表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
27/40

#23-3 廃教会



 『アイヴィス、下手に使役されている子供達を相手にしているとそれだけ子供達を危険に晒す時間が増えるわ。だからさくっと、あのいけ好かない男から片付けちゃって』


 ティリスは、こんな状況だが、冷静に分析した上でアドバイスをくれた。


 『わかった』


 連携した方が攻撃しやすいから、イリーナにも伝えるべきなのだろうが、今言えば目の前の青年にも聞こえてしまう。

 俺の動きを見て合わせてくれるように期待するしかないだろう。

 イリーナに目配せすると、言わんとしたことを理解してくれたのかコクリと頷いた。

 よし、なら行くぞ。


 「【跳躍リープ】」


 子供達の頭上を飛び越えて、一気に間合いを詰める。

 子供達の振るった剣は、見事にくうを切った。

 あとは、鎖の間合いないに飛びいるだけだ。

 

 「使役した状態のものは、僕の意思どおりに動くんですよ?」


 俺の進路を青年によって跳躍させられた子供の一人によって塞がれる。

 かろうじて振り下ろした神滅剣ディオス・リズィの軌道を子供から逸らす。

 危うく、俺が子供を殺してしまうところだった。

 これでは間合いを詰めることは愚か、神滅剣ディオス・リズィで傷を負わせることすらできそうにない。


 「僕を倒したければ、子供を殺すという罪を重ねるしかないんですよ」


 ことも無さげに、大それたことを青年が言ってのける。


 「それが聖職者の言うことか……下衆め!」


 イリーナがロムルスを思いっきり突き出すが、やはり子供達によって刺突することができない。


 「お前は、その子供達から魔力機関を取り出すつもりなんだろ?戦いに使っていいのか?」


 魔法に目覚める前の子供達の魔力機関であれば、自分の体に取り込み自らの魔力を高めることができる。


 「さすがは大魔術師、ご名答です。可能なら大事な被検体ですから使いたくはないですよ?でもそれって僕がいないと出来ないじゃないですか?」


 つまりは、自分の身が可愛いということか……。

 どこまでも底辺の人間らしいことを言ってくれる。


 「まさか、お前がそこまでクズだとはな……」


 その話を聞いて一つ気付いた。

 気付いたことと言うのは、コイツが第五階梯の次元牢獄を一人で行使しできた理由だ。


 「クズってどこかですか?」

 「お前、今まで何人の子供達の魔力機関を取り込んで来た?」


 魔力機関の融合は自身の魔力を増大させる、つまりは、子供達を殺して魔力機関を取り込むことで人族は、行使できる魔法の限界を越すことが可能なのだ。


 「嫌だなぁ、人族の発展のための研究に使っただけですよ?自分の体を犠牲にして僕も研究をしているんですから」


 人族の発展のための研究?自己犠牲?

 なんて都合のいい解釈だ、こんな奴がいるから不幸な目を見るやつがいる、人族の発展の足を引っ張ることになる。

 どこまでも利己的で自己中心的な人間だ。

 俺は嫌気がさした。


 「ね?だからショータイムの続きを早くしましょうよ、そんな怖い顔をしないでさ?」


 子供達の命を尊厳を踏みにじるような行為をいけしゃあしゃあとショータイムなどと称している。

 正直言って虫唾が走る。

 コイツを生かしておけば、どれほどの子供達の命が失われるかわかったものじゃない。

 だから――――コイツは絶対に殺す!


 「お前にもショータイムを見せてやるよ」

 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