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魔王合体エヴィルドライ  作者: 南ノ森
覚醒!!魔王合体エヴィルドライ
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覚醒!!魔王合体エヴィルドライ(後編)

 レイレスの詠唱が轟くと、周囲を覆っていた空間が拡大し、その中を3機のエヴィルが飛翔する。そして各機が形を変えると、ひとつの魔神の姿へと生まれ変わった。

『くっ……再び合体するか、魔王ッ!!』

 そして、完成したその魔神は大地に降り立ち、咆哮と共に名乗りを上げる。

『我は天翔る翼なり!!』

『我は大地を支配する牙なり!!』

『そして、我は全てを総べる刃なり!!』

『我らッ!!』

『魔王合体ッ!!』

『エヴィルゥッッッ!!ドライィッッッ!!!!』

 苦難の末誕生したエヴィルドライは、スリット状の目を光らせなが即座に臨戦体制へと入る。

 その、威風堂々とした立ち姿に七騎士たちは思わず圧倒されてしまう。

『凄ぇ……さっき合体した時みたいな負荷が全然感じない……!これが心がひとつになったって事か!!』

『ふん、見た目だけなら先程と変わっていないではないか!!臆する材料は何もない!!』

 レンシアのエイススタークは『カルト』を構えてエヴィルドライへと向かって行く。それに続いてエンツィアのフランマスタークとバンブスのネルデスタークも立ち向かう。

『でェエエエェあァァ!!』

 『カルト』の刃がエヴィルドライへ降りかかる。しかしその刃は、容易く受け止められてしまう。

『んなもん、予定調和だっての!!』

 直後、背後から左右に2機が飛び出し、挟み撃ちの形で得物を振り下ろす。

 しかしーーーー。

『予定調和とはこんなものか!!』

 エヴィルドライは一瞬身を低くすると、瞬時に翼を広げて両機を引き離す。

 更に、その翼を広げた状態で旋回して旋風を巻き起こし、敵を全て振り払った。

『うぇっへぇ!!さっきまでと全然違うじゃんか!!これが本気の魔王かぁ!!』

『感心してる場合じゃない!!来るぞ!!』

 レンシアが警戒を促す。目の前ではエヴィルドライは勢いをつけて飛び込んでくる。

『キェエェアッ!!』

『散開ッ!!』

 レンシアたちは向かって来るエヴィルドライの斬り裂き攻撃を回避すると、その後ろから複数の矢が飛んでくる。

『『エルンテ・アブソープション・ヴォーツェル』ッ!!』

 『エルンテ』から放たれた矢は、サボテンのような棘の付いた植物へと変化してその棘を飛ばして行く。

『いっけぇ!!』

 棘は次々とエヴィルドライへ突き刺さる。しかしエヴィルドライは足を止めるも、大したダメージを受けた様子は無かった。

『痒くもない!』

『えぇっ!?』

 そして、エヴィルドライは両手の掌に魔力を貯め始める。

『させるものか!!『カルト・ハーゲル・シュトゥルム』ッ!!』

 レンシアが技を放つ。雹が竜巻に乗り、エヴィルドライの周囲を回転し始める。

『『ハーゲル・シュプリッツェ』ッ!!』

 そして、全方向から鋭い雹が襲いかかってきた。

『その技は既に見ているッ!!』

 エヴィルドライは翼を広げると、その雹を全て弾き返して防いだ。

 しかし、跳ね返された雹の隙間からフランマスタークが飛び出し、『ファキュラ』を振り回してくる。

『『ファキュラ・グリーレン・シュナイデン』ッ!!』

 『ファキュラ』の刀身が炎を纏うと、巨大な炎の刃となりエヴィルドライへと振りかかろうとする。

『くっ、させるか!!』

 エヴィルドライは咄嗟に両手に貯めた魔力を光弾として放ち、迫り来る刃の軌道を逸らす。

『甘いね!!』

 しかし、一度逸れた刃は振り切った後、素早く振り直されてエヴィルドライへ再び迫り来る。

『チィ、やるッ!!』

 エヴィルドライは燃える刃を腕で受け止める。

 すると今度は、左右から岩盤が出現して高速で迫って来る。後ろではネルデスタークが『アンムート』を地面に叩きつけていた。

『…………』

『なるほど、味な真似をする!』

 フランマスタークに押されそうになり身動きが出来ないエヴィルドライ。そしてそのまま、迫り来る岩盤に挟まれてしまう。

『こういう時、やったかどうか聞くのはマズいんだよねぇ!』

 フランマスタークは一歩下がって再び剣を構える。

 その予想は的中。エヴィルドライは岩盤を割って中から無傷で姿を表す。

