻痺を起こす。

 そんな不安に襲われた時、耳元で小さく何かが聞こえてくる。

「大丈夫……絶対大丈夫だから……うん、大丈夫……」

 それは、ネーゲルが自分に言い聞かせるための必死の呟きだった。

 それを耳にしたレイレスは、それが自分にも言っているように感じられて少しばかり安心すると共に、幼い頃からずっと笑顔を見てきた彼女の不安な気持ちをどうにかしたいと言う思いでいっぱいになった。

「……もういいよネーゲル。ここからは僕も一緒に走るから」

「っ!!でも……」

「僕は大丈夫!……じゃないけど、ここまでもう充分重荷は背負ってもらったからさ。だから今度は、自分の足で歩かなきゃ」

 そう言ってレイレスはネーゲルとヒューゲルの手をそっと取って励ます。ヒューゲルの顔を見てみれば、今にも不安に押し潰されてしまいそうであり、尚更心を決めなければならないとぎこちない笑顔を作る。

「だって僕、王様だからさ。みんなを守りたいじゃん?」

「王子……」

「レイレス……」

 3人はほんの少しだけ見つめ合うと、再び進路を丘の方へと進める。

 やがて、丘の麓までたどり着いた時にネーゲルが疑問を投げかける。

「でもじーちゃん……こんな所に逃げ込んで何かあるの?」

「あそこにはな、我らの守り神が眠っておるのだ。その神様がきっと、お前たちの事を守ってくれる……」

「守り神ぃ!?そんなバクゼンとしたよーなのに頼るだなんて、ついにボケたんじゃないの!?」

「バカ言うでない!!例え守り神に加護がなくとも、防空壕代わりにはなるだろう!!お前たちはその中に入」

 そう言って丘の中腹辺りまで辿り着いたその時、再び激しい爆音が響き渡る。そして……。

 その瞬間、突風と共に彼らの視界からホイレンの姿が消え失せたーーーー。

「……え、っ?」

 戸惑う3人だったが、次第にその現実が嫌でも目に入ってしまう。

「じー……ちゃ、ん?」

「ホ……ホイレン卿!!」

 彼らの目に映ったのは、先程の砲撃により吹き飛ばされた城の瓦礫に押し潰され、血の海に溺れんとするホイレンの姿だった。

「い……いやあああぁぁ!!」

 そのあまりの凄惨な姿に取り乱すヒューゲル。それを押し除け、ネーゲルはホイレンの元へと駆け寄って手を握る。

「じーちゃん!!じーちゃん!!」

「く……っ、まさかこんな所で……ガ、ッ……」

 息も絶え絶えだが、どうやらまだ意識はあるようだ。しかし、近くで見れば尚更もう助からない事が容易に察する事が出来てしまう。

「い、いいかい、レイレス王子……」

「し、喋るな!もういい!!」

「いいから聞いてくれっ……!こ、これを……」

 そう言ってホイレンは、その手に握ったものをレイレスに差し出す。

「これ、は……?」

 ホイレンが渡したのは、妙な見た目をした王冠。それも、一部が欠けてしまっているガラクタのようなものであった。

「これが、貴方様をお導き、下さる……」

「こ、こんな時にこんなもん押し付けて、何だってんだよ……」

 困惑するレイレス。そして今度は、最後の力を振り絞りネーゲルの手を強く取って話しかける。

「ネーゲル……お前はバカ孫だったが、自慢の……グフッ……」

「じーちゃん!!」

 やがて、その大きな手からゆっくりと力と温もりが無くなり始める。瞳からも、既に光は宿っていないようであった。

「じー……ちゃん……そん、な……や、やだよ!!こ、こんな所で寝ちゃダメだよ!!起きてよ!!」

「ネーゲル……ホイレンは、もう」

「レイレスも何やってんのさ!!早くじーちゃん起こさなきゃ……みんなで……みんなで助からなきゃダメなんだよおぉ……!!」

 ネーゲルは涙を溢れさせて救いを乞う。レイレスはそれが見てられなくて目を逸らすが、その先で放心して抜け殻となったヒューゲルの姿が目に入ってしまう。

「なんだよ……なんでこんな事になるんだよ……!!戦争もしなくなって、みんな幸せになるんじゃなかったのかよ……!!停戦協定はどうなったんだよおぉ!!」

