女神
私は神だ。他人を治癒する能力を持っていたことから他人に崇められるようになり、やがて多くの世界とも干渉できる神の一柱に認められ、複数の世界を救うために活躍する……ために女神の学び舎で様々な世界の言語や物品を使えるようになった。
今日は遂に初めての世界を救うための仕事の日。困っている人を助けるために様々な世界へ行くのだ。
私は仕事についての資料を受け取り、読み始めた。
「えっと、御堂雄司さん。厄介な宗教団体の影響で生活に支障が出ているのね」
資料を読みながら、先輩の部屋に入ると、早速仕事の話が始まった。
「あなたには、壊滅しかけた宗教組織の被害に遭っている人を救いに行ってもらうわ。1月くらいまでに終わらせてね。被害者の資料は事前に読んでおいたでしょう?」
猶予はひと月か。
「はい。その組織の規模と名称は分かっているのですか?」
「複数の世界にまたがって多次元教団の名で活動していたが、信仰していた神が行方不明になってからは科学などに手を出しているが、大規模な破壊活動をする力を持ってはいないわ」
割と危なそうだな……。
「大丈夫、あなたを守ってくれる賢者とその仲間を手配したから。こちらの世界についてもちょっと勉強しているようだから力になれると思うわ」
なるほど安心。
「こちらの四人よ」
そう言って先輩が指をさすと、一人と三匹が転移魔法で送られてきた。信仰生物学で学んだドラゴンにスライム、オオカミ?いや白い体毛からしてフェンリルと呼ばれてるやつか。とりあえず自己紹介しとこう。
「私の名前はサウリーです」
「僕の名前は佐藤太郎です。こちらはフェンリルの……」
「行きましょう。」
賢者が自己紹介を始めたところで先輩は転移魔法を作動させた。
その直後、私たちは空に放り出された。
「何でええええ。」
私はそのまま海に落下した。
賢者達はドラゴンに乗って空を飛んでいる。
「乗せてくれない?」
「あっ。すいません。」
ドラゴンは私をすくい上げた。
「何でキャッチしてくれなかったの?」
「失敗しました。」
失敗しないで欲しかった。服もびっちょびちょになったし。
「ところであれなんです?」
ドラゴンが向いた先には遠くから飛来する飛行機があった。
「民間の飛行機ね。」
「見られたらまずくないですか?」
まずいに決まってる。
「急いで仕事の島の方に逃げましょう。」
「どこの方角?」
「こっからだと西の方角。」
「わかりました急ぎますー。」
西に向かって全速力で飛び始めたドラゴンは何かにぶつかって海に落下する。
「「「「うわあああああ。」」」」
何かの爆風が直撃し水の中に落下した私たちもそのまま気を失った。