『隙を生じぬ連携攻撃、侮れないな!魔力の充填をする暇がない』

『だったらアタシたちに任せて!』

『ええ!充填は2人で行い、王子は隙を見て魔力解放を行う……やってみましょう!!』

『ああ、頼んだ!!』

 レイレスは頷くと、ヒューゲルとネーゲルは魔力の充填に取り掛かる。

『ヤツに行動をさせるな!!『カルト・ハーゲル・シュトゥルム』ッ!!』

『っ『…………』……!!』

『え、『エルンテ・アブソープション・ヴォーツェル』っ!!』

『『ファキュラ・グリーレン・シュナイデン』ッ!!』

 騎士たちは次々と技を繰り出す。

 『カルト』から放たれた雹の混じる竜巻によりエヴィルドライの行動を制限させ、『アンムート』の放った岩盤が動きを封じる。

『『ドライ・トイフェル・ウンター・ヴェルト』……』

 エヴィルドライの翼の瞳に魔力が溜まり、怪しい光を放ち始める。

 それを止めるために『エルンテ』の放った矢から荊棘が生え始めて身体中を拘束する。

 しかし、それは全て岩盤ごと粉々に粉砕されてしまった。

『『アウフレーデン・ドネ・ライストゥング』……』

 そして、更に翼の瞳の光が増していく……。

『やらせないんだよオオォォォッ!!』

 雹混じりの渦を突き破り、フランマスタークが燃え盛る刃を振り回す。

 そしてそれは、渦と一体となり巨大な火柱となって炎の龍のように大きなうねりを発生させる。

 そして、その龍はエヴィルドライを飲み込まんと大口を開けて真っしぐらに突っ込んで行った。

『『フラム・ビルベル・ドラッヘン』だッ!!』

 その巨大な炎の龍はエヴィルドライを腹に放り込むと、その腹の中の業火でガンガンに炙っていく。

『ヌルい!生温いッ!!むしろ涼しいまであるッ!!』

 だが、その炎の龍はエヴィルドライの翼によって振り払われて掻き消えてしまう。

 そしてその翼は、限界まで魔力を溜め込んで強く、より強く輝いていた。

『鉄ッ槌ッッ!!』

 エヴィルドライは翼の瞳に両手を触れると、その魔力は両手へと移って、その両の手を合わせて魔力を押し潰した。

『『フェアシュヴィンデン・アウフ・ヌル』……!!』

 瞬間ーーーー。











『……くっ……な、何が……起こっ……』

 レンシアは意識を取り戻し、機体を立ち上がらせる。

 エヴィルドライが両手を合わせた一瞬、凝縮された魔力同士が押しつぶされて破裂し、光が……否、白い闇が戦場を包み込んで、そこで記憶が途切れていた。

 そして、顔を上げた瞬間に目に飛び込んだ景色には、何もなかった。

『な……っ……!?』

 エヴィルドライは何事も無かったかのように宙を浮いていた。

 先程の攻撃により発生した衝撃波が、その周辺の半径500m全てを吹き飛ばしていたのだ。

『やっっっべえぇ!!下手すりゃ死んでたなこりゃあ!!』

『エンツィア!!生きていたか!!他の者は!?』

 レンシアが周囲を見回す。そこには逆さまになり両脚が上を向いたフランマスタークと、ホルツスタークを庇って背面の装甲が剥がれ落ちたネルデスタークの姿があった。

 そして……辺り一面には、衝撃に耐えられず粉々に粉砕されて跡形もなくなったアイゼンソルダートの残骸が散らばっていた。

『な、なんと……こんな、酷いことが……あってたまるか……ッ!!』

 レンシアは歯噛みし、モニターに拳を叩きつけた。


『…………』

 レイレスたちは、自らの行いに震撼した。

 だが、これは自らが選んだことであり、後悔などしていない。

 彼らは覚悟を胸に、目の前に広がるこの光景をしかと目に焼き付けるのだ。

(これから、こんな悲しい事がずっと続いていくんだ……だからこそ、目を背けずに戦わなきゃいけない。母さんもきっと、そう望んでいるから……)

 その時だった。

 戦場に立ち込めていた暗雲の隙間から光が差したかと思うや否や、そこから光が矢となってエヴィルドライへと降り注いだ。

『『ハイリヒト・ブレンデン・ドルン』ッ!!』

『なぁッ!?』

 レイレスはそれを避けきれずに全て全身で受けてしまう。そして、そのまま真っ逆さまに墜落してしまった。

『っぐゥッ!?』

『愚かなる邪悪の王よ……『栄光の七騎士(ロイヤルセブン)』金の騎士であるこの私、ガーベラ・デメルがキサマに罰を下す……!!』

宜しければご評価、ご感想いただけれは幸いです。

読んでいただきありがとうございました!

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