 燃える城下町を、レイレスはただひたすらに眺めるしか出来ない。そんな無力な自分が、尚更情けなくなってしまう。

「何が、みんなを守るだよ……僕には、もうどうする事だって……」

 その時、レイレスはある事に気が付いた。先程ホイレンから託されたガラクタに嵌っている宝玉から、糸のように光が伸びていたのだ。

「こ……これ、何……」

 その光はどうやら一方の方角を向いているようで、その光の先を振り返った時にはっと、ホイレンの言葉を思い出した。

「こいつが導き、ってヤツか……今はこれしか手掛かりが無いんだ、どんな細い藁にだって縋ってやる……!」

 レイレスはなんとか立ち上がると、光の伸びる先へと歩みを進める。その先はさほど距離はなく、下を見下ろせば置いてきた2人の顔さえも分かる程度の高さであった。

「ここが、ホイレンの言ってた守り神ってのの場所か?でも、地面を照らしてるだけじゃ……」

 すると突然、目の前の地面にポッカリと一瞬で穴が開く。

「うおっ!?穴……ここが、そうなの、か……?」

 レイレスは、その深く暗い穴の中を慎重に進んで行く。

 すると……それは、暗がりから次第に姿を表し始める。

「これが……守り神、なのか……?」

 それは、まるで悪魔のような、漆黒の人型機械であった。

 そのスリット状の目は赤く光り、跪くように身を屈めて突然の珍客を迎える。

 レイレスはその姿を訝しげに見上げていると、突然脳内に、何者かの声が聞こえてくる。

「っ……!」

『……ル……ン……エヴィルアイン……』

「女の人の声……?エヴィルアインって、あれの名前か……?でもなんだって声が……」

 その時、再び宝玉から光の糸がエヴィルアインの腹部へと真っ直ぐに伸びる。それを見たレイレスは、その足元へとゆっくり歩み寄る。

「……!!?」

 すると、突然体が浮き上がり、そのままエヴィルアインの胴体へと吸い込まれて行ってしまったのだ。

「う、うあああぁぁぁぁ!!!!」


「……ん、ううん……」

 気がつくと、レイレスは妙な空間の中にひとり立っていた。そこは薄暗く、まるで白い何かの球体の中にいるようだった。

「ここは……エヴィルアインの中、って事なのか?」

 レイレスは戸惑いつつ辺りを見回す。すると、足元に何か布のようなものと、装飾品の一部を見つけて手に取ってみる。

「なんだろう、これ……」

 その瞬間、レイレスの脳裏に何か記憶のような風景が浮かぶ。


『レイレス……幸せになっとくれよ』


 その声の主は誰かは分からなかったが、彼は確信した。決して間違いではないと、心から……。

「か……母、さん?」

 気が付けば、無意識に涙が流れていた。しかし、今はそれを拭って立ち上がらなければいけない。

 これはきっと、母に託された運命なのだから。

「エヴィルアイン……僕に、俺に力を貸してくれ……!!」

 レイレスの叫びに呼応するかのように、エヴィルアインの目が輝きを増す。

 そして、その15mの巨体は地上目掛けて飛び上がり、その姿を空の下へと現した。


 その様子は城下町を荒らすアイゼンソルダートにも見て取れていたようだった。

『お、おい!なんか出てきたぞ!!』

『ありゃあもしかして、16年前の……いや、それにしては姿が違いすぎるような……』

 ソルダートの操縦士は困惑するが、それはレイレスも同じであった。

『で……出てきたはいいけど、そっからどうすりゃあいいんだろうコレって……』

 レイレスは操縦桿も何もないこの空間で、何をすればいいのか分からずに戸惑う。辺りを見回すも、真っ白な空間に周囲の景色が映し出された事以外には何も分からなかった。

 しかし、その間に敵が待ってくれる筈も無かった。

『なんでもいいからとにかく撃っちまえばいいんだ!!』

 アイゼンソルダードの1機がライフルを構えて砲撃する。しかし、やはり狙いが甘いのか弾は逸れ手前にある城へ当たり、その破片が足元のヒューゲルとネーゲルたちの上へと落ちて行く。

