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朧月物語  作者: 松林可純
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プロローグ

 じっとりとまとわりつく空気は実に不愉快で、匂いが濃くなる中、漆黒へと近づく濃紺の空に浮かぶ満月な朧月を窓越しに見上げて、現実から逃避したく思う。


 シャンデリアの灯りを受けて虹色に輝く白亜の骨組みをした正四角体。それらが複雑かつ幾何学的に絡み合い、目に暴力的な鎖にしか見えない柱となり。その柱にたくさん彩られた学園ホールで行われている千人を少し上回っている集会は、昼間に会食も含めて解散の筈だったはず。

 それが巨大な黄金のテーブルの上で、嫌な匂いを放ち始める料理もそのままに朧月が明るく輝く。


 人生五十年とラップを口づさみバトルをする者がいるせいで、集会は延長。マイムマイムと踊る者やソーランヨーッハイハイと歌う者でまた集会は延長。延長に延長。


 校長先生のお話の開始十分で貧血で倒れる常習者令嬢は、ドレスの上から尻を掻いて棒高跳び用の大きく高い緑色のマットの上で読書している。貧血を装って寝て過ごす作戦なのがバレバレ。集会をひたすら延長している校長以外全員知ってるけど。


 かれこれ13時間を突破している校長の話や、校長の話中にカットインして始まった高位貴族の婚約破棄は、心底退屈なので。こんな不快で、心理効果をもってして、大半の人とホール内が黒ベタ背景の灰色影絵のように色褪せる朧月夜は、ありきたりな怪談でもしないか?


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