『っ!!危ない!!』

 その時、レイレスの体が咄嗟に動く。すると、それに合わせてエヴィルアインも動き出し、その体で2人を庇って瓦礫を弾き返した。

「きゃっ!!な、なに……」

「わ……っ……」

『ヒューゲル!ネーゲル!大丈夫か!!』

 2人は目の前に現れた巨大な影から聞き慣れた声が聞こえて驚きの顔をする。

「お……王子、ですか?王子なんですね!!でもそれは……」

『この国の守り神、エヴィルアインだ!!ヒューゲル、動けるならネーゲルを連れて穴に逃げるんだ!!』

「わ、分かりました!!ほら、ネーゲル……今はあそこへ!」

「でも……じーちゃん……」

「ホイレン様も……あなたが助かる事を一番に望んでおられると思います……だから」

「う……うぅ……っ、グスッ……」

 ヒューゲルはネーゲルをなんとか立たせると、ゆっくりと穴の中へと駆けていく。

 そして、2人が穴へと逃げ込んだのを確認すると、レイレスはエヴィルアインを立たせて目の前の敵へと向かって行った。

(コイツ……僕が体を動かすと一緒に動くのか……)

 次第に敵が近付いてくると、体に緊張が走ってくる。それに、心拍も上がって全身が熱くなる。

『あいつ……こっちに来やがるぜ』

『問題ねぇ。俺たちの仕事に何の支障は出ない』

 近付いてくるエヴィルアインに3機のソルダートがライフルを構える。レイレスは足を止め身構えると、様子を見つつ次に出す手を思案する。

 しかし、レイレスには実戦の経験が無に等しい程に乏しかった。

(う……撃つのか!?あの大砲を僕に向けて……!!)

 だが、やはり引く事は出来ない。このままでは余計に被害が拡大してしまうからだ。

(前に出るか……?いや、下手に動けば街が……でもアイツらをどうにかしないと……)

『や……ヤツめ、とんだカカシ野郎だぜ!』

『可哀想だが、今楽にしてやる!』

『っ!!しまっ……』

 実践経験の無さを挙動で見破られてしまったレイレスは、咄嗟に一歩身を引いてしまう。それが拍車を掛けて、相手も一歩踏み込んでくる。

 3対1……明らかに不利な状況である。そんな絶望的な状況の中でも、相手は非情にも撃ってくる。

『うわあああッ!!』

 エヴィルアインは砲撃を至近距離で受けてしまう。だが、数発の鉄の塊をその身に受けても、その機体に傷ひとつ付くことはなかった。

『な、なにっ……立ってやがる、だと!?』

『くっ、怯むな!!』

(な、何とか反撃しないと……)

 だが、そうして狼狽えている間にも相手は弾を込めて撃ってくる。

(クソッ……どうにか……どうにか出来ないのか?)

 その時、レイレスはある事に気がつく。それは、冷静な目で見れば単純で簡単な事だった。

(コイツら……ライフルの弾を込める時にローテーションを組んでいるのか!つまり形はライフルでも、基本形は大砲と同じ……ならばそのローテを崩せれば……!!)

 レイレスは冷静に相手を観察する。そして、一方が撃ち終わり、もう一方が撃ち始めようとした瞬間に狙いを付けて足元の瓦礫を蹴り上げた。

『ぬおっ!?』

『コイツ、生意気なマネを!!』

 瓦礫は撃とうとした機体の頭部を直撃、それに次に撃つ機体が反応して咄嗟にライフルを構えるが、直前に瓦礫に意識が向いていたために懐に入られてしまう。残りの1機は弾を挿入したばかりでまだリロードを終えていない。

『し、しまっ……』

『俺の友達を……泣かせんな!!』

 懐に入られたソルダートは身を引こうとするも、その寸前にエヴィルアインの手刀が胸部を貫いた。

 そして、その胸部には深紅の風穴が空いた。それはまるで、心の臓を抜かれたかのようにーーーー。

『う……うあああぁぁ!!』

 目の前で起こった出来事に正気を失った2機は再びライフルを構えるが、片方は気が動転していてリロードが完了していないために弾が出ない。そしてもう片方は引き金を引いて砲弾を放つも、動揺して狙いを外してしまう。

『やべ……』

 弾を外した事により更に動揺し、次のローテーションを意識して敵の目の前でリロードを始めてしまう。それが仇となってしまい、目の前に投げつけられたソルダートの頭部に気が付かなかった。

『がっ……!!』

『それともこっちかッ!!』

 エヴィルアインは相手が不意を突かれた隙に間合いへ飛び込むと、そのまま爪で胴体を切断し、斬り落とされたされた上半身を目一杯踏み付けた。

『あとは……!』

『ひ、ひいっ!!』

 レイレスは最後の1機を睨み付ける。それに狼狽したソルダートは玉を込め終えたばかりのライフルを発砲する。しかし、その弾はエヴィルアインの頭部に命中するも弾痕ひとつ付かなかった。

『ば……バケモンだあああああァ!!!!』

 最後の1機は正気を失うと、そのまま背を向けて逃げ出してしまった。

『逃すか……っ……!?』

 レイレスは追いかけようと構えるが、突然急激に体が重くなりその場に跪いてしまう。それっきり、エヴィルアインは動かなくなってしまった。

『くっ、逃してしまった……でも、2人の事は守れた……』


「おい、聞いてないぞ!!なんなんだあのバケモンは!!俺は魔族をぶっ潰せば、家族を一生養えるだけの金が入るって……!!」

「そうか、アレが目覚めたのか……なら尚更都合がいい」

「おい!!聞いているのか!!?」

「……貴様、戦場で背を向けるような者が生きて帰れると思うなよ?」

「へ……へっ?」


 エヴィルアインの奮闘により、なんとかヴァルキリーヘッドを退けたレイレスと、それでも襲撃の爪痕が酷く刻まれてしまった宵ノ国……。エヴィルアインは、その中心で未だ沈黙を続けている。

「そんな……こんなにも街が……」

 その凄惨な風景を見回していると、遠くから3つの影が近付いてくる。

「レイレス様!!」

「……ヒューゲル!ネーゲル!!」

 それは、ヒューゲルとネーゲル、そして2人を翼で庇いながら連れて来たフルークだった。

「レイレス様……よくご無事で……」

「フルークこそ、2人をよく守ってくれた」

「いえ……3人がよく行く丘に穴が空いていたものでしたから、そこに逃げ込んだのではないかと……」

 フルークは安心して胸を撫で下ろす。

 そして、その横からヒューゲルとネーゲルがレイレスに抱きついた。

「王子……良かった……」

「うん……うん……」

「2人とも……」

 レイレスは2人の頭を撫で下ろすと、2人の無事を噛み締めるために2人を引き離して顔を見る。

 しばらく、3人はお互いの顔を交互に見ながら安心して笑い合う。しかし、ヒューゲルは一瞬目を逸らした。

 その時、彼女は思うのだ。その逸らした視線の先に存在する黒い巨人の、真っ赤に染められ上げた手を見ながらーーーー。

 ああ、神様。なぜあの人が、こんな十字架を背負わなければならないのですか……と。

「ありがとうレイレス。ありがとう、じーちゃんを殺した奴らを、殺してくれて……」

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